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弾薬枯渇、残るは「核兵器」使用か?イラン戦争の出口を探るトランプに残された“3つのシナリオ”

圧倒的な軍事力で世界中に睨みを利かせていたアメリカが、まさかの弾薬不足に追い詰められつつあるイラン戦争。出口を模索せざるを得ないトランプ政権に対し、イラン側は厳しい条件を突きつけるという構図となっているのが現状です。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、ホルムズ海峡を巡る交渉やアメリカとイラン双方の置かれた状況を詳しく解説。さらにウクライナ戦争や中国国内の動向にも目を向けつつ、今後の世界情勢を左右するポイントを考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:米国の敗戦確定か?

米国の敗戦確定か?トランプがようやく認識した自国軍の現状

イラン戦争で、米国の弾薬が枯渇して、イランとの戦争継続ができない事態であることをトランプ氏が認識した。今後を検討しよう。

先週、株価は1,500ドルの上昇。イランとの戦争について、ベッセント財務長官が戦争が終わると表明して、株価が上昇した。それと、7日の雇用統計で予想外の2.3万人減となり、9月のFRB利上げ観測が後退し、円為替介入後158円台に戻したが、雇用統計発表した8日朝の時点で157円台まで円高になっている。

日米協調介入で155円台になったが、介入ではトレンドが変わらないとの評論家の声もあったが、9月米FRBが利上げできないことと、日銀が9月利上げすることで、円安のトレンドは確実に解消されたようである。ということで、ベッセント財務長官は雇用統計を見て、協調介入に踏み切ったようにも思える。

投資家は、ベッセント財務長官には逆らえないことが、分かったようである。

「米軍の弾薬枯渇」を報道で知ったトランプ

米軍高官らは、米軍が主要なミサイル防衛システムの迎撃ミサイルを80%近く使い果たし、弾薬備蓄が「危険な水準にまで減少している」と警告した。また、米陸軍が遠方から精密攻撃が可能な「ATACMS(エイタクムス)」と「PrSM(プリズム)」の2種類の地対地ミサイルの大半を使い切ったという。また、イランに対して1,300発以上の戦術弾道ミサイルを発射したという。ミサイルの備蓄が少ない状況になっているようだ。

このため、ケイン統合参謀本部議長はここ数週間、トランプ政権の主要顧問達に対して内々に、イランとの戦争の出口を見つける必要性について進言していた。

しかし、この情報はトランプ氏には伝わっていないために、危機感を感じた米軍高官複数が報道機関に漏らしたようである。

これを報道で知ったトランプ氏は、ヘグセス国防長官に確認後、イランとの戦闘は近く終結すると述べた。トランプ氏は負けている時ほど「勝った、勝った」と言っていたが、今は沈黙である。

そして、ベッセント米財務長官も4日、ホルムズ海峡の開放に向けたイランとの合意が「きょうか明日にも成立する可能性がある」と話した。

しかし、イランは、ホルムズ海峡を巡って米国と交渉しているとの見方を否定し、オマーンとの協議はあくまで2国間のものだという。

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通常弾薬の枯渇に喘ぐ米軍が使うしかない「あの兵器」

そして、イランとオマーンがホルムズ海峡再開に向け合意し、イランの外務省がホルムズ協定に関する詳細を明らかにした。

  1. イランは北と南の海路を閉鎖する
  2. その地域に2~4か月間の仮設航路が設けられ、ほとんどの海上交通はイランの領海を通る
  3. この期間中に、ホルムズ協定の第2段階に関する交渉が行われなければならず、海上通行料に関する議論を含む
  4. ホルムズ海峡の完全な再開は、米国が海上封鎖とエネルギー制裁を解除し、イランの凍結資産を解除すること

そして、イランはホルムズ海峡を通るすべての商用船舶に対して7%の手数料を取るという。

その上、イランの国会議員らが、特定の船舶に対する規制や違反者への罰則を盛り込んだ、ホルムズ海峡の通航を規制する法案を起草したという。敵対国の船はホルムズ海峡の通行を禁じるということのようである。

