【中島聡×成田悠輔】日本の未来に絶望する若者たちが「独立国家」を作るべき理由

 

日本の離島が「独立エリア」になる未来

中島:でも「独立宣言」したら日本政府は許さないでしょう?

成田:そうですね。だから、表立って「独立宣言」をするというよりは、実質的には「勝手に別のシステムを作りだしてしまう」という感じになるのかなと思うんです。僕の知り合いにも、瀬戸内海の島の一部を買って移住してみた人がいて、そこには誰も住んでいないんだけど「昔のインフラ」だけは残っているみたいな感じらしいんですよ。誰がそこの所有権を持っているのか分からないんですけど、実質的にそこに住んでいる人はその知り合いしかいないので、その人が「島を支配している」ように見えるみたいな状況になっているらしいんです。そういう「デフォルトとしての独立島」みたいなものは、割と簡単に作れるのかもしれないなと思っています。

中島:ただ、所得は日本政府に把握されちゃいますよね。

成田:ですから、そういう島では、日本の経済システムの中には入っているんだけれども、それと並行して「別の通貨システム」とか「別の選挙システム」みたいなものをそこで動かし始めるっていう形が一番穏健なのかなと考えています。

中島:選挙はできちゃうのか。

成田:選挙はできます。「選挙を支配する」みたいなことは簡単にできるのかなと思っています。要は、自治体の過半数を奪ってしまえばそれでいいわけですよ。それで言うと、数百人から数千人の単位の人を移住させることさえできれば、ほぼ支配できちゃう小さな自治体はたくさんあると思うんです。

中島:私の知り合いでも、瀬戸内海の小さな島に「船宿」を持っている人がいるんですけど、そこも14軒しか家がありませんでした。その人がすごい人で、なぜ宿にしたかって言うと、海岸線の土地を買ったんだけど、一般の家だと建てちゃいけないっていう法律があって、でも「宿だったら建ててもいい」ということで船宿を建てて、その代わり一泊100万円にしているから誰も来ないっていう状況だそうです。ものすごく立派な宿を建てていて、そこに大きなお風呂があるんですけど、なぜかそのお風呂のお湯、というか水は、フェリーを使って運んできているらしいんですよ。日本の法律で「水の値段は安くなきゃいけない」と決められているらしくて、そのフェリーで運んだ水を大量に使ってお風呂に入っているそうなんです。

成田:瀬戸内海の島って、水を船で運ぶしかない状況って割と多いですよね。

中島:だから、この島の生活は経済的には成立していないんです。でも、水はものすごく高いはずなのに、その島はまだ独立してないから、その水が県からもらえるという。

成田:そういった形で、既存の国家の仕組みの中でも使える部分は使いながら「実質的な独立エリア」みたいなものをどう作るかっていうアイデアは面白いと思います。結局、純粋な独立国家としてその中で採算を取ろうとすると、どうしても誰かがドカンとお金を入れるしかないっていう形になっちゃうと思うんです。その形じゃなくて、「普通の人でも作れるようなコミュニティ」というモノをどうやったら作れるかっていうことが大事なのかなと思います。

中島:あんまり「国家」という形にはこだわらずに、それよりもやっぱり「投票のシステム」と「小さな経済圏」ですよね。

成田:あまりお金を持っていない、特に普通の若い人たちでも、そういったものが作れるような仕組みをどうやって作れるかということが大事なのかなと思っていまして。今ちょっと10代の人たちと一緒にいくつかの実験を始めているんです。

中島:いいですね、それ。なんか楽しいかも。

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