全国の民間AMラジオ47局のうち44局が、2028年秋までにFMラジオ局に転換をめざすことがわかった。AMの送信所の維持が困難なことなどから、これまで補完的に行っていたFM放送を親局とするもので、一部の局では、2023年秋以降、実験的にAM放送を止める。FM転換に大きく舵を切ることになるが、災害時に強いAMラジオがなくなることに疑問の声もあがっている。
民放AMラジオ44局が7年後にFM局に転換
民放AMラジオ局の代表が15日、オンラインで会見を開き、2028年に現在のAMを停波、一部の局を除き、FM局へと転換することを発表した。毎日新聞などが報じた。
決断した理由として、「老朽化が進んでいるAM送信所の更新が困難」「AMとFMの二重設備維持が各局の大きな負担になっている」という2点をあげた。
2023年秋にもFM転換に向けた総務省の実証実験のためAM放送の先行停止が始まる予定で、同年以降、段階的にAM放送が減る見通しだとしている。
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AMのデメリットはFMのメリット
なぜわざわざAMを停止する必要があるのか。一般的にはラジオというくくりでAMもFMも一緒にされてしまっているが、その特性は大きく異なる。
AMの最大のメリットはなんといっても遠くまで電波を飛ばせること。都市部だけではなく山間部にまで到達することから、多くの人たちに届けることができる。一方、デメリットは建物内で受診しにくく、広い敷地に高さ100メートル規模のアンテナが必要となるなど、放送設備が大規模で多額の維持費がかかる。
これがFMになるとメリットとデメリットがガラリと逆転してしまう。
FMの建物内でも受信しやすく音もクリア。放送設備はAMに比べれば簡易で維持費は安く済む。ただ、電波の届く範囲は狭く、山間部には届かない。遠くまで電波を飛ばすためには、多くの中継局が必要となってくる。
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災害時に役立つのはAMラジオ
今回、AM各局がこうした判断を下した背景には、インターネットのラジオアプリ「radiko」の普及がある。
2010年にスタートしたradikoはスマートフォンやパソコンなどでラジオ番組が聴けるサービスで、ダウンロード数は2000万を超え、月間ユニークユーザーは約1000万人とされている。
ラジオを持っていなくても放送を聞くことができ、しかも聴取エリアなど関係なく、好きな番組を選択することができる。
radikoはたしかに便利なサービスだが、ネット環境がなくては楽しむことができない。高齢者やネット環境の悪いエリア在住者にとっては縁遠いツールである。
AMの良さは災害時に強いこと。東日本大震災の時、情報を長時間伝えてくれたツールは間違いなくAMラジオだった。
停電や中継局が損傷してしまった場合、FMやradikoでは災害時に情報収集手段を失ってしまう可能性がある。
FMラジオ局への転換を決めたことは経営判断によるところが大きい。しかし、そのことにより、AMラジオの本質や存在意義や置き去りにしてしまったとはいえないだろうか。
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通信の進化は著しいとはいえ、なんでもかんでも「便利」「経済的」な方向に進んでしまうことに違和感を抱く声も多くある。AMラジオがなくなるデメリットも真剣に議論した方が良さそうだ。
Twitterの反応
ただ、AMラジオを全廃するのは災害に対する備えが脆弱になるような気がする。災害時においてインターネットが使用不可能な時の代替手段になるから。総務省もその点は配慮して欲しいが。AMラジオだと単4電池だけで情報収集できるのが大いにメリットあると思う。
— warp8108 (@warp8108) June 15, 2021
AMラジオ局、2028年秋までにFM化へ。
radikoやワイドFMが普及してきたとはいえ、
夜間は遠くまで電波が届くため
災害に伴う停電のときは便利なんだよねぇ。
かつて関東の局を遠距離受信していた身としては寂しい。
北海道のHBCとSTVラジオ、秋田のABSはAMを続けるとのこと。https://t.co/TctM8uh9Ky— あきもんど (@akimon_do) June 15, 2021
災害時の情報源としてのAMラジオって贅沢な話になってるのかなぁ。TVとスマホでリスク分散されてるから良しってところなのか
— ワッタがし (@watta_wata) June 16, 2021
あらま、radiko整備以来の天地がひっくり返るぐらいの事象かも?
民放AMラジオ44局がFM局に転換へ 送信所の老朽化、運用コスト面でもFMが優位(中日スポーツ)#Yahooニュースhttps://t.co/VVAj5FsUpk
— すれからし (@surekarashi1) June 15, 2021
え〜?マジ?これ。停波する局あるんや?
確かに、都市部ではノイジーで使い物にならない現代だしな。
ただ、地方やFM波では不可能な地域はとうするんだろ?
お山の中とか。民放AMラジオ、2028年秋のFM化目指す…在京3局もAM停波へ : スポーツ報知 https://t.co/i7NkKjWNjH
— ken@MT-09 Tracer (@MrGreen_8686) June 16, 2021
山の中の高速道路や高知みたいに東西に海岸線が長いとFM入らない所多いんだわ😥
民放AMラジオ44局、2028年秋めどに“FM局”目指す #ldnews https://t.co/H4EiiVR1lO
— もの好きオヤジ (@monozukioyaji) June 15, 2021
FM転換は分かりますが 中継局の転換・増設の投資や周波数割り当てで既存FM局と調整しなきゃなんないし ともすれば相乗り合併なんて覚悟も必要になってくるぞ。
民放AMラジオ44局、2028年秋めどに“FM局”目指す(オリコン)#Yahooニュースhttps://t.co/KXm887CIzZ
— ひでさん@仙台在住 (@aiUAZwyymezcY5d) June 16, 2021
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