これに対して、米国の要求は

しかし、イランの通行料徴取に対して、米当局者は、「航行妨げない合意なら海上封鎖を解除する」という。

理由としては、米国の石油備蓄が少なくなり、日本への原油輸出も20%削減して、米国内の需要に備える必要があるからで、このままホルムズ海峡の封鎖が続くと、世界経済に大きなダメージになるからである。

その上にさらに、イランは米国に対する要求として

  1. 米国の脅威と侮辱の終焉
  2. 米国によるイランおよびその同盟国(レバノン、パレスチナ、イエメン、イラク)に対する戦争の恒久的な終結
  3. 海上封鎖の解除と米軍の撤退
  4. 戦争被害に対する3,000億ドルの賠償金
  5. すべての制裁の解除
  6. 凍結資産の無条件解放
  7. イランによる貨物に対する最大7%の徴収権
  8. 米国およびイスラエル船の禁止
  9. 条件違反時の船舶に対する20%の違反税

この降伏的要求を実現しないと、ホルムズ海峡を解放しないという。ということで、トランプ氏はイランに負けたことを認めて、イランの要求を飲むかどうかである。

今後のシナリオとしては、1つに、このままイランに負けることで、イランは核開発も認めさせようとする。これにトランプ氏は承認するかどうか。

2つに、戦術核兵器での脅しと使用である。通常弾薬が枯渇しているので、攻撃するなら戦術核兵器しかない。

3つに、中国の崩壊により、軍事物資がなくなり、イランも苦境になり、米国との交渉を再開する。

そして、イスラエルは、イランに対する一方的な攻撃の準備を進めている。米国がもはや自国にとって有利な条件で戦争を終結させる意思がないと判断したためだ。これは危ない。

中東関係では、トルコ、パキスタン、サウジアラビアが共同防衛協定を結び、サウジは、イスラエルとの友好関係を定めたアブラハム合意を拒否するようである。

サウジなどはイランとイスラエルの2つの強国に対して、共同で対応するようである。

8月9日朝9時現在の状況であり、非常に早く事態が動くので、X等で事態の推移を追いかけてください。

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ロシア西部への展開を開始した北朝鮮のミサイル部隊

パトリオット防空ミサイルの枯渇で、ウクライナはロシアの弾道ミサイルの防御ができなくなっている。

このため、ポーランドのシコルスキ外相は、ウクライナがミサイル迎撃装置を使い果たした後、他国がキエフ上空のロシアのミサイルを撃墜し始めるべきかどうかという議論を呼びかけた。NATOがウクライナ戦争に参加することになり、難しいとは思う。

ゼレンスキー大統領は、スターリンクをロシア内でも使えるようにしてもらい、弾道ミサイルの発射台を破壊したいと要請したが、イーロン・マスク氏は、この要請を拒否した。

このため、ゼレンスキー大統領は、すべてのウクライナ外交官、政府当局者全員、そして国防省は、パトリオット・システム用のPAC-2およびPAC-3ミサイルが世界のどこで入手可能か、また他の防空ミサイルについても知っておく必要があると発破を掛けている。

パトリオット迎撃ミサイルは世界的に枯渇状態であり、手に入らないし、他の迎撃ミサイルとしては、日本と韓国にあるが、韓国は、ロシアとの関係を悪くしたくないので、ウクライナへの提供を拒否しているし、日本も戦争実施国への兵器輸出を禁止している。

このことから、ウクライナは独自の弾道ミサイルと新たな弾道ミサイル迎撃システムの開発を加速させている。日本の迎撃システムの情報を欲しがっているが、日本は教えないようだ。

その上、北朝鮮のミサイル部隊がロシア西部への展開を開始しており、対ウクライナ攻撃用に弾道ミサイル120発と発射装置6基を装備するとした。北朝鮮も攻撃に参加のようである。

その上、ロ軍は、7月に滑空爆弾8,300発超を投下し、開戦以来最多を更新して、ドンバス前線制圧の切り札にしているという。さらに、ロ軍がドンバスの前線でWIFIアンテナを立てて、ドローンを前線に飛ばし、ウ軍を攻撃している。

ウ軍もドローンで防御しているが、兵力差が大きいのと少人数の浸透作戦で効果を上げている。勿論、犠牲者数も大きいが、ロ軍は総動員を秋には行い、ドンバスを完全占領しようとしている。それで停戦になるようだ。

