MAG2 NEWS MENU

日本から台湾への善意を「ワクチンこじき」呼ばわりした親中議員と中国の卑劣

中国当局と極めて近い関係性を維持する台湾野党の国民党は、国民の命を守るより蔡英文政権の足を引っ張ることばかりに力を傾けているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、日本やアメリカからコロナワクチンの提供を受けた蔡英文総統を、国民党議員が「物乞い」扱いしたと伝えるニュースを紹介。その上で、他国の善意を政権批判のため悪用する親中議員と中国を強く批判するとともに、この騒動で台湾の未来を託すべき政党がより明白になったと記しています。

編註:今日の人権意識に照らして不適切と思われる表現がありますが、取り扱っているテーマや文脈から差別意図はないものと判断し原文を尊重しました)

【関連】中国メディア「日本寄贈ワクチンで死者急増、台湾の対日感情悪化」は本当か?日台分断を煽る人間の正体
【関連】台湾の大混乱に便乗か。中国派ホンハイ創業者がワクチン調達を名乗り出た思惑

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年6月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

中国と台湾の真実を最もよく知る黄文雄先生のメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

【台湾】他国からの善意を政権批判に使う国民党と中国の卑劣

国民党市議の「ワクチンこじき」発言 政府が反論「不適切」/台湾

中国と野党・国民党が手を組んで、ワクチン入手に奔走している蔡英文政権のイメージダウンを狙っています。国民党は台湾内部から、中国が台湾外部から蔡政権を攻撃するという作戦なのでしょう。中国と国民党の連携プレーは、ワクチン問題でより鮮明に表面化しています。

その典型が、冒頭のニュースです。日本やアメリカからワクチンの提供を受けている蔡英文政権を、国民党の羅智強台北市議が「台湾はワクチンこじき」だと表現したのです。もちろん、政権側はこれに対して反論しています。以下、報道を一部引用します。

行政院(内閣)の羅秉成(らへいせい)報道官は22日、相手方の善意を「施し」と見なすことは「好ましくなく、不適切だ」と反論した。

 

(中略)

 

羅報道官は、長期的に友好関係にある米国と日本が緊急用に恵みの雨のようなワクチンを台湾に届けたことは対等な友好的態度に基づくものであり、いずれも善意で、台湾は非常に感謝していると言及。このような助け合いは、台湾が昨年、マスクの供給に余裕がある際に友好国を支援したのと同じだと述べた。

国民党市議の「ワクチンこじき」発言 政府が反論「不適切」/台湾

この報道が出た後のことですが、日本からのワクチン提供のお礼に台湾からマスク40万枚が日本に届きました。しかも、感謝の気持ちを込めてマスクを贈りたいと提案したのは、滋賀県大津市で産婦人科病院を営む医師の王輝生さんで、彼の提案に賛同した台湾の大手マスクメーカーが商品を提供したのでした。

日本からのワクチン提供に返礼 台湾からマスク40万枚が日本に届く

医師の王さんは、「台日の友情は長年にわたる積み重ねによって作られたものであり、両国は恩を知ってお返しをすることや助け合いを理解していると指摘する。ワクチンを載せた飛行機が台湾に向けて成田空港を出発する際、謝長廷駐日代表(大使に相当)が雨の中で深々と頭を下げる姿に、多くの台湾人が感動を覚えた」とコメントしています。

中国と台湾の真実を最もよく知る黄文雄先生のメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

台湾人の多くは王さんと同じ気持ちだと思います。逆に、ワクチン提供を政権批判の理由として悪用するのが国民党です。国民党の羅智強市議は、ベトナムが1億2,500万回分のワクチンを購入したというニュースを取り上げて、蔡英文政権に対して「你懂得什麼叫羞愧嗎?」(恥ずかくないのか)との暴言まで浴びせました。

不識字?羅智強指越南買1.5億劑疫苗 民進黨翻報導打臉

もちろん、これに対しても民進党側は反論していますが、とにかく国民党はこのように政権批判のネタさえあれば、何でも悪用して、どんな手も使って蔡政権を批判するわけです。

さらに、こういう時だけ出てくる馬英九前総統も、「台灣疫苗不足,政府應開放小三通打疫苗,贏得兩岸人民的尊敬」(台湾のワクチンが足りないなら、政府はワクチンを打つために「小三通」を解放して、中国と台湾の人々から尊敬されるべきだ)、などと言っています(注:「小三通」とは中国と台湾の間で「通航、通商、通信」の3つを解放して直接往来すること)。

馬英九喊疫苗小三通 林濁水給這建議:快放他去打中國疫苗

このように、国民党勢力が蔡政権のイメージダウンを狙って、あれこれと言っていますが、国民党勢力は完全に闘うべき相手を間違えています。今は、台湾が一丸となってコロナと闘わなければならない時にもかかわらず、蔡政権の足を引っ張るばかりです。本当に厄介な人たちです。

一方、世界では、日本とアメリカだけでなく、北欧のリトアニアも台湾にワクチン提供を申し出ました。以下、報道を引用します。

バルト海東岸に位置するリトアニアは22日、新型コロナウイルスワクチンを台湾に提供する方針を発表した。英アストラゼネカ製2万回分を9月末までに送るという。

 

同国のランズベルギス外相は22日、自身のツイッターを更新。「小さな動きではあるが、コロナとの戦いにおいて台湾の人々への支持を示せることを誇りに思う」とつづり、『自由を愛する人々は互いに気を配るべき』との考えを示した。

 

台湾は昨年4月、リトアニアに医療用マスクを10万枚寄贈した。

北欧リトアニア、台湾にワクチン提供発表 9月末までに2万回分

これこそが国交というものでしょう。台湾でコロナ感染が拡大し、ワクチン問題が生じたことで、国民党の卑しい政権批判の手口が、より鮮明にあぶり出されました。台湾の未来を託すべき政党は、すでに明白です。それがはっきりと分かっただけでも、台湾人にとってはよかったのかもしれません。

中国と台湾の真実を最もよく知る黄文雄先生のメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 


 


最新刊
バイデン政権がもたらす新たな米中危機 激震する世界と日本の行方
好評発売中!


image by: 蔡英文 - Home | Facebook

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年6月25日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。

こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー

初月無料の定期購読手続きを完了後、各月バックナンバーをお求めください。

2021年5月配信分

2021年5月のバックナンバーを購入する

2021年4月配信分

2021年4月のバックナンバーを購入する

2021年3月配信分

2021年3月のバックナンバーを購入する

2021年2月配信分

2021年2月のバックナンバーを購入する

2021年1月配信分

2021年1月のバックナンバーを購入する

2020年12月配信分

2020年12月のバックナンバーを購入する

2020年11月配信分

2020年11月のバックナンバーを購入する

2020年10月配信分

2020年10月のバックナンバーを購入する

2020年9月配信分

2020年9月のバックナンバーを購入する

2020年8月配信分

2020年8月のバックナンバーを購入する

2020年7月配信分

2020年7月のバックナンバーを購入する

2020年6月配信分

2020年6月のバックナンバーを購入する

2020年5月配信分

2020年5月のバックナンバーを購入する

2020年4月配信分

2020年4月のバックナンバーを購入する

2020年3月配信分

2020年3月のバックナンバーを購入する

2020年2月配信分

2020年2月のバックナンバーを購入する

2020年1月配信分

2020年1月のバックナンバーを購入する

黄文雄この著者の記事一覧

台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」 』

【著者】 黄文雄 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け