米国と日本は手を取り合って“心中”か。岸田「アメリカ議会演説」の時代錯誤と決定的な誤り

 

「米国となら世界の果てまでも」でアメリカと共倒れする日本

私は、2006年に出版した『滅びゆくアメリカ帝国』(にんげん出版)の終章でこう書いた。

▼米国がパックスアメリカーナを維持しようとすれば、“唯一超大国”である米国を頂点として欧州とアジアを左右に従えたピラミッド型の支配秩序をあくまで追い求めなければならないが、そんな目標は幻想的で、私が繰り返し言ってきたように、米国は「超のつかない、しかし十分に世界最大の経済を持つ、普通の大国の1つ」へと軟着陸を遂げなければ大破綻を避けることが出来ない。

▼しかし、米国が欧州の主導するネットワーク組織論に立つ「多国間協調主義」、国連はじめ国際機関重視の流れに屈するなどということがありうるのか。

▼このような状況で、日本はこれからどうするのか。憲法を改正するか解釈を変えるかして「集団的自衛権」を解禁し、日米安保の枠組みの下、「米国となら世界の果てまでも」出て行こうとするのか。果たしてそれが日本にとって唯一の選択なのか。それは、米国の戦争中毒にどこまでも付き合って、その結果、日本がアジアで居場所を失うだけでなく、結果的には米国の普通の国への軟着陸を遅らせて米国のためにもならない、日米共倒れの道ではないのだろうか……。

これから18年経って、日米両国が依然としてこの難題にまるっきり対応できていないどころか、ますますその問題を見失いつつあることに愕然とするのである。

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2024年4月22日号より一部抜粋・文中敬称略。ご興味をお持ちの方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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