サッカードイツ代表の“異変”に国民が激怒。突然アディダス切ってNIKE乗り換え&ゴリ押しピンク色ユニフォーム採用が不安視される理由

Frankfurt,Am,Main,,Germany,-,March,26,2024:,Niclas,Füllkrug
 

ブラジルに勝利した1996年のアトランタ以降、8大会連続となるパリ五輪の出場権を獲得したサッカー男子U-23日本代表。そんなサッカーにおける「欧州の雄」と称されるドイツですが、ワールドカップ4回の優勝を誇る代表チームが今、大きな物議を醸しているようです。今回、作家でドイツ在住の川口マーン惠美さんが、サッカードイツ代表のユニフォームを巡る2つの「騒動」を紹介。各々について詳しく解説するとともに、「スポーツを政治利用する」という独裁国家への道に進みかねないドイツの行く末を危惧しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:お騒がせのドイツサッカーナショナルチーム

プロフィール:川口 マーン 惠美
作家。日本大学芸術学部音楽学科卒業。ドイツのシュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。ドイツ在住。1990年、『フセイン独裁下のイラクで暮らして』(草思社)を上梓、その鋭い批判精神が高く評価される。ベストセラーになった『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』、『住んでみたヨーロッパ9勝1敗で日本の勝ち』(ともに講談社+α新書)をはじめ主な著書に『ドイツの脱原発がよくわかる本』(草思社)、『復興の日本人論』(グッドブックス)、『そして、ドイツは理想を見失った』(角川新書)、『メルケル 仮面の裏側』(PHP新書)、『無邪気な日本人よ、白昼夢から目覚めよ』 (ワック)など著書多数。新著に、福井義高氏との対談をまとめた『優しい日本人が気づかない残酷な世界の本音』(ワニブックス)がある。

お騒がせのドイツサッカーナショナルチーム

ドイツはサッカーの国だ。ちびっ子キッカーたちは皆、大きくなったらサッカーの選手になろうと、目を輝かせながら駆け回っている。大人になったらなったで、それぞれ贔屓の地元チームがあって、勝った、負けたとテレビの前で一喜一憂。ましてやW杯(ワールドカップ)やE杯(ヨーロッパカップ)ともなると、それこそ国中がフィーバーする。

戦争中の不幸な出来事のせいで、日本にもまして自虐史観が徹底しているドイツのこと、普段は公的な建物でも国旗が掲げられていることはほとんどないが、W杯やE杯の期間中だけは、国中が国旗だらけになる。サッカーは、ドイツ人が遠慮なく集団的愛国心を発揚することが許されている唯一の機会と言われる所以だ。

だから、ドイツでは別に熱心なサッカーファンではなくても、一応、サッカー界で起こっていることは、皆が漠然と知っており、それが日本人と野球の関係によく似ている。ただ、違うのは、日本には熱烈なサッカーファンもいるが、ドイツはサッカー一本槍で、誰も野球の「や」の字も知らないこと。ドイツ人なら、もし、「大谷翔平」が前から歩いてきても、何事もなくすれ違うだろう。

18年と22年W杯は「まさかの予選落ち」

ドイツのサッカー連盟(DFB)というのは、1900年に設立された由緒ある組織で、ドイツにある27の大きなサッカー連盟を束ねている。その中の一つが有名なブンデスリーガで、その他に、5つの地域連盟と、21の州や自治体の連盟がある。それらの連盟に所属するチームを全部合わせると2万4,500以上、キッカーの数は700万人というから、裾野の広さがよくわかる。ドイツの代表選手団も、このDFBによって構成される。

ドイツのナショナルチームは強豪として、日本でも結構有名だ。4年ごとのW杯では1954年、74年、90年、2014年と4度も優勝しているし、E杯でも72年、80年、96年と3度優勝した。準決勝で惜しくも敗れた大会も多く、2002年、日本で開催されたW杯の時もそうだった。

ところが、ここのところ、この映えあるドイツチームがボロボロなのだ。18年と22年のW杯では、まさかの予選落ち。20年のE杯はトーナメント初戦で早々に敗退。今年の6月は、再びE杯が巡ってくるが、さて、どうなるか?

負けが込んでいる原因はいろいろ挙げられているが、DFBの幹部が政治にのめり込み過ぎて、選手たちをポリコレで縛っているからという理由が一番正鵠を射ている気がする(それについては後述)。

print
いま読まれてます

  • サッカードイツ代表の“異変”に国民が激怒。突然アディダス切ってNIKE乗り換え&ゴリ押しピンク色ユニフォーム採用が不安視される理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け