反撃能力、日米で運用協議へ 共同計画改定、進む軍事「一体化」

2022.12.19
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by 時事通信


16日、首相官邸で記者会見する岸田文雄首相(代表撮影)

16日、首相官邸で記者会見する岸田文雄首相(代表撮影)

  • 陸上自衛隊奄美駐屯地で記者会見する吉田圭秀陸上幕僚長(左から2人目)と、ヴァウル在日米陸軍司令官(右端)=2021年7月1日、鹿児島県奄美市(陸上自衛隊提供)

 政府は、国家安全保障戦略など安保関連3文書改定を受け、抑止力・対処力強化に向けた米国との協議を本格化させる。初めて保有を明記した(敵基地攻撃能力)の運用へ、有事の際の手順や役割を定めた共同計画の改定を検討。中国や北朝鮮に対し米軍の抑止力を補う役割が期待されるが、軍事面での日米の「一体化」はさらに進むことになる。
 首相は16日の記者会見で「あらゆるレベルで緊密な協議を行う。日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していく」と述べた。ブリンケン米国務長官は同日の声明で「役割、任務、能力の強化を通じて同盟を近代化する日本の決意を称賛する」と歓迎した。
 を巡り政府は、憲法上認められるとしながら政策判断として保有してこなかった。3文書改定により、今後はを効果的に発揮する協力態勢の構築に取り組む。2026年度以降、長射程化した国産の「12式地対艦誘導弾」を順次配備し、26、27年度に米国製巡航ミサイル「トマホーク」の導入を目指す。
 共同計画では、運用面での緊密な連携を図る。宇宙やサイバー、陸海空からのあらゆる情報を活用する米軍の「」に、日本のミサイル防衛は組み込まれる方向だ。このため、日米の役割、任務を定めた防衛協力の指針(ガイドライン)の改定を求める議論も政府・与党内にある。
 東アジアでは、中国が日本を射程に収める短・中距離弾道ミサイルを約1900発保有する。米国は旧ソ連との中距離核戦力(INF)全廃条約により廃棄した。日本のはこうした米中のミサイル・ギャップ(格差)を一定程度埋める効果があると米側から期待されている。
 首相は1月上旬にバイデン大統領との会談のため訪米を検討中。外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開くことも調整している。
 一方、を巡り、相手のミサイル発射などの兆候や、他国領域内の軍事目標の動きは、米軍の情報に頼らざるを得ないのが実情。反撃能力行使の前提となる攻撃着手の判断を誤れば国際法が禁じる先制攻撃となる恐れも否定できない。日米両軍の一体化が進む中、専守防衛の理念とどう整合させるかが問われる。(2022/12/19-07:05)

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