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自民党内部でも見られぬ「石破首相を引きずり降ろす」動き。現政権がまだまだ続きそうだと言える理由

就任直後の昨年10月に打って出た総選挙で与党大敗という惨状を招き、厳しい政権運営を強いられている石破首相。以来常に退陣や再びの解散総選挙を噂する声が上がり続けていますが、識者はこれをどう見ているのでしょうか。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』ではジャーナリストで現職の衆院議員でもある有田芳生さんが、「石破政権はしばらく続く」としてそう判断する背景を解説。さらに次期首相として浮上してくるであろう政治家の名を挙げています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:石破茂政権がしばらく続くこれだけの理由

本予算は国会で承認、内閣不信任案の提出もなしか。石破茂政権がしばらく続くこれだけの理由

昨年10月の総選挙で与党が敗北、国会は少数与党政権での運営がはじまった。衆議院の予算委員長、法務委員長、憲法審査会会長を立憲民主党が担うことになったのもその反映だ。何より政府が提出した補正予算案を立憲民主党の要求を入れて能登の震災復興に1,000億円を出す修正を行ったことは、戦後5度目のことできわめて異例のことだ。

こうした国会内力関係の変化を背景に、メディアでは政府予算案が否決されるかもしれない、会期末に内閣不信任案が可決され、そうなれば石破茂総理は退陣するか参議院選挙との同時選挙に打って出るとの観測が報じられてきた。1月24日からはじまる通常国会ではさらにそうした観測が強まるだろう。国会でも初当選した議員は早期解散への恐れを抱いている。

政治ジャーナリストはこうした報道に重ねて、同時選挙はなくても秋に総選挙が行われるかもしれないと講演で語ったりもしている。さらには予算案の可決が難しい場合を想定して4月解散を主張する政界関係者もいる。果たしてそうか。国会での与野党の動向を見ていれば、石破政権が倒れることもなければ、衆参同日選挙や4月総選挙が行われる可能性は極めて低い。

立憲民主党の山ノ井和則予算委員会筆頭理事は、1月14日に党内の会合で財務省の官僚に対して「予算を修正するにはいつまでに修正案をぶつければ(政府・与党が衆議院通過を目指す)2月末から3月上旬に間に合うのか」と聞いたと『朝日新聞』(1月16日付け)が報じた。回答は「過去にほとんど例がない」としたうえで「一説には1~2週間」だった。

野党第1党の姿勢は通常国会をはじめとした今後の政局の行方に大きく関わっている。立憲民主党、国民民主党、日本維新の会は、12月23日に公立小・中学校の給食費を無償化するための「学校給食法改正案」を衆議院に共同提出した。立憲民主党は介護・保育人材の待遇改善も求めていく。

6月22日までの通常国会では、これらの法案だけでなく選択的夫婦別姓法案が提出されるだろう。国民民主党の所得税に関する「103万円の壁」問題など、政府・与党は野党の提案する部分的改革を飲み込む可能性が高いのだ。そうすると政府提出の予算案は衆議院を通過することが可能だ。

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「ポスト石破」として浮上してくる政治家の名

野党にすれば自らが提案した部分的改良案を政府・与党が飲めば、内閣不信任案を提出する大義はなくなる。昨年の臨時国会で立憲民主党が能登復興の予算を飲ませたものの補正予算案に反対した方針は、本予算への対応の予行演習ともいえる。国民民主党が本予算に賛成すれば立憲民主党などが反対しても衆議院を通過する。

政府・与党と野党の対応いかんだが、本予算は国会で承認され、内閣不信任案も提出されないなら、石破茂政権は続いていく。自民党内部でも石破茂総理を引きずり降ろす動きも見られない。

麻生太郎議員は次の選挙で長男を後継に据える意向であり、菅義偉元総理も体調不良で生気がない状況が続いている。昨年末に脳梗塞を発症し、リハビリを続けているが、一進一退だ。もっとも側近は「脳梗塞ではなくうつ気味なのだ」と強調している。官房長官や総理のときは「つねにリスクを取ってきた」が、いまやそんな緊張がないので精神的問題なのだと説明する。

茂木敏充議員も旧派閥では小渕優子議員への支持が増えつつある。旧安倍派議員も総選挙で35人が落選(自民党で落選したのは58人)したため、衆議院では第5勢力に凋落してしまった。萩生田光一議員が「総理をめざす」(『文藝春秋』2月号)と思うのは自由だが、裏金・統一教会問題の汚点は消えないから、ただの願望に終わるだろう。「政治家として地獄を見た」(同前)者に未来はない。

しかしやがて石破政権にも終わりが来る。そのときに浮上するのは安倍晋三路線を踏襲する高市早苗議員ではなく林芳正官房長官だ。政治家として面白みはないが安定感はある。

石破政権を自民党政権陥落の画期とすることができるのか。立憲民主党や国民民主党の総選挙での躍進を自民党の敵失と判断すれば、通常国会での野党の責務は大きいものがある。

(本記事は有料メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』2025年1月17日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、初月無料の定期購読にご登録の上お楽しみください。このほか、1ヶ月単位でバックナンバーもご購入いただけます)

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ジャーナリスト、テレビコメンテーター。立憲民主党所属の元参議院議員(2期)。出版社に勤務後、フリージャーナリストとして「朝日ジャーナル」「週刊文春」など霊感商法批判、統一教会報道の記事を手掛ける。1995年から2007年まで、日本テレビ「ザ・ワイド」に12年間レギュラー出演。2010年には民主党から立候補、参議院議員となり、北朝鮮拉致問題、差別、ヘイトスピーチ問題などに取り組む。「北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実」(集英社新書)、「改訂新版 統一教会とは何か」(大月書店)など、著書多数。

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