浮気の証拠をつかんだとき、あなたはどう動きますか?慰謝料を請求して相手にダメージを与えたい——その気持ちは自然なことです。しかし、感情のまま動いた結果、本当に守りたかったものを失ってしまうケースは少なくありません。今回のメルマガ『探偵の視点』では、後藤さんが、現場で見てきた経験をもとに「探偵の交渉術」をわかりやすく解説します。
探偵の交渉術
交渉のプロといえば? もちろん弁護士さんです。
しかし一方で、僕たち探偵も、不法行為を行った人間やトラブルの当事者の行動や態度を数多く見てきていることもあり、「交渉」に関しての知見は、弁護士さんとは別角度で持っているんです。
もちろん、法律上、僕たちが交渉の代理をすることはできません。 しかし、依頼者に対して交渉の考え方をアドバイスすることはできます。
今回は、その中でも探偵の現場で見えてきた「交渉の考え方」についてお話ししたいと思います。
イメージしやすいように、今回は1つの前提を置きます。
浮気をした奥さんと向き合う場面です。 さらに前提として、依頼者である旦那さんは、 財産分与などで不利になる可能性が高いため、できれば離婚は避けたい
という状況とします。
この場合、交渉で最初に考えるべきことは何か。 それは、 「旦那さんが一番守りたいものは何かを明確にすること」 です。
感情で動くと守れなくなる
浮気という事実だけを見ると、多くの人はまず「制裁」を考えます。 例えば、
・浮気相手への慰謝料請求 ・妻への法的責任追及
こういった攻撃です。
相手が悪いのだから、こちらが100対0で攻撃できる権利がある。そう感じるのは自然なこと。
しかし、感情のままに進めると、守りたいものが守れなくなることがあります。
例えば、慰謝料請求に成功して300万、400万円を得たとします。
しかし夫が本当に守りたいのが、
・家庭の維持 ・財産 ・親権
だった場合はどうでしょう。
妻の心理としては、 「攻撃された」 「その代償は払った」 という意識になります。
すると関係修復ではなく、 「もう離婚した方がいい」 という方向へ進む可能性が高くなります。
法律上、有責配偶者からの離婚請求は難しいですが、心理的には完全に敵対関係になります。
さらに興味深いのは、心理的に攻撃を受けた者同士として、 浮気相手と妻の間に仲間意識が生まれることもある という点です。
そうなると、時間をかけてでも離婚へ進み、結果的に財産や親権の問題で不利になる可能性も出てきます。
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「許す」という最強の選択肢
ではどうするべきか。 守りたいものが家庭や子どもなのであれば、交渉の選択肢は変わってきます。
例えばこう伝える方法があります。 「浮気していたことは知っているし、証拠もある。 でも自分としては子どものことも考えて離婚は望んでいない。 今回限りで浮気相手との関係を終わらせてくれるなら、この件は今後一切追求せず、水に流す。 あなたを責めるつもりもない。どうだろうか?」
このように提示された場合、奥さんはどう感じるでしょうか。 攻撃されると思っていたところで、「今回は許す」という選択肢が出てくる。
そうなると、 浮気をやめれば家庭は維持できる。 という選択肢が現実的になります。
結果として、旦那さんが守りたかったものが守られる可能性が高くなります。
目的から逆算する交渉の本質
この方法は、感情的には納得しにくいかもしれません。 相手にダメージを与えていないように見えるからです。
しかし長期的に見て、自分が本当に得たいものは何かを考えた場合、この選択は非常に合理的な場合があります。
交渉の大きなポイントは、 目の前の勝ちではなく、最終的に何を得たいのか この視点です。
一見、ノーガードで殴れる状況でも、あえて殴らない。 それ自体が強いカードになることもあります。 感情ではなく、目的から逆算する。 それが探偵として多くの修羅場を見てきた中で感じる、交渉の本質です。
以上、探偵の視点から見た交渉術でした!
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