しかし、ロシア国内での混乱も大きく、米国がイランに戦術核を使用したら、確実にロシアも戦術核を用いるとみる。

まだ、戦争の推移はウ軍有利と確定していない。

中国の崩壊で戦争の維持が困難になるイランとロシア

習近平主席は、中国人の出国を制限して、海外に自国民が出られないようにする。中国の現状を知られたくないのと、資金を海外に持ち出されないようにするためである。

それと、「掃黒徐悪」という指令を出し、国内の暴力団と法令違反の会社を一掃するというが、これは民間企業から資金を巻き上げて、地方政府の資金獲得の手段を示したようである。

中央政府が多くの税収を得ているが、地方政府の収入のほとんどが土地の切り売りであったが、この土地の売却ができなくなり、収入源を無くしたことで、地元民間企業から資金を巻き上げろということである。

この政策で、いつまで中国の地方政府は維持できるかである。もし、維持できないと、中央政府の税収を奪うしかなくなる。

非常に危うい状況になっている。中国の技術に依存出ているのが、イランとロシアであり、中国が崩壊すると、この2カ国も戦争を維持できなくなる。

逆に中国が台湾を攻めることも心配もしないといけないが、軍隊の給与が出ていないとも聞く。これで兵が動くのかという疑問が出ている。

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ドイツ経済の危機的状況で沈下が進む欧州全域

スペインは不法移民を合法化したことで、イタリアは、スペインとの国境を封鎖した。移民の流入を阻止するためである。

ドイツ経済は危機的な状況になっている。ベンツ、フォルクスワーゲンなどの自動車産業で中国部品を使用したことで、故障率が上昇し、かつEVシフトしたが、中国のBYDに価格面で負けて、経済的な不況になっている。このため、自動車産業活性化のために、競争力のある兵器産業にシフトするようである。

ドイツ経済が下降したことで、欧州経済全体が下降している。石油価格の高騰でインフレになり、かつ景気後退であり、スタグフレーションになっている。

日米協調介入で利上げが必要となった日銀

先週、株価は1,240円の上昇。ドル円は155円から158円まで円安になったが、米雇用統計で157円の円高に振れた。

イラン戦争が終わるというベッセント財務長官の言葉で5日は2,300円高の株高にもなった。原油安にもなっている。

今年1月にスイスで米財務長官が片山財務相と非公式に会談した際、「ずっと政策金利を上げろと言ってきたのに、なぜ上げないんだ」と厳しい口調で迫ったというが、日米協調介入で、9月日銀も利上げが必要になり、米FRBは利上げ見送りであり、金利差が縮小することで、円高方向にトレンドが変わったようである。

その証拠に、投機筋は為替介入後1週間で、円売り持ち高を7割減したという。この変動幅は過去最大である。

「2度目の離散」の危機に見舞われかねないイスラエル

それと、イラン戦争でイランが勝ち、イランが核兵器開発続行となったとき、トランプ氏はどうするのかである。バンス副大統領の言うように、中東から完全撤退して、関わらないようにするとなると、イスラエルは孤立することになる。

イスラエル単独でイランと戦うが、その内、中東諸国全体を相手に戦うことになる。そうなると、米国が関与するので、ガザの占領もできなくなる。

ドローンとミサイルの威力が証明された戦争でもあり、絶対的な軍事的優位もなくなった。ヒズボラも完全には叩けない。米国に勝って、イランが強大な軍事大国になり、中東に威圧を掛けるからである。

イスラエルの生存は、周りの国との平和が必要になるが、それができないと、イスラエルが滅亡する。2度目の離散になる可能性もある。

しかし、中国が経済崩壊すると、イランもロシアも戦争を継続できなくなる。戦争に必要な兵器の部品のほとんどを中国に依存しているからであり、今後の世界の動向を見るには、中国の国内経済情勢を見る必要になる。

本来は世界的な「他者への配慮」をどう構築するかから始まったが、戦争という「他者を叩く」を止めないと、次が始められない。

さあ、どうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2026年8月10日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: JM Travel Photography / Shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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