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必ず弾ける“マンションバブル”。都内新築価格が1億円、違和感だらけの不動産市況

バブル期よりも高値を更新した2021年の新築マンション平均価格。賃金が上がらない、値上がりラッシュで不景気が叫ばれる中、なぜこんなにもマンションの需要が高まってきているのでしょうか?今回は、メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者で一級建築士及びマンション管理士の廣田信子さんが、その理由を考察しています。 

首都圏のマンションの平均価格が1億円??

こんにちは!廣田信子です。

不動産経済研究所が4月18日に、2021年度の首都圏1都3県の新築マンション販売状況を発表しました。

2021年度の首都圏の新築マンション1戸当たりの平均価格は前年度比6.1%上昇の6,260万円となりました。バブル期の1990年度を上回り、過去最高を更新したと言います。

東京オリンピックの選手村「晴海フラッグ」の一部住居販売では、平均倍率6.6倍。郊外物件にも人気が集まり、販売住戸の販売初月の契約率は7割を上回っています。

背景には、消費者の間で新たなライフスタイルに合う住宅を探す動きが高まっているからだ言われます。

通勤の利便性や将来の売却を考えて、職場に近い東京23区のタワーマンション、複数路線が走る郊外の駅近物件を選ぶ人は、コロナ禍以前から多いのですが、最近は、ファミリー層を中心に、広さなど住環境を重視する人も多く、割安感から最寄り駅からバス便物件の人気も高いと言います。ここは、コロナ禍、在宅勤務の増加で大きく変わったところです。

2021年のリクルートの首都圏新築マンション契約者動向調査によると、購入者のうち、既婚世帯の共働き比率は74%と、調査開始以来で最高となりました。

世帯収入が高い共働き夫婦「パワーカップル」の存在感の大きさと、低金利の支えもあって、ローン借入総額は平均4,941万円と10年前から約1,700万円増加しています。

お給料が上がらないと言われている中で、10年で1,700万円のローン借入額増加というのは、ほんとうにすごいことです。

首都圏の販売戸数がピーク時の1/3と供給量が絞られる中で、「販売価格は当面下がらない」との見方が、購入者の背中を押していると言います。

用地取得費や建設会社の労務費の上昇で、新築マンションはまさに「高嶺の花」です。今年2月は、戸当り価格が、前月比16%上昇の7,418万円。東京23区は、9,685万円と1億円に近づいていると言います。

しかし…この価格は普通じゃないと思います。

その一方で、東京都の管理不全マンション調査では、1983年以前のマンションで、約16%に管理不全兆候があることがわかりました。

これまで、国は、補助金や住宅ローン減税等の優遇措置で、新築住宅重視の政策をとってきました。

人口増の時代の住宅の量を確保する政策には、合理性がありましたが、人口減少時代に、今後も、新築マンションが高値で増え続ける政策を続けると、古いマンションで空室が増え、将来的には、管理不全につながる恐れが生じます。

今は新築マンションの供給量不足で、中古マンションにも関心が集まっていますが、住宅ローンの固定金利が上昇する動きも見られる中でも、金利が今後上がるかも知れないということは販売実績に影響がないという現状には、何か怖いものを感じてしまいます。

賃金が上がらないでコロナ禍、ウクライナ情勢により、生活費が物価高にさらされる状況で、厳しい状況が続くのではないかと言われる中でです。

とにかく、東京23区の新築マンションの平均価格が1億円に近づいているという状況は、マンションの世界で普通じゃないと思います。この不自然さは、どこかで弾けるのではないかと思わされます。

そういえば、管理計画認定制度も、既存マンションとは段違いの簡単なシステムで、新築マンションは、予備認定という制度が活用できるのでした。

どういう状況になっても、今後、きちんと管理されている中古マンションが、正当に評価されることが必要です。

そのためには、それができない中古マンションには、厳しい状況がくることも考えられます。

マンション管理は新たな曲面を向かえようとしています。

image by : Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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