近年、AIの進化は目覚ましく、企業経営の現場にも急速に浸透しています。実際に、複数のAIツールを活用しながら相談業務や資料作成を行う実務家も増え、その活用方法次第では、意思決定の質とスピードを大きく引き上げることが可能になっています。今回のメルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』では、著者の吉田猫次郎さんが、自身が活用しているAIでの効率化の方法などを解説しています。
AIで事業再生する
私自身、まだまだ至らない点が多いので、特に自分の不得意な分野については、AIによく質問しています。
また、資料の作成などにおいても、AIを使って効率化することが日増しに増えています。
日々の相談業務についても、個別の相談を受けた後に、その詳細を、固有名詞や地域などを伏せてプライバシーを守った上で、「こんな業種の、こんな財務内容の、こんな問題を抱えた相談者がいた。こんな解決策をアドバイスしたが、何か足りない部分や見落としている部分はないか?」などなど、よくAIに投げかけています。
私がよく使っているのは、ChatGPTとGeminiのそれぞれ有料版です。
ほかにも、全部あわせて4つか5つのAIを使っています。
仕事柄、こういうものにはお金を惜しむべきではないと考えています。
そして、私なりの印象ですが、的確な答えを導き出すために必要な情報を与えてあげれば(これ重要)、かなりの精度で答えてくれます。
必要な情報とは、たとえば、
- 法人格の有無
- 株式会社か有限会社かそれ以外か
- 業歴や沿革
- 地域
- 業種や事業内容
- 役員構成
- 株主構成
- 資本金
- ビジネスモデル
- 企業集団の構成
- 財務内容
-BS、PL、販管費、製造原価
-過去数年分の推移
-繰越欠損金(別表7)
-財務諸表に出てこない、延滞などの有無
- SWOT(強み、弱み、機会、脅威)
- 後継者の有無
- 経営者のプロフィール
- いま悩んでいること
- 債権者についての詳細
などなど、具体的に詳しく、端的に入力すればするほど、期待どおりの答えが返ってきます。
この記事の著者・吉田猫次郎さんのメルマガ
逆にいえば、あいまいな質問には、あいまいな答えしか返ってこない感があります。
この点は、生身の人間の専門家に相談するときも同じですね。
とにかく、質問の精度を上げれば、良いヒントをもらえることは確かです。
さらにいえば、問題解決のための具体的なテンプレートまで作成してくれます。
これは、士業専門家の先生方にとっては、脅威に感じるかもしれませんね。
たとえば、「定款変更の申請書類を作りたい」とか、「裁判を起こされたので、答弁書を自分で書きたい」とか、「役所へ提出するための許認可の書類を書きたい」とか、「銀行にリスケ交渉中だが、経営改善計画書を書きたい」など、何でもできてしまいます。リクエストの内容がしっかりしていれば。
ただ、いつも思うのですが、AIが事業再生をリードしてくれるわけではありません。
AIは道具です。(専門家も道具のようなものです)
主役は、経営者であるあなたです。
AIや専門家から得た情報を、どう取捨選択し、どう活かすかは、あなた次第なのです。
その過程で、合理性云々よりも、「人間らしさ」が出てくるのが常です。
AIだけでは、どうしても限界が出てくるのが、このあたりだと感じます。
その証拠に、最近私のところに来られる相談者の多くは、事前にAIで下調べしています。
そのうえで、わざわざ私のような者に(知識の面ではAIに劣るのに……)相談を申し込まれています。
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