国民の“真の声”が日本を救う。やりたい放題の自民政権に鉄槌を下せる「ミニ・パブリックス」とは

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どんな手を打てども低迷する岸田政権の支持率。そんな中にあって、岸田首相が6月に衆院を解散するという見方が永田町に広がっています。5日の衆院内閣委員会で首相が「国民の判断」に言及したことに起因しますが、これまで自民政権が「国民の声」を聞いたためしなどなかったと言っても過言ではありません。私たちの「真の声」を政治家たちに届ける方法はないのでしょうか。今回、ジャーナリストの高野孟さんが配信するメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではフリーランス記者の西岡千史さんが、議会制民主主義の欠陥を補う制度として世界で注目されている「ミニ・パブリックス」と呼ばれる手法を、神奈川県厚木市で行われた「気候市民会議」を例に取り詳しく解説しています。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:6月に衆院解散か?議会制民主主義の欠陥を補う制度「ミニ・パブリックス」は日本を救うか?

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

自己保身のため6月衆院解散か。有権者無視の政治家に国民の声を届ける「ミニ・パブリックス」とは

6月23日の会期末を迎える今国会中に、岸田文雄首相が衆院解散に踏み切るのではとの見方が永田町で急速に広まっています。5日の衆院内閣委員会では、裏金問題についての政治責任について問われ、「最終的には国民や党員に評価、判断いただく」と述べました。岸田首相の苦戦が予想されている9月の自民党総裁選では、党員票の行方が結果を左右します。その状況下で、「党員」という言葉の前に、あえて「国民」を付け足したことで、いよいよ解散総選挙は近いと受け止められています。

ただ、仮に6月に解散宣言をしたとしても、「国民不在で自己保身のための解散」と批判されることは必至です。ですが、そもそもの問題として、今の日本の政治に「国民」はいるのでしょうか。

業界団体、宗教団体、労働組合など、組織票を持つ政治家は選挙に強いのは日本に限らず世界の国々で共通しています。組織の支援を受けて当選した政治家は、その組織の意向に反する法案や政策に賛成することは容易ではありません。その結果、地球温暖化対策など、長期的な視点に立った政策の実施に困難が生じています。

そういった議会制民主主義の欠陥を補う制度として、「ミニ・パブリックス」と呼ばれる手法が世界的に注目されています。

ミニ・パブリックスとは、熟議民主主義の一つの類型として、無作為抽出(いわゆるクジ引きのこと)で選ばれた参加者が、社会的な問題について議論し、合意形成を目指すものです。現在の議会制度では、社会的な問題への関心はあるのに、政治の意思決定に参加できない「満たされない民主主義者」と呼ばれる人々がたくさんいます。その人たちの意見を政治に反映させる手法として、ミニ・パブリックスが注目されていて、日本でも試験的な試みが始まっています。

選挙の風が吹き始めた今だからこそ、「この国の政治はこれでいいのか」と問い直すことが必要ではないでしょうか。その一例として、ミニ・パブリックスの一つとして厚木市で実施された「気候市民会議」のレポートを掲載します。

(注)記事は「生活と自治」2023年12月号に掲載されたレポートを加筆したものです。肩書や統計データは掲載時

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