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なぜ高市首相は「非核三原則の堅持」を言わなかったのか?広島スピーチに仕込まれた恐るべき伏線

今年の広島平和祈念式典で、小学6年生の2人が朗読した「平和への誓い」。被爆者が10万人を下回った今、「最後の世代」の子どもたちの言葉は胸を打ちます。ところがその一方で、小泉進次郎防衛相は核の「タブーなき議論」を唱え、高市首相は歴代首相が繰り返してきた「非核三原則を堅持していく」という言葉を口にしませんでした。メルマガ『きっこのメルマガ』では、人気ブロガーのきっこさんが、米国の新核戦略「戦術核」の日本配備という背景から、非核三原則の「持ち込ませず」が骨抜きにされていくシナリオを読み解いています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです

非核三原則が邪魔な高市首相

今年も8月6日には広島で、8月9日には長崎で、それぞれ「原爆の日」の「平和祈念式典」が行なわれました。8月6日は木曜日なので、あたしは「子ども食堂」のお手伝いの日、今年はリアルタイムで観ることができず、帰宅してから夜に観たのですが、「こども代表」として「平和への誓い」を朗読した小学6年生の柿崎由宇さんと河野和希くんの場面で、涙が止まらなくなってしまいました。

『平和への誓い』

もしも「大切なもの」が一瞬で消えてしまったら、どんな気持ちになるのでしょうか。

私たちが笑い合っているときにも、尊い命が失われている現状があります。

今もどこかで、当たり前の日常がうばわれています。

ぼろぼろになった制服。

黒く焦げたお弁当箱。 それは、当たり前の毎日を生きていた証です。

昭和20年(1945年)8月6日、午前8時15分。 たった一発の原子爆弾が、人々の暮らしを、人生を地獄に変えました。

髪は焼けちぢれ、全身の火ぶくれが破れ、火傷した皮膚が垂れ下がった人々。

「痛いよ。苦しいよ。」

「助けて、お母さん。」

「死にたくない。」

「助けてあげられなくてごめん。」

死んでしまうつらさ、生き続ける苦しみは、想像することさえ恐ろしいことです。

私たちには、被爆体験を直接聴くことができる最後の世代として、 当時の記憶を事実として受け止める使命があります。

目をそらさず、知ろうとすること。 悲しい現実でも向き合うこと。

そこには、「生きたかった人々」、「生き続けた人々」の思いがあります。

私たちには、広島のこどもとして、行動する責任があります。

相手の気持ちを想像し、意見の違いがあっても認め、受け止めること。

平和への思いを、自分なりの方法で表現すること。

一人一人の小さな行動が、平和への後押しとなります。

平和とは、誰かからあたえられるものでなく、世界中の人々で創り上げるものです。

こどもである私たちも、その一員として平和への一歩を踏み出します。

かけがえのない「大切なもの」を、確かな希望を、未来へ届けるために。

令和8年8月6日

こども代表

広島市立高須小学校6年 柿崎由宇
広島市立高南小学校6年 河野和希

被爆体験を聴ける最後の世代

今回、この「平和への誓い」の中に「私たちには、被爆体験を直接聴くことができる最後の世代として、当時の記憶を事実として受け止める使命があります」という言葉がありました。被爆者は去年とうとう10万人を下回り、平均年齢は86歳を超えてしまいました。由宇さんと和希くんは、自分たち「最後の世代」が、被爆体験者に対して「目をそらさず、知ろうとすること」「悲しい現実でも向き合うこと」が何よりも大切だと訴えました。

しかし、唯一の戦争被爆国であるこの国の大人たちの中には、過去の事実から目をそらし続けるだけでなく、事実を捻じ曲げて戦争を美化したり、過去の過ちをまた繰り返そうとしている愚かな人たち、反省ゼロの人たちもいるのです。そして、その最たる者が、現在の防衛大臣である自民党の小泉進次郎氏なのです。小泉進次郎氏は、広島と長崎の「原爆の日」を控えた7月17日、インターネット番組に出演し、ジャーナリストの桜井よしこ氏とのやりとりの中で「核兵器」について、次のように述べたのです。

「日本にとっては議論するのが難しい課題だが、触れざるを得ない一つは核だ」 「あらゆる政策をタブーなく議論し、進めなければならない」

この言葉足らずで頭の悪そうなポエムを正しい日本語に翻訳すると「日本は唯一の戦争被爆国として、非核三原則の見直しや緩和については議論することさえタブー視されて来たが、現在の世界情勢を考えると、いつまでもそんな生ぬるいことは言ってられない」という意味になります。ちなみに「非核三原則」とは、核兵器について「持たず、作らず、持ち込ませず」というもので、1967年に佐藤栄作首相が国会で表明し、1971年に国会決議で国是化した日本の基本方針です。

