米国と日本は手を取り合って“心中”か。岸田「アメリカ議会演説」の時代錯誤と決定的な誤り

th20240422
 

国賓待遇で訪米し、アメリカ連邦議会上下両院合同会議での演説で拍手喝采を浴びた岸田首相。しかしその内容はあまりにも「時代錯誤的」とする指摘も少なくないようです。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野さんが、その内容を精査するとともに美辞麗句が並べ立てられた演説が「虚しい」理由を考察。さらに首相が演説の中で行った「アメリカへの進言」が誤りでしかない理由を解説しています。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:岸田訪米が示した日米首脳の究極の「時代遅れ」/滅びゆくアメリカ帝国への挽歌

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

岸田「究極の時代遅れ」。“ただの大国”に成り下がったアメリカとともに沈む日本

岸田文雄首相は4月11日、米議会で演説し、米国はこれまで「ほぼ独力で国際秩序を維持してきた」が、「日本は国家安保戦略を改定し……かつて米国の地域パートナーであったが今やグローバルなパートナーとなっ」て「米国の最も近い同盟国として……共に大きな責任を担ってい」くことを「ここに誓います」などと述べ、15回以上ものスタンディング・オベーションを浴びた。

拍手喝采を浴びた「岸田演説」を整理する

ここに示されている時代観を、もう少し言葉を補いながら整理すれば、こうである。

● 首相演説全文=官邸HP:米国連邦議会上下両院合同会議における岸田内閣総理大臣演説

▼法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持する中心は依然として米国である

▼その国際秩序は、全く異なる価値観を持つ権威主義的な国家による脅威にさらされる一方、米国民の心の内には米国が引き続きそのような中心的な役割を果たし続けるかどうかについて自己疑念が生じている

▼とりわけ日本の近隣では、中国の対外的な姿勢や軍事動向が、日本の平和と安全だけでなく国際社会の平和と安定にとっても、これまでにない最大の戦略的挑戦をもたらしており、また北朝鮮の核・ミサイル脅威、ロシアのウクライナへの不当で残酷な侵略などがあり、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない

▼米国が、たった一人で、国際秩序を守ることを強いられる理由はない。日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっている。日本は、第2次世界大戦の荒廃から立ち直った控えめな同盟国から、外の世界に目を向け、強く、コミットした同盟国へと自らを変革してきた。国家安保戦略を改定し、防衛予算をGDPの2%に達するよう増額し、反撃能力を保有すると発表した

▼両国のパートナーシップは2国間にとどまらず、米日韓豪印比による3カ国・4カ国間協力、G7協力、ASEANとの協力など、多層的な地域枠組みが生まれ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指している

▼日本は米国の最も近い同盟国であり、私は日本が米国のグローバル・パートナーとして堅固な同盟と不朽の友好をここに誓う……

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