資格試験の勉強や仕事、ダイエットなど、目標に向けて計画を立てても、なかなか予定通りに進まないことがありますよね。「6つの仕事を掛け持ちする時間管理の専門家」として知られる石川和男さんは自身のメルマガ『石川和男の『今日、会社がなくなっても食えるビジネスパーソンになるためのメルマガ』』の中で、計画を継続するために重要な「バッファ」という考え方に注目し、なぜ余裕をあらかじめ組み込んだ計画が、長期的な学習や仕事の継続につながるのかを考えます。
運命を変えるのは、ベートーベンではなく「バッファ」だった!
「計画通りにいかない」のは、あなたの意志が弱いからではありません。
むしろ、どれだけ真面目に、きっちり計画を立てている人ほど「予定通りに進まない自分」に落ち込んでしまうことがあります。
資格試験の勉強でも、仕事でも、ダイエットでも、「毎日これをやる」と決めたのに、急な仕事が入った。家族の用事ができた。体調を崩した。思った以上に仕事に時間がかかった。あるいは、疲れてしまって、今日はどうしても勉強する気になれなかった。
そんなことは、誰にでも起こります。
だからこそ、計画を立てるときに忘れてはいけないのが「バッファ」、つまり「余裕」です。
最近は、リスキリングや学び直しが以前にも増して注目されています。
厚生労働省も、変化の激しい時代において、働く人が自律的・主体的・継続的に学ぶことの重要性を示しています。
さらに今は、生成AIを仕事に取り入れる人も増えています。
日本政策金融公庫の2026年の調査では、生成AIを活用する目的として「業務効率化」が74.6%と最も多くなっています。
「AIを使って仕事を効率化して、その分、勉強時間を増やそう」そう考える人もいるでしょう。
もちろん、効率化は大切です。
でも、ここで一つ気をつけたいことがあります。仕事が効率化されたからといって、私たちの毎日が「予定通りに進む」ようになるわけではありません。
むしろ、新しい仕事、新しいツール、新しい学びが次々に増えて、以前よりも「やることが多い」と感じる人もいるのではないでしょうか。
だから、これからの計画に必要なのは、「すべてを予定通りにこなすための計画」ではなく「予定通りにいかないことを最初から織り込んだ計画」なのだと思います。
たとえば、半年から1年以上かかる資格試験なら、1週間に1日は予備日をつくる。
半年以内の試験なら、2週間に1日、あるいは1週間に半日程度をバッファとして確保する。
日曜日は家族との時間にする。土曜日の午後は予備にする。平日の夜は予定を詰め込みすぎず、朝や昼休みに勉強時間を確保する。
こうしておけば、突然の予定が入っても、「全部崩れてしまった」と感じにくくなります。
この記事の著者・石川和男さんのメルマガ
以前の私は、1週間の予定をかなり細かく決めていました。
月曜日は6時に起きて、6時30分から計算問題。7時から理論。7時30分にコーヒーを飲んで……。
火曜日も、水曜日も、同じように細かく予定を組んでいました。
でも、未来のことは誰にもわかりません。
急な仕事が入るかもしれない。家族の予定が変わるかもしれない。体調を崩すかもしれない。
そして、予定が一つ崩れると、「今日はもうダメだ」となり、翌日の予定まで崩れてしまう。
これでは、計画が自分を助けてくれるどころか、自分を追い込むものになってしまいます。
特に資格試験の勉強は、短距離走ではありません。
何カ月、場合によっては何年も続ける長い旅です。
長い旅なら、途中で休憩する場所が必要ですよね。
だから私は、計画を「未来の自分を連れていってくれる添乗員」だと考えています。
優秀な添乗員は、予定をびっしり詰め込んだ旅程を作るだけではありません。
渋滞するかもしれない。電車が遅れるかもしれない。お客さんが疲れるかもしれない。
そんな「もしも」を考えて、余裕を持ったスケジュールを組みます。
勉強も同じです。
計画通りに進まないことを前提に、あらかじめバッファを入れておく。
そうすれば、急な飲み会に誘われても、「今日は勉強できなかった。もうダメだ」ではなく、「大丈夫。予備日で取り戻せる」と考えられます。
一日くらいダラダラしてしまってもいい。
同僚との飲み会に参加してもいい。
映画を見に行ってもいい。
なぜなら、それを取り戻せる余裕を、最初から計画の中に入れているからです。
バッファは、サボるための時間ではありません。
「続けるための時間」です。
学ぶことが当たり前になっていくこれからの時代だからこそ、「頑張れる計画」だけではなく、「続けられる計画」を持っておきたいものです。
完璧な計画をつくる必要はありません。
むしろ、少し崩れても立て直せる計画のほうが、長い目で見れば強い。
「今日は予定通りできなかった」
そう思ったときは、自分を責める前に、計画の中にバッファがあったかを確認してみてください。
計画が遅れているけれど、もうすぐ予備日がある。
予備日を使えば追いつける。
この「ちょっとした余裕」が、三日坊主や挫折を防いでくれます。
私は、クラシックといえばベートーベンの「運命」くらいしか知りません。
でも、私たちの「運命」を変えてくれるのは、もしかすると「運命」そのものではなく、計画の中に入れた小さなバッファなのかもしれません。
今日、計画を立てるときは、やることだけではなく、「何か起きたときのための時間」も一緒に予定に入れてみてください。
余白のある計画は、あなたを甘やかすためのものではありません。
未来のあなたが、途中であきらめずに最後まで歩き続けるための、心強い味方です。
この記事の著者・石川和男さんのメルマガ
image by: Shuttertstock.com