政府、原発再稼働急ぐ方針 「審査を効率化」岸田首相表明

2022.04.28
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by 時事通信

 政府は、ウクライナ情勢を受けた原油価格高騰を踏まえ、原子力発電所の再稼働の審査を迅速化する方針だ。原子力規制委員会の規制基準を維持しながら、再稼働可能な原発をできる限り早く動かすことで電力供給不足に備える。
 岸田文雄首相は27日、経済同友会総会のあいさつで「原子力の活用を進めていく」と表明した。
 26日の民放番組では、原子力規制委員会の審査について「合理化や効率化、審査体制の強化」が必要だと指摘。「今の枠組みの中でどこまで原子力の再稼働ができるのか追求していかなければならない」と語った。
 背景にあるのは規制委の審査の遅れに対する不満だ。審査のための標準処理期間は2年と定められているが、厳格な新規制基準の下で大幅な超過が相次ぐ。2011年の東日本大震災後に再稼働したのは10基のみで、北海道電力泊原発は申請から8年以上がたつ。
 政府は原子力規制委の独立性を尊重し、地元の理解が得られた原発を再稼働させる方針は変えていない。ただ、自民党の原子力規制に関する特別委員会も「審査の効率化」を求める提言を準備しており、審査のスピードアップを求める政府・与党の圧力は今後強まりそうだ。(2022/04/28-07:05)

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