サブスクと呼ばれるビジネスが定着し、多くのサブスクサービスが新規に現れてきました。そのなかでも今回のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では著者の理央さんが注目したのは、世界的に有名なギターメーカーの『フェンダー』が手掛けるサブスク。売り切りのはずのギターメーカーで、いったい何をサブスクしているのでしょうか?
この記事の著者・理央 周さんのメルマガ
売り切りの商売から抜け出るには?~初級者をファンに:LTV向上で利益を上げるフェンダー
アメリカのギターメーカー「フェンダー」が、サブスクリプション(定額課金)型の、オンラインでのレッスンサービス、「Fender Play(フェンダープレイ)」を提供しています。
日本でも5月からサービスが開始されました。動画の日本語でのサービスはまだのようですが、サポートなどは日本語で書かれています。
このホームページで、フェンダープレイとは、「初心者が数分間でPlayできるように教える、ガイド付きのオンライン学習プログラム」と説明されています。
そこには、かなりの数のギターを教えてくれる動画が、3,000以上アップされているようで、この中から自分の学びたいことを学べる仕組みになっています。
フェンダープレイの使用料金は月額だと$9.99、年間契約すると$89.99とのことです。
1ヶ月1,400円ちょっと、ということだと、楽器教室にいくよりは自分のペースで好きな時に練習できるのもいいですね。
初心者向けから用意されているので、まずはここから始めてできるようになったら先生につく、というユーザーも多くいるかと思われます。
私も高校時代にバンドをやっていました。パートはリードギターでしたが、その時にはフェンダーのギターは憧れでした。
今は当時よりもお値打ちに買うことができる、初心者にも手が届くモデルも出しています。
私がギターを始めたのは、中学生の時で、ロックをやりたかったのですが、当時インターネットはおろか、ロックのギター教室もありませんでした。
音楽雑誌を買って、付録の譜面を参考にして弾いてみたり、レコード(古いですね)を聴きながら、コピーして真似てみることから始めるのが普通でした。
そう考えてみると、初心者にとってこのサブスクは、繰り返し学べるし、好きな時に練習できて便利ですよね。
このサブスクの特徴は、初心者向けのコースが充実していること。ギターやベースをこれから始める人たちに弾き方を教えることで、フェンダーのファンになってもらい、ずっと買ってもらいたい、という意図を感じます。
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1人の顧客が生涯のうちに、自社製品にどれだけのお金を使うかを、積算することを「LTV=顧客生涯価値」と言います。
自転車を例にとってみましょう。最初は三輪車を買い、次に補助輪付きの子供用自転車を買います。大きくなったら、通学用の自転車を買い、そこから枝分かれして、マウンテンバイクやスポーツバイク、電動アシスト付き自転車に枝分かれしていきますよね。
フェンダーも、入門の時からフェンダーのギターを買ってもらい、中級、上級になるにつれて、より良いギターが欲しくなるプレイヤーに、ずっとフェンダーのギターを買ってもらいたいですよね。そのために、最初からどうぞ、という戦略の1つが、このサブスクなのです。
さらにフェンダーは、このサブスクのサービスで、楽器を売るだけという“売り切り”の商売から、継続の商売へと転換できます。
仮に他のブランドのギターを買っても、サブスクで学んでいれば、フェンダーのことを思い出す機会も増えますし、周辺機器の購入にもつながります。
それらにともなってLTVも上がりますよね。
モノに加えて「使い方」も一緒に売る、というのは製造業や、ジュエリー、アパレル業など、製造販売を一体にしているビジネスでも同じことです。
ITを活用して、サブスクを始めるのは、その1つの戦略として参考にできますよね。
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image by:Editorial credit: Jeppe Gustafsson / Shutterstock.com