17日、内閣府政府広報室の公式アカウント「政府広報オンライン」がX(旧Twitter)に「あなたの思い出の給食はどれ?」なるポストを投稿。
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あなたの思い出の給食はどれ???
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今、給食を食べているこどもたちと、お父さん・お母さん世代、おじいちゃん・おばあちゃん世代とでは、慣れ親しんだメニューが異なります。みなさんの思い出に残っている給食メニューを年代別に紹介!https://t.co/EQllpIbPXz@MAFF_JAPAN pic.twitter.com/NO9nVvnrmN— 政府広報オンライン (@gov_online) April 17, 2024
このポストに対して、多くのネットユーザーが以下のような反応を見せた。
<いくらなんでもこの写真は盛りすぎだろ>
<アラフィフだけどこんな豪華なもんじゃなかった>
<おかしい。自分の記憶が書き換えられてるのか。こんな給食を食った覚えがない>
しかし圧倒的に多かったのは、かつての給食と令和のメニュー格差を批判するもの。今どきの給食はあまりにみすぼらしく「子どもが不憫すぎる」「今は終戦直後より貧相」といった声が多数上がっている。さらにその「証拠写真」が次々とアップされてもいる。
水産都市・函館市の学校給食です。
(函館市公式)https://t.co/j3hhyWWlg9 pic.twitter.com/vooHmO5Aez— あきら☆キラヽ(・ω・)/キラ☆ (@Akky_Star) April 18, 2024
うちの子はこれです。一年生の息子はこのHPの画像のおかずより少ないから全然足りないと言ってます。パンとじゃがいもとクリームパスタとか、炭水化物だらけで栄養も不安です。全然そちらの写真と異なりますね。保育園の方が多くて美味しかったそうです。 pic.twitter.com/3fZdpLK3hU
— くま (@risa1117yoshi) April 18, 2024
先週の給食これだけど…?? pic.twitter.com/tNlrHTqQE7
— ???????????? 6??+2?? (@prkandtaro) April 18, 2024
令和3年に文部科学省がおこなった学校給食費調査によれば、我が国の給食費の1食あたりの平均金額は小学校224円、中学校が256円。この金額では致し方ないという意見もあるが、それを勘案しても育ち盛りの子どもたちの“昼食”としては貧相極まるメニューで、政府広報オンラインのポストにある「平成・令和」の写真と現実とではあまりに差がありすぎる。
円安の進行次第ではさらにヤバくなる可能性も
多くのネットユーザーが“目を覆うばかりの給食写真”を投稿しているが、この先さらに円安が進行した場合、ますます悲惨なメニューになる可能性を指摘するのは、50代の男性ライターだ。
「文科省の調査では、22年の時点で学校給食の国産食材使用率は89%とされていますが、政府や日銀の失策が招いたとも言われる円高が続けば、輸入食材ではなく国産ものが使われていようともその値上げは必至です。そうなるとこれまで以上に“ヤバい”献立しか作れなくなりますよね。日本政府の大きな責任と言わざるを得ません」
そうでなくとも日本の食料自給率は38%と先進国の中でも最低水準。有事の際に食料輸入が滞れば国産食材の奪い合いが起こることは必至だ。食料自給率に詳しいジャーナリストの高野孟氏も以下の記事で警鐘を鳴らしている。
【関連】有事に日本国民は餓死する。農水省がコッソリ降ろした「食料自給率向上」の看板
森永卓郎氏が提唱した“日本版ダーチャ”
円相場と同じく注目されている株式市場。19日には日経平均株価が一時1,300円以上も下げるなど急落しているが、この事態を常々警告していたのが、現在がんで闘病中の経済アナリスト・森永卓郎氏だ。
そんな森永氏はかねてから、遠くない将来に「発展途上国の仲間入り」をする日本で生きるにあたり自分の生活を守るための手段として「マイクロ農業」の実践を提唱し、自らも「一人社会実験」をしてきたという。
マイクロ農業とは「自産自消」を旨とした、家庭菜園よりも少々本格的な農業で、家族全員が食べられる作物を育てるものだとしている。詳しくはこちらの記事等を参照されたい。
「森永さんの“マイクロ農園”を見て、ロシアの“ダーチャ”を連想したネットユーザーも多いようです」
と話してくれたのは40代の男性マスコミ関係者。
ダーチャとは、<ロシア・旧ソ連圏で一般的な菜園付きセカンドハウス>のことだが、日本人が連想するような“高級別荘”ではなく、数百坪の土地の中に建てた質素な小屋に週末ごとに通って農作業に勤しむのだという。ロシア全世帯の実に82%が現在も“ダーチャ生活”を送っているという資料もある。
「ソ連崩壊時にロシア人が餓死せずに済んだのも、このダーチャというシステムが大きかったと言われているんです」(同前)
メルマガ『富田隆のお気楽心理学』を配信する心理学者の富田隆氏も以下の記事で、「(ソ連崩壊で)紙幣が紙屑になる状況でも庶民が生き延びることのできた理由のひとつが、このダーチャの存在だったと言われています」と記している。
【関連】ロシアのダーチャ文化が教えてくれる「何が役立つか」の考え方
まさに旧ソ連崩壊時に人々の命綱となったダーチャ。上述のとおり食料自給率がわずか38%という我が国で生き抜くために、森永氏の提言はひとつの大きな指針となるだろう。
「昭和の給食」人気メニューは?
子どもたちにまともな給食を提供することもできなくなりつつある令和ニッポン。前出の男性フリーライターはこのように語る。
「今の子どもたちが大人になって給食を振り返った時、“思い出すメニュー”というのがあるのかも心配になってしまいます。例えば50代なかばの私の場合、ごく稀に登場した“ソフト麺”がテンションを上げてくれたことを覚えています。あのチープな麺にミートソースをかけて食べるのは“至高”でしたね(笑)」
ソフト麺。正式名称は「ソフトスパゲッティ式めん」だが、今や献立から姿を消しつつあるという。
そんな中、「揚げパン」の名を上げるのは、ダーチャについてコメントしてくれた40代の男性マスコミ関係者。
「普段は味気のないコッペパンにマーガリン塗りたくって食べていたので、あの砂糖をまぶした揚げパンが出ると男女問わずクラスメイトの目つきが変わりました。欠席していた子の分をめぐって奪い合いも起きてましたね」
その他、牛乳に投入して味変を楽しむ「ミルメーク」や、パイナップルが練り込まれた「パインパン」を上げるアラフィフ、アラフォー世代も数多く存在した。
令和時代に小中学校生活を送る子どもたちにも、あとから思い出す給食のメニューがあると信じたい。もしも多くの人々が「そんなものは思いつかない」という事態となってしまったとしたら、今の日本政府は国民の思い出までもを奪っていることになりはしないだろうか。