こんぴらさん、怒りの離脱
こういった不動産の身勝手な転売や、不透明なカネの流れを発端に、令和2年、神社本庁を離脱したのが、全国に600社ある金刀比羅神社の総本宮「こんぴらさん」こと神奈川県の金刀比羅宮だ。
金刀比羅宮は、離脱までの経緯を記載した声明文を公表していて、その書き出しはこうなっている。
ここ数年、神社本庁では、不動産の不正転売が問題となっており、各報道によれば、本庁執行部が著しく関与しているとも聞き及んでいる。当宮も、神社本庁と包括関係にあり、事実であれば、非常に遺憾であると感じていた。
もともと不信感を抱いていたが、決定的になったのは、令和元年に行われた天皇陛下の即位関連儀式「大嘗祭」をめぐる神社本庁の態度だったという。
大嘗祭に際しては、事前に神社本庁から、神様へのお供えとして臨時の「幣帛料(へいはくりょう)」をお供えするので、前日までにそれを届けるとの旨が通達されていた。ところが、金刀比羅宮には、大嘗祭当日になっても届かず、神社本庁からも香川県神社庁からもなんの連絡もなく、お供えできないまま祭典を行うことになったという。
カネの話か、と思うかもしれないが、幣帛料は5000円で、天皇陛下からの思し召しという意味がある。
金刀比羅宮は、大正天皇の大嘗祭で創作された舞を継承しており、今回の大嘗祭も非常に力を入れて準備していたらしい。「当宮に対する嫌がらせとしか思えない」と怒りをあらわにし、神社本庁の対応について、こう述べている。
天皇陛下一代に一度の、奉祝の大御祭に際し、臨時の神社本庁幣が届かなかったことは、決して許されない無礼な行いであり、天皇陛下に対しても不敬極まりない行為であると言わざるを得ない。
神社本庁と原発建設計画
こう眺めてくると、とにかく「田中恆清総長こそが元凶」と思えてくるが、実は、神社本庁の異常性は「田中前」からも現れていた。
山口県の南東部、室津半島の先端にある中国電力「上関原発」にまつわる話だ。言うまでもなく、安倍晋三の地元である。
中国電力のホームページによると、上関原発は、2001年に国の開発計画に組み入れられ、2009年より敷地造成工事がはじまっていたものの、2011年の東日本大震災での事故を受けて、現在は工事が中断されているらしい。
建設計画が浮上したのは1982年のことで、それから工事着手までかなりの長い年数、反対運動が継続されてきた。その中心となったのは、原発建設予定地に古くから建っていた四代正八幡宮だ。