デジタル庁もおかんむり。ソフトバンクshopで「SIMスワップ」はなぜ起きたのか?

CHIBA, JAPAN - August 29, 2018: Advertsing on the roof of a  branch of the Japanese telecommunications company Softbank in Chiba City's Inage area.CHIBA, JAPAN - August 29, 2018: Advertsing on the roof of a branch of the Japanese telecommunications company Softbank in Chiba City's Inage area.
 

ソフトバンクが5月9日に開催した決算説明会では、セキュリティガバナンスに関する質問に多くの時間が割かれたそうです。背景には、LINEヤフーのセキュリティ問題に加え、「偽造マイナカード」で機種変更を許してしまったソフトバンクショップの失態がありました。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、「SIMスワップ」を許した経緯を掲載。ソフトバンクグループ全体のセキュリティガバナンス体制に疑問を投げかけています。

ソフトバンク、LINEヤフーにセキュリティガバナンス強化を求める──ショップでは本人確認怠り「SIMスワップ」発生

ソフトバンクは2024年5月9日、2024年3月期決算説明会を開催。プレゼンや質疑応答では総務省から行政指導が出ているLINEヤフーの資本関係やセキュリティガバナンスについて、多くの時間が割かれた。

LINEヤフーでは、セキュリティ問題を解決していく中で、NAVERとの業務委託関係を順次終了していく。ただ、総務省からはNAVARとの資本関係解消を促されている。

宮川社長は「LINEヤフーからの強い要請を受け、セキュリティガバナンスの強化や事業戦略の観点で、NAVERとの資本の見直しについて協議している」と語る。

ソフトバンクとしては、PayPayとLINE、ヤフーのID連携を見据えた展開を期待していたが、今回の騒動により、ID統合は先送りとなってしまった。流石に総務省からの行政指導を解決しないことにはどうしようもないのは間違いない。

ソフトバンクとしてはLINEヤフーのセキュリティガバナンスを高めることで、なんとか事態を収束させようとしているようだが、当のソフトバンクがマイナンバーカードで「やらかしている」ことを考えると、もはやLNEヤフーの問題だけではなく、グループ全体での取り組みが必要となってくるのではないか。

ここ最近、「偽造マイナンバーカード」によって、携帯電話が機種変更され、契約が盗まれ、キャッシュレス決済されるという「SIMスワップ問題」が起きている。とはいえ、原因を突き詰めれば、マイナンバーカードのICカード情報が偽造されたというわけではなく、あくまで券面上がアナログ的に偽造されただけに過ぎない。

ソフトバンクショップにおいて、本人確認をする際、ICカード情報のチェックは行わず、目視だけでの確認だったため、第3者が機種変更でき、勝手に機種変更され、SMSにひもづく情報などが盗まれてしまったというわけだ。

宮川社長は「店頭ではマイナンバーカードの原本の確認と本人確認の二重チェックを進めて運用している。今回の問題になったのは、一部店舗でその運用が不十分だったということでご迷惑をおかけした。この二重チェックの徹底を指示したところで、これから同じようなことが起こらないようにする。システムで対応することにしたので、速やかに順次店頭に導入していく」とした。

デジタル庁としては、ソフトバンクにマイナンバーカードの安全性について泥を塗られた感があり、同庁関係者は「あれはひどい」とお冠だ。実際、マイナンバーカードによって機種変更が行われ、キャッシュレス決済されるなどの実害が出てしまっている。

ソフトバンクにとってLINEヤフーは他人事でなく、ソフトバンク自身も今一度、個人情報の取り扱いについて、セキュリティガバナンス体制を見直す必要がありそうだ。

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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