生放送で指摘の3時間後に青森県東方沖で震度6強発生の衝撃。日本地震予知学会々長「地震は予知できる」

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「地震予知はできない」—そんな長年の常識が覆されようとしています。日本地震予知学会会長・長尾年恭(としやす)氏は、マグニチュード8超の巨大地震では発生約1時間前に前兆現象が現れることが確認されたと断言。実際、YouTube番組の生放送の出演時に指摘した震源域(青森県東方沖)で約3時間後にM7.5、最大震度6強の地震が発生し、その技術の有効性を示しました。一方、前防災担当大臣・坂井学氏は、南海トラフ地震が三連動で発生し富士山噴火と連鎖した場合、経済損失は1000兆円を超え、世界恐慌級の衝撃になる可能性があると警鐘を鳴らします。メルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』では著者でジャーナリストの上杉隆さんが、科学者と政治家の証言から、この国が直面する「希望と絶望」の現実を詳報しています。

的中した青森沖地震 巨大地震を予知する科学と政治の限界

「地震予知はできない」

この常識が、覆されようとしている。

日本地震予知学会会長・長尾年恭氏と前防災担当大臣・坂井学氏。二人の当事者がNoBorderニュースの番組で語ったのは、希望と絶望の入り混じった、必ずやってくるという巨大災害の真実だった。

スタジオの空気が変わったのは長尾会長が穏やかな口調でこう言い切った時だった。

「2011年の東日本大震災後、マグニチュード8超の巨大地震では、地震発生約1時間前に必ず前兆現象が現れることが確認されました」

30年近く災害取材をしてきたジャーナリストとしては都市伝説的にすら聞こえる。何十年にもわたって地震学者たちは口を揃えて「予知は不可能」と繰り返してきた。

1995年の阪神・淡路大震災も、2011年の東日本大震災も予知できなかった。地震予知の分野においては科学は敗北した——それが定説だった。

だが、長尾会長は「いまはできる」と断言する。

「東京大学地震研究所も、それまでは『そんな前兆現象なんてない』と言っていました。しかし今は『前兆現象はある』と認めています。問題は、それをいかに実用化するか、技術開発の段階に入ったということです」(長尾氏)

具体的なメカニズムは、GPS衛星による電離層電子密度の観測だという。2011年の東日本大震災では、本震発生の40分前から東北地方上空の電子密度が異常に上昇していた。スマトラ島沖地震では1時間20分前に同様の異常が観測されている。

「南海トラフ地震でも、揺れる20分前には警報を出したい。遅くとも10分前には発表したいと考えています」(長尾氏)

番組出演3時間後に「予知」が的中

この技術の信憑性を裏付けるのが、長尾会長の「実績」だ。今月12月8日23時15分、青森県東方沖でマグニチュード7.5、最大震度6強の地震が発生した。この震源域——日本海溝と千島海溝の会合点——について、長尾会長は番組内で「プレートの割れ残りがあり、将来的に大地震を引き起こす」と指摘していた。まさにその言葉が生放送で発せられてから約3時間後、予知は的中したのである。

「1994年と2003年にも同じ震源域で震度6の地震が起きています。この場所は、プレートが破壊されずにひずみをため込んだまま残った『割れ残り』があります。私たちはそこを注視しています」

長尾会長の言葉には、学者特有の慎重さと、確信に満ちた迫力が同居していた。だが彼は同時に、こうも釘を刺した。

「ただし、何月何日に起きるという予言は100%誤りです。それは科学ではありません。しかし前日、あるいは数時間前になれば、前兆現象に基づいて『明日起きるかもしれない』『数時間後に起きるかもしれない』と言えるようになるのです」

つまり、地震予知は「できない」のではなく、「できるようになる」段階に入ったのだ。10分前、20分前の警報が出せれば、どれだけ多くの命が救えるだろうか。津波到達まで2分しかないとされる静岡県清水市でも、事前避難が可能になるかもしれない。事前避難と発生後の避難では雲泥の差がある。電気が通じ、交通機関が麻痺する前の避難は命を救う上で最重要だ。10分前避難は発災後の10秒以上の価値がある。よって、長尾会長の研究は、文字通り「希望」なのだ。

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