初詣のたびに思い出せ。神社本庁の不正土地取引と「原発建設計画」 用地買収で中傷ビラ、金まみれエセ神道カルトの正体

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カネと権力にまみれた神社本庁の異常性を、小林よしのり氏主宰「ゴー宣道場」の寄稿者で作家の泉美木蘭氏が分かりやすく解説する本シリーズ。第1回に続く今回は、同本庁が強引に推し進めた原発建設計画を取り上げる。中国電力の「上関原発」建設をめぐり土地を売却するよう迫られた四代正八幡宮。林春彦宮司と地元住民は「原発は人間・自然を破壊する。死んでも土地は売ることができない」と断固拒否したが、待っていたのは神社本庁による苛烈な嫌がらせと誹謗中傷だった。宗教法人にこのような横暴は許されるのか、読者諸氏の判断を仰ぐ。(メルマガ『小林よしのりライジング』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:泉美木蘭のトンデモ見聞録・第324回「カネと権力にまみれた神社本庁」

カネと権力にまみれた神社本庁

引き続き、腐敗と不祥事の巣窟となっている神社本庁について書いておきたい。前回(第323回「神社本庁と神道政治連盟のこと」)は、

  1. 日光東照宮や靖国神社のようにそもそも神社本庁に加盟していない神社があること
  2. 気多神社、金刀毘羅宮、富岡八幡宮、鶴岡八幡宮など、神社本庁に反発して離脱する神社が相次いでいること
  3. 離脱した神社では、神社本庁が管理する伊勢神宮の神宮大麻(「天照皇大神宮」と記されたお札)は販売されていないこと

などを書いた。

いっそのこと、不祥事まみれの神社本庁からは、みんな脱退すればよいと思うが、よほどの人気神社でない限り、自社のお札やお賽銭よりも、神宮大麻の売り上げのほうがはるかに大きいという現実があるらしい。

それなら「伊勢神宮と直接やり取りをして売ればよいのでは?」と思うが、そうなると全国の神社が「伊勢神宮の代理店」に該当し、売上金が課税対象になるとかで、神社本庁をかまして「交付金」という名目でお金を流す、宗教法人ならではの大いなる節税の仕組みが作られたということのようだ。宗教法人は税額を優遇されているのだから、伊勢神宮が納税すればいいのに、と言いたくなる話である……。

そして、その「交付金」のために、神社本庁が各神社に「販売ノルマ」を課して大きな顔をしている。げんなりしてしまう。

ちなみに、2013年に行われた式年遷宮では、神社本庁の集めた募財が、目標金額を20億円上回っていた。神社本庁トップの田中恆清総長は、この20億円について、当時、伊勢神宮の大宮司だった鷹司尚武氏に対して「余ったら神社本庁に回してくれ」と2度も要求したという。余ったものは次回のために積み立てるものであって、当然はねつけられているのだが、厚かましさがすごい。

日本文化興隆財団 役員名簿に田中派ズラリ。フジ皇室担当者の名前も

令和15年に行われる式年遷宮の準備は、天皇陛下からの御聴許を受けてすでに開始されており、4月9日には奉祝行事も行われた。 いまだに「式年遷宮のカネ」に目をつけている田中総長は、今回集める募財について、神社本庁の団体「日本文化興隆財団」を受け皿にしたいと働きかけているらしい。

この団体は、季刊誌『皇室』を発行したり、神社や神道に関する講座『神社検定』を主催したり、皇族方をお迎えする際などに使われる紙製の小さな国旗を作って配布したりしているのだが、ホームページに公開されている役員名簿を見ると、田中自身が理事長に就任しているのを筆頭に、神道政治連盟の打田文博会長など、田中の側近たちの名前が並んでいる

こんなところに巨額の募財を管理させたら、何に使われるかわかったものではない。

なぜか、フジテレビ報道局の皇室担当者の名前も。(公財)日本文化興隆財団 役員・評議員等 名簿より

なぜか、フジテレビ報道局の皇室担当者の名前も。(公財)日本文化興隆財団 役員・評議員等 名簿より

さらにこの団体には、前回紹介した「田中総長&打田会長による土地ころがし」で儲けた不動産会社Dも絡んでいる。同団体の事業として、飲料を1本購入すると「鎮守の森の再生」のために5円寄付される自販機を神社の境内に設置するというものがあるが、この事業の代理店がD社なのだ。

全国の優良神社境内に設置された「鎮守の森を育てる自動販売機」 日本文化興隆財団より

全国の優良神社境内に設置された「鎮守の森を育てる自動販売機」 日本文化興隆財団より

しかも昨年、この自販機の収益金が神社側に支払われなくなり、あちこちの神社がD社に問い合わせるも、誰も電話に出なくなるというデタラメ状態まで起きている。

D社の社長は、神道政治連盟の打田会長と昵懇。神社本庁の田中総長は、浄財が原資であるはずの神社本庁の職舎をD社に1億8000万円で売却し、D社は即日2億1000万円で転売、3000万円の利益を上げた。この建物は、半年後に大手ハウスメーカーに売却されているが、その金額は3億1000万円。つまり、もともと3億円以上の価値があった財産を、D社に利益をとらせるために、半値近い安さで処分してしまったわけだ。

しかも、神社本庁がこの時に得た売却益で購入したものは、なんと、D社への売却を推し進めた「田中と打田の腹心」と言われる人物が入居するための、東京都渋谷区の高級マンションだったのである。

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