しかし、そんなことなどお構いなしの小泉進次郎氏は、5日後の7月22日、訪問先のベルギーで、核戦力を増強するフランスなどEUの動向に触れながら「(日本も)タブーなく核兵器について議論すべき」と述べ、自分の無責任な発言を自分で後押ししたのです。

今年の4月には自民党の党大会で陸上自衛隊の女性隊員に国歌を斉唱させ、手を握り合ったツーショット画像までツイートして鼻高々だった進次郎氏。「自衛隊員の政治的行為は自衛隊法違反」と指摘されると「彼女は私人として歌唱した」などと安倍昭恵フレーバーなトンチンカンな言い訳をして、マッハでツーショット画像を削除して証拠隠滅しちゃいました。

そして、その直後、今度は海上自衛隊の幹部のことを「軍人」だとツイートしてまたまた炎上。その後の記者会見では「国民に分かりやすく伝える観点から(軍人と)表記した」などと、やっぱりトンチンカンな弁明。つーか、この説明を本気で言ってるなら、小泉進次郎氏は自衛隊員のことを「本当は軍人だが便宜上しかたなく自衛隊員と呼んでるだけ」と理解していることになります。

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CSISで調教されたアメポチ政治家

‥‥そんなわけで、やる気ゼロだった農水大臣の時とは人が変わったように、やる気マンマンになっちゃった小泉進次郎氏ですが、関東学院大学経済学部を卒業後、米コロンビア大学の大学院政治学部へ留学するというエリートコースを歩んで来ました。でも変ですね。コロンビア大学の大学院は、英語能力がTOEFLのスコアで600点以上ないと入学できないのに、英語は日常会話もたどたどしい小泉進次郎氏がどうやって入学できたのでしょうか?

で、調べてみたら、あらららららららら‥‥、親米的な首相だった小泉純一郎氏の息子ということで特別扱いされ、特例中の特例として「大学内で英語の授業を受ける」という条件付きで入学が許可されたそうです。そして、CIAと繋がっている政治学者ジェラルド・カーティス氏に師事して、わずか1年で修士課程の学位を取得すると、ジャパンハンドラーのリチャード・アーミテージ氏が理事を務めていた米国陸軍・海軍直系の戦略国際問題研究所「CSIS」の日本部の研究員となったのです。

小泉進次郎氏は、この「CSIS」でジャパンハンドラーから徹底的に米国の飼犬として調教され、親米を基本とした外交や安全保障を叩き込まれました。その結果、帰国して小泉純一郎氏の秘書となってからは、父親と同様に、常にアメリカの意向に沿うような構造改革や規制緩和を盲目的に推進するアメポチ政治家へと成長して行ったのです。そして、ついにアメリカのために「CSIS」時代の経験が最大限に生かせる「防衛大臣」というポストに辿り着いたのです。

「戦術核」の配備先は日本と韓国

さて、核兵器と言えば、1年ほど前からロシアのプーチン氏がヤタラと「戦略核」「戦術核」という言葉を多用するようになりました。最初はウクライナに対する言葉の上での脅しでしたが、昨年10月には陸・海・空軍がすべて参加した大々的な「戦略核演習」が実施されました。また、今年5月には「戦略核の強化継続」を表明し、相手国の最新防衛システムを突破する新型ミサイルの開発も進めると述べました。

一方、アメリカも、昨今の中国やロシアの脅威を踏まえた上で、日本や韓国などの同盟国を防衛するために「新たな核戦略」を策定したと報じられました。アメリカの各メディアの報道によると、現在の「核の傘」は相手国の大都市などを広範囲に破壊する「長距離戦略核」が主軸だが、今後は特定の小規模な標的を狙える「短距離戦術核」を主軸にするという内容でした。

ちょっとややこしいですが「戦略核」とはICBMなどの長距離ミサイルに相手国を木っ端みじんにするような恐ろしい核弾頭を積んだもの。一方「戦術核」とは、射程距離が500キロ以下と短く、核弾頭も数キロトン~数十キロトンと小型のもの。こんなふうに言われると「戦術核」を「プチ原爆」みたく思う人も出て来そうですが、広島に落とされた原爆「リトルボーイ」は15キロトン、長崎に落とされた原爆「ファットマン」は21キロトンなのです。

