メディアが連日報じ続けた「予想」の通り、都知事選で圧勝を果たした小池百合子氏。しかしその選挙戦を巡っては大きな疑問符がつくのもまた事実です。何が小池氏を圧倒的勝利に導き、参院議員の職を辞して挑んだ蓮舫氏の惨敗を招いたのでしょうか。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが、小池氏の選挙戦略を「ズルい策」と一刀両断。さらに現職知事を協力にサポートしたマスコミを痛烈に批判するとともに、日本の民主主義の浅薄さに憂慮を示しています
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:都知事選終わる。これでいいのか?
プロフィール:辻野晃一郎(つじの・こういちろう)
福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。
この結果をどう受け止めればいいのか。都知事選に残る大きなモヤモヤ
7月7日、都知事選が終わりました。都知事選については、このメルマガでも何度か取り上げてきましたので、簡単に総括しておきたいと思います。
今回、史上最多の56人が立候補し、有権者数11,349,278人に対して投票率は前回の55%を5.62ポイント上回って60.62%となり、平成以降では2番目に高い結果となりました。
現職の小池百合子氏が2,918,015票(42.8%)を得て当選、2位が石丸伸二氏の1,658,363票(24.3%)、3位が蓮舫氏の1,283,262票(18.8%)、4位が田母神俊雄氏の267,699票(3.9%)となりました。
石丸氏が2位に浮上したことがサプライズとして「石丸ショック」「石丸旋風」などと大きく取り上げられていますが、154,638票(2.3%)を獲得したAIエンジニアの安野貴博氏が5位に入ったことも、スモールサプライズだったと言えるでしょう。
56人の立候補者の中には、「NHKから国民を守る党」が仕掛けた売名目的のふざけた連中などが多数含まれ、選挙ポスター掲示用の看板がジャックされたり、政見放送が大荒れになったりと、異例ずくめの選挙戦となりましたが、ここでは主に小池氏が3選されたことについて述べたいと思います。
小池氏の問題については、このメルマガの59号(公開記事化されたもの)と前号64号で繰り返し述べましたが、同氏は、今回の選挙を正々堂々と戦って勝ったわけではありません。
学歴詐称問題を始めとした多くの疑念を抱える小池氏は、それらに関する追及をかわすため、公務を名目にして、候補者同士の公開討論会への参加や街頭演説を極力避け、出馬会見もオンラインで行って記者の出席や質問を封じるなど、終始「逃げ」の姿勢に徹していました。公開討論に応じたのはネットメディアでの2回だけ、街頭演説も、他候補の追い上げを気にし始めた終盤こそ都心でも厳重な警備を敷いて行っていましたが、序盤では八丈島や多摩地区など、厳しい質問をするフリーランスの記者を排除しやすい場所を選んで限定的に行っていました。
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