若者の「絶望感」をリセットするための「独立国家」
内田まさみ(以下、内田):一つだけ伺ってもいいですか? そうやって「小さな国」みたいなものを作るっていうことが、そもそもどういうことに繋がるんですか?
成田:結局は「自分たちで仕組みを作れる」っていう感覚を取り戻すことが大事だと思うんです。今の日本みたいな国での「絶望」って何かというと、要は20代とか10代の人とかが、「この国の意思決定とか国の行方に影響を与えている」っていう感覚が、もう1ミリも無くなっちゃっていると思うんです。でもそれはそうですよね、選挙に行ってる人たちの過半数が60代以上だし、永田町を見ても自民党の偉い先生たちがいろいろなことを決めていて、その偉い先生たちは若くても60代。しかもメインの人たちは7、80代みたいな感じじゃないですか。なので、「何も影響を与えようがない」「何も変えようがない」っていう絶望感を、少しリセットできるようなローカルな場所をつくるってことが大事なのかなと。それをちょっと過激に表現してみると「独立国家」みたいな存在になるのかなと。そういった小さいコミュニティみたいなものが、日本のいろいろなところでボコボコ立ち上がるような流れを作り出せたら、その集合体みたいなものが日本という国のメインストリームへの対抗馬になり得るかもしれないなって、そんな感じのビジョンです。
内田:それが、何か日本を大きく変えるキッカケになり得るってことですか?
成田:あとは単純に「ちょっと面白そうだからやってみるか」っていうのもありますよね。僕たちが物を作る時や研究をする時でも、いろいろと「小さな実験」をするじゃないですか。それと同じように、社会や国家についても「別の仕組みを試したらどうなるんだろうか」という、実験をするようなマインドセットを取り戻すことが大事なのかなと。国や社会の仕組みのようなものが大きくなりすぎて複雑になりすぎたがために、僕たちはすでに存在している国や社会というものの中で生きて行くのは当然だっていう感覚を植え込まれて、思い込まされてしまっていると思うんです。でも、19世紀ぐらいまでの社会を考えてみると、訳のわからない政治の仕組みとか、経済の仕組みなどをみんなが試していて、そのほとんどは消え去って、今使われているような仕組みがだんだんと残ってきたという感じですよね。その意味で言うと、「数百年ぐらい時計の針を巻き戻してみる」ってことが大事なんじゃないかなと思っているんです。
内田:ありがとうございます。
中島:とても深いです。
成田:中島さんは、こういうタイプの話に、元々ずっとご興味があった感じなんですか?
中島:僕はちょうどいい立ち位置に居るんです。ずっとアメリカに住んでいるけど日本語で発言しているので。日本人でありながら第三者的に日本のことを語る、それが別に好きってわけじゃないけど、ポジション的にそうなってしまっていて、日本の政治システムだったり、官僚システムだったり、経団連とか、そういう旧態依然としたものは変えるべきだって昔から言ってるけど、まったく変わらないじゃないですか。「変わらないんだな」っていう意思は持っていて、どう変えようかとは考えていなかったんですけど、「これは無理だな」という意識を持っていたから、成田さんの発言は結構フレッシュに響きました。私の「第三者的に日本を語る」ネタの一つとしては、もう最適な材料です。面白い。
……と、何も変わらない今の日本で「新しい仕組みを作る」、過激に言えば日本国内で「独立国家を作る」という斬新なアイデアの具体的な例が飛び出し、ますます面白くなってきました。気になるこの続きは2022年4月中にメルマガにご登録または、2022年4月のバックナンバー購入をいただくことでテキスト及びアーカイブ動画を全編ご覧いただけます。
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