長崎は坂の多い場所だったため被害エリアが限定されましたが、もしも広島のような平地だったら、何倍もの犠牲者が出ていたと言われています。

で、アメリカが日本や韓国などの同盟国を中国やロシアなどの脅威から防衛するための新たな「核の傘」ですが、今後は現在の「戦略核」から「戦術核」を主軸としたものに移行すると言うのです。そして、その「戦術核」の射程距離が500キロ以下ということは、つまり日本や韓国にも配備しろって話なのです。有事はいつ起こるか分からないのに、アメリカの原子力潜水艦を常に日本海に沈めとくわけには行かないからです。

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高市首相が言わなかった「堅持していく」

こんな背景の中、まるで広島と長崎の「原爆の日」に釘を刺すようなタイミングでの小泉進次郎氏の「タブーなき議論を」という発言。さらには、まるで小泉進次郎氏とLINEでやり取りしてるんじゃないかと疑いたくなるような絶妙な表現の高市早苗首相の広島でのスピーチ。

広島と長崎の「原爆の日」のスピーチで、歴代首相は一貫して「日本は非核三原則を堅持して行く」と述べるのがお約束でした。世界唯一の戦争被爆国でありながら、アメリカの顔色をうかがって「核兵器禁止条約」を批准せず、それどころかオブザーバー参加すらせず、未だに日本はアメリカの植民地なのかと疑いたくなるような腰抜けぶりを披露して来たので、せめてもの国家としての体裁が、この「日本は非核三原則を堅持して行く」でした。

それなのに、嗚呼それなのに、それなのに‥‥というわけで、今回のスピーチで高市首相は、歴代首相とは微妙に表現を変えて、次のように述べました。

「わが国は非核三原則を堅持しており、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた努力をたゆまず続けていく使命を担っています」

これは最初から最後まですべてが単なる「現状説明」であって、今後のことについては何も言っていません。あの安倍晋三首相でさえも就任中は常に「非核三原則を堅持しつつ、国際社会の取り組みを主導して行く」と言っていたのに、高市首相は「今後も非核三原則を堅持して行く」とは一言も言わなかったのです。

ま、昔から「非核三原則は邪魔」と言い放ち、特に「持ち込ませず」という項目は見直すべきだと主張して来たのが高市首相なのです。2年前の2024年に産経新聞出版から刊行した自著『国力研究~日本列島を、強く豊かに。』の中でも「非核三原則は邪魔」「安保3文書から削除すべき」などと声高に主張しています。

何しろ高市首相は、初当選した翌年の1994年10月12日の衆院予算委員会で、先の大戦について「侵略戦争」を「謝罪」した村山富市首相に対して、どこかのキャバレーのお姉さんみたいな真っ赤なスーツで「勝手に謝っては困る!」と食って掛かったのです。それどころか、翌年1995年3月16日の衆院外務委員会では、いわゆる「不戦決議」に関する質疑の中で、こんなことを真顔で言ったのです。

「(私は)当時の戦争の当事者とは言えない世代ですから、戦争の反省なんかしておりませんし、反省を求められるいわれもないと思っております」

所詮はこんな人なのです。だから、広島に原爆が落とされたことも、長崎に原爆が落とされたことも、高市首相にとっては「自分が生まれる前の話」であって、自分には無関係なのです。今の自分に必要なのは、アメリカの核兵器を日本に持ち込めるようにすること、そのために邪魔な「非核三原則」を骨抜きにすることなのです。

水面下でのアメリカからの命令通りに、日本にも米軍が「戦術核」を搭載した短距離ミサイルを持ち込めるようにするため、以前から「邪魔だ、邪魔だ」と思っていた「非核三原則」の「持ち込ませず」を見直したい。それが高市首相の現在の最優先課題なのです。もちろん、この項目をザックリと削除することは不可能なので、日本維新の会のための「副首都構想」を強引に通した時のように、例によってテイのいい付帯を利用するとあたしは読んでいます。

たとえば「日本人の生命と財産を守るために同盟国の核兵器が必要と判断された場合」などという特例を付帯して、「非核三原則」の「持ち込ませず」を形骸化するのです。もちろん、国民などポテトチップスよりも軽いと思っている高市首相ですから、国会で審議などせず、お得意の「閣議決定」だけで勝手に決めることでしょう。

それにしても、世界唯一の戦争被爆国の首相に「私は戦争の当事者じゃないので反省なんかしてない」と言い切る人物が就任し、今度は日本が他国に向けて核兵器を使おうとするなんて、世も末です。まったく、こんなにイカレた戦争大好きおばさんには、広島市の小学生、柿崎由宇さんと河野和希くんの爪の垢を濃いめにドリップして、たっぷりと飲ませてやりたいです。

(『きっこのメルマガ』2026年8月12日号より一部抜粋・文中敬称略)

 

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