水俣病患者らの団体と伊藤環境相の懇談会で、被害者の発言中にマイクが切られてしまった問題。司会を務めた環境省・木内哲平 特殊疾病対策室長の冷徹な対応に「人の心はないのか」「悪意しか感じられない」など批判が殺到している。その一方で「木内氏は本当に悪気がなかったのでは?」「むしろそのほうが怖い…」といった指摘も。一体どういうことなのだろうか?
被害者の話を聞く気ゼロ?水俣病の懇談会が大炎上
水俣病の患者・被害者団体8つと、伊藤信太郎環境大臣の懇談会が熊本県水俣市で開かれたのは今月1日。
同日開かれた水俣病慰霊式に続き、公害病の悲惨な体験談に直接耳を傾けるという趣旨の会であるはずだった。
ところが、患者・被害者団体には「1団体につき3分間」の厳しい制限時間が課されてしまう。
3分という時間は、積年の想いを伝えるにはあまりに短い。だが、それをオーバーすると、司会の木内哲平 特殊疾病対策室長は容赦なくマイクの音量を絞り、被害者の発言を遮った。
【水俣病懇話会の続報】7日、環境省がカメラ・録音NGで記者説明の場を設け、木内哲平室長「事前にマイクを切ることもあると伝えるべきだった。深い思いを話している最中で切ってしまったことも不手際だった」と会見。伊藤環境大臣からの指示で直接謝罪に出向くとのこと。一部始終を見ていながら、それ… pic.twitter.com/Kp4hRJ0iJA
— masanobu.satoh (@with_enthusiasm) May 7, 2024
団体側はこの暴挙に猛抗議したが、木内室長はその場で表情ひとつ変えず「不手際、申し訳ありません」と形ばかりの“謝罪”を繰り返すばかり。
一連のやり取りがニュースで報じられると、SNSでは、
《被害者の話を聞く気ゼロでやべーねこれは》
《木内室長から悪意しか感じられんくて草生える》
《3分×8団体で24分か。時間オーバーはあらかじめ織り込んでおくべきでしょ》
《深夜アニメ1本分の時間も水俣病被害者には割けない…ってコト!?》
《環境省って水俣病への反省から作られたはずなんだけどな》
など批判コメントが次々に投稿され、現在もリアルタイムで大炎上している。
M-1じゃあるまいし。制限時間「3分」の問題点
「木内室長は、伊藤大臣の帰りの新幹線の時間を気にしてマイクを切ったそうですが、『政治家や役人のやってる感目的なら最初から行くな』といった批判が多いですね。同感です。また、1団体あたり3分間という制限時間も、あまりに短すぎるという声が圧倒的です」
そう指摘するのは40代男性ネットメディア編集デスクだ。賛否ありそうなところだが、やはり3分間は短すぎるか?
「3分という限られた時間で、“喋りのプロ”でもない患者・被害者団体の方が想いを伝えるのは、まず不可能に近いでしょう。例えとして適切かどうかか分かりませんが、お笑いのM-1グランプリがありますよね。あれの2回戦・3回戦のネタ制限時間が3分ですよ?」(前同)
日々、研鑽を積み重ねるお笑い芸人ですら、話を制限時間内に収めるのには苦労するという。水俣病の患者・被害者団体の方に、それと同等の“トーク術”を要求し、タイムオーバーすれば容赦なく“失格”扱いにしてしまう――これでは、環境省は最初から話を聞くつもりがないと批判されても仕方がないように思える。
「今回の木内室長の対応には『悪意しか感じられない』という反応が大半ですね。ただその一方で、少数派ではありますが、『木内室長には一切、悪気がなかったのでは?』という鋭い指摘もありまして。よくよく考えると、そちらのほうがよほど怖いことのように感じられるんです」(前同)
木内室長のマイク切断は、一般的には「血も涙もない」対応と受け止められている。それが「悪気はなかった」かもしれないとは、一体どういうことなのか?