プーチン「核兵器」を実戦投入か?停戦の意思なき独裁者が“一線を超える”最悪シナリオ

Moscow,,Russia,-,March,9,,2017:,Russian,President,Vladimir,Putin.
 

開戦から2年5ヶ月を迎える現在も膠着状態が続くウクライナ戦争。そんな中にあって、プーチン大統領がこれまで威嚇の手段としてきた核兵器を実戦投入する動きを見せつつあるとの情報も伝わり始めています。果たしてプーチン氏は核のボタンに手をかけてしまうのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、国際交渉人として知り得た情報を総合しロシアによる核兵器使用の可能性を考察。さらにその後の国際社会に起こり得るシナリオを検討しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:終わらない戦争が齎す疲弊と分断の明確化‐不透明な世界情勢の未来図

プーチンが進める核攻撃の準備。さらなる窮地に陥った賞味期限切れのゼレンスキー

「ゼレンスキー大統領はもう終わった。混乱を極める今の国際情勢を修復する方向に向けるには、ポスト・ゼレンスキーのウクライナの在り方を考えないといけない」

そのような見解が、今週行われた協議において繰り返されました。

「彼は劇場型の世界においてはうけがいいだろうが、現状のように戦況が膠着状態に陥り、長引く戦争をいかに戦いきるかという観点からは適任とは言えない。特に劣勢と言われる状況から巻き返すための術や知恵を持ち合わせておらず、かつてほどのカリスマ性も期待できない。事態を動かすにあたり考えうる方法があるとすれば、ゼレンスキー大統領が辞任することを条件に、停戦協議をスタートさせるという駆け引きぐらいだろうか」

調停グループの中でもウクライナ寄り(何分、彼はウクライナ出身なので)の専門家でさえ、このような見解を示していました。

「ただ彼が下野した場合、考えうる後任は、選挙で“民主的に”選ばれるという前提なら、ザルジーニ氏(現駐英大使で、前統合参謀本部議長)が最有力だが、彼はゼレンスキー大統領とは比べ物にならないほどの反ロシア・反プーチンだから、元軍人として攻勢を強めることを主張したり、または戦い続けることを主張したりするかもしれない。ただ大統領になったら、もしかしたら自身のロシア観は一旦横において、一刻も早く戦争を終わらせるプロセスに入るかもしれない。期待は高い。大事なことは、やはりゼレンスキー大統領の辞任だろう。それがないと何も始まらない」とも言っていました。

なるほどと思うのですが、大前提となっている“ゼレンスキー大統領の辞任”はなかなか起こりそうにありません。少なくとも今年中には。

それはゼレンスキー大統領自身も、そしてウクライナを一応は支えて反ロシアの柱に据えているアメリカ・バイデン大統領も「ウクライナはロシアに対してもう一度反攻できるし、もしかしたら今度はロシア軍をウクライナ領内から押し戻せるかもしれない」と真剣に考えているようで、「その反攻の結果が分かるまでは戦い続けないといけない」という意図が明確に働いています。

バイデン大統領にとっては、米民主党内で撤退圧力がかかっているものの、来年1月まではアメリカ合衆国大統領を務めますし、仮に別の方が民主党の大統領候補になっても“民主党政権下”での成果を強調することで、大統領選も上下院連邦議会議員選でも有利に進めたいという思惑が働くため、ゼレンスキー大統領という“駒”と欧州各国を操り、可能な限りウクライナ軍による米国製兵器の使用条件を緩和してロシアへの攻勢を強め、少しでも目に見える成果を上げさせようとすることになります。例えそれがウクライナ市民のさらなる犠牲を生むことになっても。

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