岸田首相の看板政策で会議乱立 役割曖昧、混乱の恐れも

2021.11.10
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by 時事通信


【図解】岸田内閣の会議

【図解】岸田内閣の会議

  • 全世代型社会保障構築会議・公的価格評価検討委員会の合同会議で発言する岸田文雄首相(左から2人目)=9日午後、首相官邸

 首相の看板政策実現に向けた政府の会議が乱立気味だ。先に立ち上げた「新しい資本主義実現会議」に続き、9日には四つの会議を設置した。首相は来夏の参院選に向けて実績づくりを急ぎたい考えだが、各会議の役割分担は曖昧なため混乱が生じる恐れもある。
 官房長官は9日の記者会見で、デジタル田園都市国家構想実現会議、デジタル臨時行政調査会、全世代型社会保障構築会議、公的価格評価検討委員会の4会議の設置を発表した。この後、社会保障の会議が早速開かれ、首相は有識者に「忌憚(きたん)のない意見をお願いする」と要請した。
 新しい資本主義実現会議は、首相が自民党総裁選や衆院選で掲げた「新しい資本主義」や「成長と分配の好循環」を具体化する組織だ。首相が議長を務め、関係閣僚や有識者で構成する。
 デジタル田園都市国家構想実現会議はデジタル技術による地方活性化が目的。デジタル臨調はデジタル、規制、行政の3改革を一体的に進める。全世代型社会保障構築会議は社会保障全般を検討し、その下部組織の公的価格評価検討委員会は看護・介護・保育の現場の収入アップを目指す。
 もっとも、各会議は公的価格評価検討委員会を除き対等で、役割の線引きは不鮮明だ。「成長と分配の好循環」は新しい資本主義実現会議だけでなく、経済財政諮問会議でもテーマとなる。
 デジタル分野では2会議の新設に加え、菅内閣からデジタル社会推進会議を受け継ぐ。それぞれ重なる部分があることは否定できない。デジタル臨調の役割は規制改革推進会議、行政改革推進会議と完全に重複するとの見方も出ている。
 政府内からは「各会議の違いをどう出せばいいのか分からない」(内閣府関係者)と戸惑いの声も漏れる。松野長官は会見で「しっかり連携して一体で議論を進めたい」と強調したが、与党からも「一体何がしたいのか。岸田カラーが全く見えてこない」(竹下派中堅)と懸念の声も出ている。(2021/11/10-07:05)

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