「票も取れるし数字も稼げる」が本音。参政党の躍進で「外国人問題」を煽る政治家と大手メディア、大半の日本人は「排外的」になどなっていない

Tokyo,,Japan,-,October,9,2025:,A,Poster,For,Political
 

ネット上のみならず、大手メディアまでをも巻き込んで加熱の度合いを上げ続ける「外国人問題」をめぐる言説。世界各国で広がりを見せる「排外主義」は、我が国にも定着してしまうのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では作家で米国在住の冷泉彰彦さんが、世間を賑わせる「外国人問題」の実態を詳細に検証。その上で、本質を外した議論が拡大する理由を考察するとともに、日本社会がいま本当に向き合うべき課題を提起しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:外国人問題とは何かを考える

国家の知性が崩壊寸前。「外国人問題」とは何かを考える

今年7月の参院選で参政党が集票に成功して以来、日本のメディアは「タガが外れた」かのように「外国人問題」を煽り始めました。まるで、排外主義が全国を掩っているようですが、具体的な現象としては次の2つがあるだけとも言えます。

「排外的なことを言うと集票できると思っている政治家が増えた」

「排外的なことを言うとビューが稼げると思っての、ネットへの書き込みが増えた」

この2つだけです。本当に日本人の心情や態度が排外的になったわけではないと考えていいと思います。大前提としてはそういうことなのですが、それでは、具体的な「外国人問題」について個々の事例を見ていくと、そこにも極めて曖昧な情報が曖昧なままに拡散しているケースが多くなっています。今回は、いわゆる「外国人問題」に関わる議論や情報が相当にいい加減であることを確認して行きたいと思います。

まず日本への訪日外国人(インバウンド)観光客の数が増えているという問題があります。このインバウンドですが、コロナ禍で一旦は文字通りゼロになったのですが、その後は一気に回復基調となり2024年には既にコロナ禍前のペースを上回っていました。

2024年に入って3月には、初めて単月で300万人の大台に乗せ、4月もこれに続きました。結果的に、2024年は年間で3,687万人となってこれは新記録となっています。更に、2025年になると、24年を上回るペースとなっており、9月までに3,165万人となっています。

残る10から12月については、最後の12月が中国人の来日減少の影響を受けるかもしれませんが、10月と11月が300万だとして、仮に12月が235万だとそれで4,000万の大台は超えてしまいます。恐らく超えるのではないかと思われます。

こうした状況を受けて、24年の春先頃から「オーバーツーリズム」つまり、過度の観光化による弊害への批判が高まるようになりました。まるで外国人が札ビラを切って、金の力で横暴に振る舞っているかのような報道があり、更には迷惑行為がどんどん増えているという説明も多く見かけます。ですが、その多くは実務的に解決すべきであるし、解決可能な問題です。

例えば観光バスの路駐が迷惑という批判がありますが、これは駐車場の拡大や誘導で解決すべきだと思います。多く言われているのはゴミ公害への批判ですが、化学兵器テロを恐れるあまり、世界基準からすると異常なまでにゴミ箱を減らしてきた政策を修正すべき時期が来たことだと思います。民泊等ではゴミを残していく迷惑行為が指摘されていますが、これも仕分けを含めて説明を徹底すれば防げると思います。

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