いまや1箱3000円に。シガーバーさえも「喫煙禁止」のNYタバコ事情

Aug. 18, 2023: New York Smoke Shop storefront at 531 9th Avenue, New York, NY 10018.Aug. 18, 2023: New York Smoke Shop storefront at 531 9th Avenue, New York, NY 10018.
 

さまざまなモノの値段が世界一高いと言われるニューヨーク。円安の今、日本円に換算すると何でも2倍、3倍は当たり前と聞きますが、タバコの値段はそんなもんではないようです。アメリカのタバコの税率は州や市で違い、ニューヨーク市では今、1箱3000円前後なのだそう。今回のメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』では、ニューヨークの邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋克明さんが、シガーバーですら禁煙というNYの喫煙事情を紹介。喫煙者だった頃に各国の空港の喫煙スペースで、それぞれの国民性を垣間見た経験も伝えています。

NY物価事情 / あるいは、唯一最大抜本的解決方法とは

妻はネット上のクーポンを使ってショッピングをするのが好き。何個かのクーポンを組み合わせて、どれだけ安くなったかをドヤる。その差額は数千円、時には数百円だったとしても。

義母は昔ながらのおばあちゃんの知恵で、買い物の極意を教示する。「1回しか使わないモノなら、中古でいいじゃない」。義兄が「だったら、ユースドの専門サイトがあるよ」と新提案。そこにさらにクーポンマニア(妻)が参入し、3人であれやこれやと定価との差額と満足度を比例させていく。

縁側で、ひとり足の爪を切り終えた義父が、天を仰いでぽつりとつぶやいた言葉にだけ、真理を感じます。「買わなきゃタダ」ー。今回はそんなお話。

以前は、日本に出張した際、成田に到着して税関をくぐると、両替所より日本用ケータイの契約よりどこより先に足が向かう場所がありました。喫煙していた時代、フライト14時間の禁断症状から、空港外に設置されている「喫煙ボックス(っていうの?)」に真っ先に向かっていた。

同じように14時間中13時間はニコチンのことで頭がいっぱいだった同胞たちが、煙が蔓延している電話ボックス型の透明ケースに吸い込まれていきます。ギュウギュウモクモクの中、日本製缶コーヒーとともに一服すると、税関でも荷物受け取り場でも実感できなかった「帰国」感が徐々に出てきます。

最初はこのボックスに入ること自体、抵抗がありました。僕が日本で暮らしていた90年代には、こんなものはなかった。入っただけで身体に悪そうな箱に(喫煙者だったくせに)当初、外から眺め、外で吸っていました(もちろん最初の1回目だけです。今はもう非喫煙者)。

空港の係員がやってきて「たいっっっへん、、、もぉおしわけございません、、できましたら、ええ、中で、吸って頂けたりしますでしょうか、もぉおしわけ、ございません、、、、」。100%こちらが悪いのに、なぜかめちゃくちゃ申し訳なさそう。NYなら、入れ!コラ!で終わりだよ。

この喫煙ボックス、ソウルの空港でも見かけました。数人が外で吸っていた。ちゃんとルールを守ってる人がほとんどでしたが、僕が見たときは2~3人が外に飛び出していた。上海でも見かけました。全員外で吸ってた(笑)。ボックス自体に意味がない。キレイに全員、ルールを守ってませんでした。

NYのJFK空港には、喫煙ボックス自体がない。いちおう指定されたスペースはあるけれど、地面に「ここから」という線が書かれているだけです。みんなが守ってるようで、守ってないようで、なんとなく守ってる(気がしなくもない)。

シッカリ全員収まる日本。数人外へ飛び出す韓国。全員外の中国。それ自体がないアメリカ。たかが喫煙ボックスだけど、国民性のようなモノを見た気がします。

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