「アッコにおまかせ!」が平気で流した誤情報。マスコミの全面バックアップで小池百合子氏は4年間の“やりたい放題期間”を得た

 

蓮舫氏が「惨敗」に終わった3つの要因

最後に、負けた蓮舫氏と石丸ショックについて一言ずつ。

蓮舫氏については、小池氏の3選を何としてでも阻む必要があると思っていた中で、強力な対抗馬が立たなければどうにもならなかったところ、立候補のアナウンスを聞いた時には希望の光が少し見えた気がしました。残念ながら惨敗に終わりはしましたが、立候補を決めた蓮舫氏の英断については心から敬意を表したいと思います。

敗北の原因はいくつかあるかと思います。まず一つ目は、蓮舫氏個人に対するネガティブキャンペーンです。前述した通り、これにはマスコミも加担して極めて卑怯な手段が取られたと感じています。

二つ目は、蓮舫氏自身が「攻撃型」「噛みつき亀」「批判ばかり」「怖いイメージ」などというネガキャンに怯んでしまって、当初掲げた「反自民・非小池」のトーンを下げてしまったこと。非小池を高く掲げて、裏金自民との癒着などをもっと激しく攻撃すべきだったと思います。

三つ目は、選挙戦略の失敗。これは蓮舫氏の責任というよりも、周囲にまともな選挙参謀が不在で、立憲民主党や共産党など既存政党の支援を前面に出し過ぎてしまったことでしょう。特に、野田佳彦元総理、枝野幸男氏、安住淳氏、福山哲郎氏など、立憲民主の古臭い重鎮たちを表に出したことで多くの票が逃げてしまったと思います。共産党との連携が敗因の一つとされますが、むしろ旧民主党の色を出し過ぎたのはまずかったと思います。せっかく離党までしてオール東京を味方にする、と言っていたにも関わらず、選挙戦略があまりにも稚拙でした。

まさに「計画通りの結果」を得た石丸伸二氏

最後に石丸氏ですが、蓮舫氏とは対照的に選挙戦略の勝利だったと言えるかと思います。「政治屋の一掃」などと豪語し、表向き既存政党からの支援はすべて断ったとされているようですが、萩生田光一氏が主宰する「TOKYO自民党政経塾」の小田全宏塾長代行が選対本部長を務めるなど、水面下では自民党と繋がっていました。また、ドトール創業者の鳥羽博道氏や第二電電(現KDDI)共同創業者の千本倖生氏など、経済界の重鎮も支援に回っていました。なお、旧統一教会との関係も噂されています。もともとユーチューバーのような人ですから、SNSを活用したやり方も若い無党派層を取り込む上で功を奏したようです。

ただ、この人の素性については、既に広島県安芸高田市での実績や言動が出回っていますので、それらを調べればいろいろと疑問符の付く人であることがすぐにわかります。安芸高田市の市長を任期半ばで投げ出し、都知事選に立候補したのも、都知事になることがゴールではなく、その先の目標達成のための売名のステップだったのだと思います。すっかり全国レベルで有名となり、まさに計画通りの結果だったのではないでしょうか。

小池氏にしても、石丸氏にしても、東京都の知事として相応しい人物かどうかを判断する材料はさまざま出揃っていると言えます。少し調べればわかるようなことをきちんと調べもせずに投票してしまう有権者が大勢いるわけですから、日本の民主主義の浅薄さを深刻に憂えざるを得ません。生まれつきのペテン師のような嘘つきや、政策の中身が何もない人にイメージだけで大量の票が集まるわけです。

そして、党の顔であり切り札でもあった蓮舫氏を擁立しておきながら、都知事選ですらその人を勝たせるための選挙戦略を立案・実行できない立憲民主党には、国政での勢力拡大やましてや政権交代など望むべくもなく、夢のまた夢ということを思い知らされた選挙だったと思います。

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