先日掲載の「全米OP開催中のNYで話題。テニス界の偉人『キング夫人』とは?」では、アメリカで直営店経営に乗り出し注目を集めるブランドについて詳しいレポートを寄せてくださった、NY在住の人気ブロガー・りばてぃさん。しかし一方で、その逆の手を打つ「超大手」の動きも話題となっているようです。今回りばてぃさんは自身のメルマガ『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』で、ディズニーの大型量販店でのショップ展開拡大を伝える記事を紹介。さらに同社がこの時期に直営店出店を選ばなかった理由を推測しています。
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卸売りを減らすスポーツ・ブランドもあればその逆も!?
前回、前々回で100年以上の歴史を持つスポーツ・ブランドのウィルソンが、同社史上初となる直営店を7月にシカゴにオープンし、8月にはNYにテニス博物館を併設した期間限定店をオープン。さらには先行して5月には、これまた同社史上初のEコマースサイトをオープンしたとお伝えしました。
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この背景には、直接消費者に商品販売しブランディング訴求するD2C戦略があります。
例えば、ナイキやアディダスはD2C戦略で大成功している事例で、直営店運営を強化した一方で卸売販売に頼っていた経営を見直してきました。
ウィルソンもそれに追随するような戦略を進めているわけですが、実は一方で、自社直営店ではなく、卸売販売や、すでにある小売店内に商品販売展開するブランドも話題になっています。
それは、天下のディズニーが大型量販店のターゲットにショップを展開するというもの。
もともとディズニーはおもちゃも取り扱うターゲットに2019年ごろから商品販売をしていましたが、今年のホリデーシーズン(いわゆるクリスマス商戦)に合わせてさらに100箇所追加しこれまでの3倍の規模になるとのことです。
ご参考:
● RETAIL
Target to add more than 100 Disney shops to stores as holiday season approaches
マンハッタンにはディズニー直営店がタイムズ・スクエアのど真ん中にありますし他にも店舗展開していますが、あえてターゲットに店舗展開しはじめているかというと、1つは、ターゲットが小規模モールとなり人気上昇中ということ。
多くの客で賑わいそのほとんどが屋内施設である大型のショッピングモールはコロナのパンデミックで客足が激減。
以前から大型ショッピングモールへのニーズはEコマースの発展普及により減少傾向にありましたが追い討ちをかけられた状態に。
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一方、ターゲットはコロナのずっと前からEコマースで売上を伸ばすD2Cブランドを多数誘致。店内でお試しできる場を設け、また、新商品を取り扱う店というブランドを作ってきていました。
さらに、自社の独自ブランドも複数たちあげ、PB戦略トレンドも踏襲。
中でも子供ブランドの「キャット・アンド・ジャック」(Cat & Jack)はコロナ禍に20億ドルも売り上げ絶好調となっています。
● コロナ禍の2020年に20億ドル売り上げた「キャット・アンド・ジャック」(Cat & Jack)の最近の店内
こうした流れからターゲットは小規模のいわばショッピングモール的なものになってきています。コロナ禍の感染予防のため消費者はなるべく店内滞在を短くしたい。そんなときターゲットは商品は多様でありながらも、広くない店内なのでさっと買い物してすぐ帰れるのが魅力となっていったのです。
おそらくこうした理由やこれまでの商品の売れ行きの傾向からディズニーはさらにターゲットでの販売を拡大したのではないかと予想されます。そもそも商品が売れていなければ拡大しようとは考えないので実際かなり売れているということなのでしょう。
また、この時期に直営店を出すことはコロナ対策も自社でしないといけないので何かと経費がかかりますが、ターゲットに任せてしまえばかなり抑えらるなどもあるかもしれません。
商品やブランドによるかもしれませんがウィルソンやナイキ、アディダスがD2C戦略を強化する一方でディズニーは卸売を強化という真逆の動きは非常に興味深いなと思います。
ホリデーシーズン後の各社の売上がどのようになっていくのか確認していきたいところです。
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