生放送で指摘の3時間後に青森県東方沖で震度6強発生の衝撃。日本地震予知学会々長「地震は予知できる」

 

「誰も公に語れない」1000兆円損失の衝撃

一方で、坂井学前防災担当大臣の言葉は冷徹な現実を突きつける。坂井大臣は、東京大学法学部を卒業後、松下政経塾で学び、企業や秘書を経て政治の世界に入った実直な人物だ。昨年10月、石破茂内閣で防災担当大臣や国土強靭化担当大臣に就任し、政府防災の強化に尽力してきた。筆者との関係でいえば、同じ鳩山邦夫事務所出身の同僚秘書であり、内閣府防災においてはAI解析のお手伝いをしたという間柄だ。

筆者のAI解析チーム(NOBORDER)で、日経225をはじめ主要企業ごとの株価や経済損失などをシミュレーションした。その結果は驚くべきものだった。ある大企業(上場)では株価が79%下落し、現在の半分の水準に戻るまでに10年かかるという結果が出た。仮に南海トラフ地震が三連動で起こり、さらに富士山噴火などと連鎖した場合、経済損失は軽く1000兆円を超える。そうしたAI解析結果が出たのだ。

実は軽く見積もって1000兆円で、日本の年間GDP550兆円を軽く超える。仮に1707年のような三連動と富士山噴火が同時に発生すれば、国家経済の2年分近くが一瞬にして吹き飛ぶ計算になる。

坂井前大臣が語った。

「関東大震災の時(1923年)、政府は国家予算の3年分に相当する復興国債を発行しました。その処理に失敗し、昭和恐慌の一因となった。今、日本政府の債務は約1200兆円です。そこにさらに300〜500兆円、あるいは1000兆円規模の国債を追加発行したらどうなるか、想像もつかない」

さらに坂井前大臣は言葉を続ける。

「国家の財政運営が破綻しかねません。株価は瞬間的に急落します。政府のシミュレーションやAI解析などを知っていても、誰もこの数字を公に語ろうとしないのです」

筆者が坂井大臣の目に認めたのは途方もない諦念と、政治家としてやらなければならないという覚悟だった。

防災予算4倍でも「経済崩壊は防げない」

坂井前大臣は、決して拱手傍観していたわけではない。むしろ、彼は内閣府防災の予算と人員を倍増させ、来年4月の防災庁設置に向けてさらに4倍規模に拡大する準備を進めてきた改革者のトップバッターであった。備蓄拠点も、東京立川1か所から全国8地域9か所へと広げる決定を下した。能登地方へ繰り返し視察に行き、避難所の環境改善にも力を入れ、福祉の視点を導入し、質の高い食事提供を可能にする体制を整えたのも坂井前大臣だ。

「私が着任した時点で、予算も人員も2倍にしました。来年には防災庁へ格上げし、さらに予算4倍、人員4倍の規模にする予定です」

その坂井前大臣に筆者が直球で尋ねた。「大臣、正直に言って、南海トラフなどの複合災害が日本を襲ったら、この国は持ちこたえられるのでしょうか?」

坂井大臣は、長い沈黙の後、こう答えた。

「……正直に申し上げれば、経済的には極めて厳しい。AI解析の示した数字は、誰も表立って発表できないレベルです。世界恐慌級の衝撃になる可能性があります。私たちにできるのは、死者数を減らすこと、そして復興のスピードを少しでも早めることです。でも、被害そのものを防ぐことはできません」

この言葉の重みを、筆者は畏怖をもって噛み締めた。政治家が「できない」と認めることは極めて稀だ。普通の政治家ならば「万全を期す」「全力で取り組む」などと抽象論で逃げるだろう。だが坂井前大臣は違う。彼は、政府見解と自身の調査とAI解析という科学的データを前に、政治の限界を率直に認め、その絶望の中で最善策を模索し続けてきたのだ。

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