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罰則金利「4年で3倍」に驚愕。えげつない中国“途上国からの貸付金回収法”

他国に真似のできない迅速かつ集中的な融資で、途上国からの信頼を勝ち得てきた中国。しかしその「取り立て」はえげつないと言っても過言ではない手口のようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、アメリカの研究機関の報告により明らかになった、中国による貸付金の回収法を紹介。併せて中国による台湾侵攻の可能性を考察するとともに、彼らの覇権主義に備えるために日本こそがアジアの盟主たるべき、との見解を記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年11月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】崩壊が止まらない一帯一路と求められる日本の覚悟

イタリアに続きフィリピンも、中国「一帯一路構想」を離脱する意向

イタリアは中国の「一帯一路」からの離脱を表明していますが、今度はフィリピンも離脱の可能性があるとニューズウィークが報じました。

フィリピンは、親中姿勢だったドゥテルデ前大統領の時代の2018年、スービックとクラークを結ぶ路線、南部長距離鉄道、ミンダナオ島のダバオとディゴスを結ぶ路線の3件の鉄道について、中国の融資により建設するプロジェクトを締結していました。

ところがドゥテルデ大統領が退任し、中国に厳しい姿勢を示す現マルコス大統領が就任すると、中国による領海をめぐる衝突、中国船による領海侵犯などにより両国の関係は急速に冷え込みました。さらには中国がこの3件の鉄道に関する融資に応じなかったため、フィリピン側では契約は破棄された見なし、新たな資金調達先を探すことになりました。

フィリピン鉄道計画、日韓印から資金提供の申し出=運輸相

フィリピンの運輸相は11月6日、すでに、日本、インド、韓国から融資の申し出があったことを明らかにしています。

フィリピンは10月に中国で開かれた「一帯一路フォーラム」も欠席しました。しかも、2017年に開催された同フォーラムには37カ国の首脳が集まりましたが、今回は23カ国にとどまっており、退潮は明らかです。

「一帯一路」については、資金などの実態について不透明な部分が多いのですが、最近、非常に興味深いレポートがアメリカで公表されました。11月6日、アメリカ南部バージニア州のウィリアム・アンドメアリー校のエイドデータ研究所が、中国による途上国のインフラ事業などの実態を分析した最新の報告書を発表したのです。

中国 途上国への巨額融資“罰則金利3倍近くに”米研究機関分析

それによると、中国は途上国に対して西側諸国を凌駕する、スピーディな融資を行ってきたことで、途上国からありがたがられるようになり、現在では世界最大の債権国になったものの、融資審査が甘いため、資金回収が困難になるケースが急増したとのこと。

そこで中国は途上国との間で秘密の専用口座を設定し、融資返済が滞った際には中国だけが担保の現金を引き出せるようにしました。しかも、中国が預金を引き出して空っぽになってしまった場合には、途上国のインフラ事業から入ってくる収益が自動的に補填される仕組みになっているのです。

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加えて、返済が遅れた途上国に対しては、金利を3倍近くに引き上げました。2017年までの4年間は上限が3%であったものが、2021までの4年間は8.7%まで引き上げられていたのです。

中国流“金融道”の実態 「債務のわな」よりはるかに巧妙か

同研究所は今回明らかになった専用口座や預金補填などによって、中国が確実に融資回収するやり方は、単に借金漬けにしてインフラを乗っ取る「債務の罠」よりもずっと巧妙だと指摘しているそうです。

エイドデータ研究所は、主に途上国の財務省の債務情報から、こうした契約の実態を突き止めたそうですが、契約には厳密な守秘義務があるため、他の債権国には分からないようになっているとも指摘しています。実態がわからないから、また騙される国も出てくるというわけです。

今回、フィリピンの鉄道建設の融資が白紙になったのも、こうした条件を中国が突きつけて、フィリピン側が拒否したためだという可能性もあります。

一方、フィリピンが中国にかわって信頼度を高めているが日本です。岸田首相が11月3日にフィリピンを訪問しましたが、日本はフィリピン海軍に6億円相当の沿岸監視レーダーシステムの供与を決定しました。これは、「同志国」の軍に防衛装備品などを無償で提供するために今年度に創設した「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の適用第1号となりました。

フィリピンに監視レーダー供与へ 首相訪問で日本のOSAを初適用

加えて岸田首相は、フィリピン沿岸警備隊に巡視船5隻を追加供与することを決定しました。これらはいずれもフィリピンの主張する領海への侵犯を繰り返す中国を意識してのことです。

岸田総理がフィリピン沿岸警備隊を訪問 日本供与の大型巡視船を視察 中国念頭に関係強化

前回のメルマガでも述べましたが、中東情勢が緊迫し、アメリカが中東政策の見直しを迫られるなか、アジアの平和と安定のために日本の役割がきわめて重要になりつつあります。アメリカが中東に精力を傾けざるを得なくなり、アジアへの関与が薄れれば、中国がその機を狙って台湾侵攻を仕掛けてくる可能性が大きくなります。

逆の言い方をすれば、この機会を逃せば、中国のチャンスは遠のくわけで、それを踏まえて行動に踏み切る可能性は少なくないのです。

もっとも、イギリスの「エコノミスト」によれば、台湾侵攻には、人と物の輸送が不可欠で、そのために中国軍は3,000の軍用列車、100万の車輌、2,100の航空機、8,000隻以上の船舶が必要であり、これはアメリカとその同盟国が行ったノルマンディー上陸作戦をはるかに上回る規模だとのことです。

陷補給困境! 經濟學人:中國侵台後勤規模 高過諾曼第登陸

私もかねてから、中国が台湾を仮に侵攻・統一しても、これを維持するのは不可能だと主張してきました。資金と労力が莫大になるからです。漢の武帝も対外侵略を繰り返して版図を過去最大にまで広げましたが、財政が逼迫したことで社会が不安定になり、やがて前漢の衰退を招きました。

中国の歴史には、このように外征により国が疲弊し衰退していく例がいくつもあります。隋も高句麗遠征に失敗したことが、滅亡の原因となっています。

歴史は繰り返すと言いますが、中華思想の中国では対外侵攻は「懲罰」であり、必然でもありました。「中華民族の偉大な復興」を掲げる「皇帝」習近平が台湾をはじめとする対外侵攻を実行する可能性は低くないのです。

中国の覇権主義はいずれ中国に破綻をもたらします。中国の覇権主義に備えるためにも、そしてその後の中国の混乱に対応するためにも、やはりアジアの盟主は日本しかありません。

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