日本国内の中小企業で深刻化する人手不足。何年も新入社員が入ってこないという会社はざらにあり、特に「モノづくり」の現場ではその傾向が顕著です。しかし、ただ手をこまねいているだけでは何も解決しません。そんな状況を打破するためにある新たな試みが打ち出されたようです。そこで今回は、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが自身のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の中で、 その試みについて紹介しています。
「オープンファクトリー」は、人材獲得の救世主となるのか?
いま、人材不足が深刻化しています。
特に、国内企業の99.7%を占める中小企業においては、会社の存続に関わるほどの大問題となっています。
経済の落ち込みは想像を超えており、就職を希望する若者は、第一に「安定」を求めるようになりました。
また、若干の売り手市場となっているいま、大手企業や将来が明るく見えるIT企業に人気が集まっています。
人材獲得に苦戦しているのは、中小企業です。
事務職に関しては、大手を諦めた若者が流れ込んでくるため、最終的には席を埋めることができています。
問題は、ガテン系や職人などの「モノづくり」の現場です。
昔からの「3K」イメージが残っていることも、選択肢に入らない理由のひとつなのかもしれません。
しかし、もっとも大きな原因は、「仕事の内容がわかりづらい」ことや「知らない世界なので、興味を持ったことがない」ことなのではないかと考えます。
聞いたことがない。見たことがない。そんな仕事に興味を持つ人はいません。
知らないのだから、当然のことです。「モノづくり」現場の人材不足は、ここに問題があったのです。
そのことに気づいた中小企業の人たちが、いま新しい試みを始めています。それが「オープンファクトリー」。町工場などの“現場”を公開し、「見学・体験」プログラムやツアーを提供し、モノづくりおよびモノづくりの町をアピールするイベントです。
一般の人が普段見る機会のない工場に入ることができ、職人から直接、製品や加工技術の説明を受けることができます。
町工場とはどんなところなのか。どんなものを作っているのか。どんな人が働いているのか。一般人のほとんどが知らないことです。周辺に住む人たちでさえ、その存在を認識していません。
誰もが知らないのだから、就職を希望する人が、その選択肢に入れることは、ほぼ皆無だと言えます。知らないものに興味は持てません。
そこで、まず知ってもらうための試みが、「オープンファクトリー」なのです。
学生に限らず、周辺住民や子どもたちにまで、広くオープンにすることで、世間一般で知られる存在となることを目指しています。
こうしたイベントが、マスコミなどで取り上げられるようになれば、興味を持つ人も出てくるし、就職先として選ぶ学生も増える可能性があります。
特に町工場で作っているものは、言葉で説明しても、理解されません。
「建材を作っている」
「産業機械のパーツを作っている」
「アルミの切削をしている」
「自動車関連のタンクを作っている」
そんなことを聞かされても、まったく理解できず、そんなところで働く自分の姿は想像できません。しかし、実際に見て、知って、実感したなら、就職先のひとつとして、考えるのではないでしょうか。
これまで町工場は、「大きなものを支える小さな存在」でしかありませんでした。ですが、その重要性をもっと知らしめる手段を得たなら、仕事の、そして職人としての誇りを強くアピールできるのではないでしょうか。
いま、モノづくり産業は、後継者不足や採用の困難に直面しています。この「オープンファクトリー」を足掛かりにして、優れた人材を獲得し、さらなる飛躍に繋がって欲しいと思います。
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