「安倍さんのおかげで、生活が苦しくなったよ」国民いじめアベノミクスの発案者、リフレ派三流学者の遁走を許すな

20240326abe-shinzo-rip_eye
 

故安倍元首相、黒田元日銀総裁のコンビが推し進めた「アベノミクス」と「異次元緩和」。安倍氏は生前、その“果実”を示すエピソードとして「給料が上がって、発泡酒がビールに変わったんだよ」という“市井の声”を好んで披露していた。ところが11年後の現在、国民の大半が実感しているのは「安倍さんのおかげで、生活が苦しくなったよ」だ。鳴り物入りの政策は、なぜ無惨な結果に終わったのか。経済に疎い安倍氏に頓珍漢なデタラメ理論を吹き込んだA級戦犯=リフレ派三流学者たちの大罪をジャーナリストの高野孟氏が暴く。(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:裏口からコソコソと出て闇に紛れて消えていくアベノミクス/「異次元緩和」の11年間とは一体何だったのか?

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

アベノミクスと異次元緩和 11年後の余りに無惨な現実

結局のところ、アベノミクスは、この11年間の政府・日銀の経済・財政・金融政策によって何が達成されたのかされなかったのかをキッチリと総括して国民に分かり易く説明し、この国の将来に確信を与えた上で、表玄関から堂々と「出口戦略」に従って退場していくべきであったが、そうはならなかった。

まるで、目立たないよう裏口からコッソリ抜け出て闇に紛れて消えて行こうとするかのような、3月19日の日銀金融政策決定会合での「マイナス金利解除」だった。

およそどこの国の政権でも、まず第一に達成すべきは、国民が少しでも暮らしが楽になった、豊かになったという実感が持てるようにすることである。

その最も単純明快な基準に照らすと、3月22日に内閣府が発表した「社会意識に関する世論調査」で「今の社会で満足できない点は?」との問いに対し、飛び抜けて多い答えが「経済的なゆとりと見通しが持てない」の63.2%で、この設問を始めた2008年以来最高だったというのは残念極まりない結果である。それに次ぐのは「子育てしにくい」28.6%、「若者が社会での自立を目指しにくい」28.2%、「女性が活躍しにくい」26.2%。

また同じ調査で「現在の日本の状況で悪い方向に向かっていると思う分野は?」の問いには、1位「物価」68.4%、以下「国の財政」58.4%、「景気」58.1%だった。

それだけではない。西野智彦が『ドキュメント異次元緩和』( https://www.iwanami.co.jp/book/b636775.html 岩波新書、23年12月刊)で書いているように、アベノミクスの11年を通じて、

▼日本経済の潜在成長率は0.8%から0.3%に低下、
▼1人当たりGDPはG7で最下位に沈み、
▼名目GDPもドイツに抜かれて4位になり、
▼1人当たり労働生産性はOECD加盟国38カ国のうち29位と低迷し、
▼平均年収では韓国にも追い抜かれ、
▼円安と資源高、そして産業空洞化で貿易赤字が常態化

した。

……これが、安倍さん、貴方が残した日本の惨状なのですよ。

print
いま読まれてます

  • 「安倍さんのおかげで、生活が苦しくなったよ」国民いじめアベノミクスの発案者、リフレ派三流学者の遁走を許すな
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け