【中島聡×成田悠輔】日本の未来に絶望する若者たちが「独立国家」を作るべき理由

 

アメリカで「町」を作ってしまったインド人宗教指導者

成田:昔からそういった試みがあったみたいで、中島さんの世代はご存知かもしれないですが、1980年代ぐらいに世界を席巻した宗教指導者でバグワン(バグワン・シュリ・ラジニーシ、インドの瞑想指導者、精神指導者、神秘家)っていう人がいたのを覚えてらっしゃいますか?

中島:いや、覚えてないです。

成田:バグワンっていう「麻原彰晃のグローバル版」みたいな人が80年代にいたらしいんですよ。

中島:それってヒッピーの流れですか?

成田:それに近いんですが、でもその人は、インド初の「謎の新興宗教指導者」なんです。その人の右腕でスポークスマン的な女性がいて、これがオウムの上祐史浩(元オウム真理教外報部長)そっくりなんです、いろいろな意味で。その二人が指導している「インド初の新興宗教」が、インドで問題を起こしたらしくてアメリカへ移住したんです。移住したアメリカの田舎町に乗り込んでいって、そこで突然「町」を作り始めるんです。山を開拓したり、自分たちで農園を作ったり、建物を作ったりしてみたら、本当に「物理的なインフラとしての町」をゼロから作ってしまった。さらに面白いのは、アメリカ全土の各地にいるホームレスに、バス代を払ってその「町」に来てもらうっていう運動を始めるんです。

中島:社会の役に立っているじゃないですか。

成田:そうすると、そのホームレスの人々は「選挙権」を持てるようになります。その新興宗教の信者と彼らがお金を払っているホームレスたちで「過半数」を取って、選挙と自治体の政治的な権限を全部奪い取る、っていうことをやったことがあるんですよ。

中島:面白いです。今、日本だったら若いフリーターがいっぱいいるじゃないですか。そういう人たちを集めるという。

成田:どうせ「悲惨な生活」を続けなければいけないのであれば、そういう「楽しいギャンブル性のある悲惨さ」を目指した方がいいんじゃないかなと。

中島:そこで成田さんが王として君臨するんですね。

成田:いや、僕は「事務局員」みたいな形で裏方がいいかなと思っています。

中島:上祐ですか?

成田:今、スポークスマン的な人を探しているところです。僕、元々そんなに表に出たい人間じゃないんです。どっちかっていうと裏でヘラヘラしてるほうが好きなタイプの人間なので。

中島:面白い設計をしたりしてね。でも面白いです、「どう設計するべきか」とか。

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