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蒼井優インタビュー「女性は誰でも、嫌な女の素質を持ってますよね(笑)」

2017.10.25
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蒼井優と阿部サダヲがダブル主演を務める映画『彼女がその名を知らない鳥たち』が10月28日に公開。この映画、登場人物全員が「クズすぎる」物語として早くも話題に。その中でも特に「嫌な女」を演じる蒼井優に、MAG2 NEWSが直撃取材してきました。演じた蒼井優自身も「最低なオンナ」と言い切る、この映画の見どころを聞いてきました。

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登場人物全員“最低”な愛の物語

沼田まほかるの人気小説を、『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督が実写映画化した『彼女がその名を知らない鳥たち』

嫌な女・十和子、下劣な男・陣治、ゲスな男・水島、クズすぎる男・黒崎という「共感度ゼロ」の人物が登場し、最低な女と男がたどり着く究極の愛を描いた異質なラブストーリーになっている。

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蒼井優が演じるのは、彼女自身が「最低の役」と思わず苦笑してしまうほど嫌な女・十和子。しかし、蒼井優が演じると、それだけでは終わらない。一緒に暮らす男を嫌って毎日なじったり、ほかの妻子ある男と不倫したり、やることは最低だが、どこか魅力的な吸引力を感じさせるヒロインになっているから不思議だ。

見ている側がイライラさせられるほど、悪い女っぷり。登場人物誰にも共感できず、「演じれば演じるほど空っぽになっていった」と語るほどハードな撮影を経て、今、公開を前にどんなことを感じているのだろうか。

「経験上、女性はみんな十和子のような嫌な女の素質を持っている」

 

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──「嫌われる勇気が持てるか試したい」という気持ちでこの役を引き受けたそうですが、演じ終えて、達成感はありましたか?

蒼井優:達成感はなかったですね。でも、この映画のラストシーンを最終日に撮ったんですけど、2日にわけて撮って、その最後2日間は、この映画に携われた人生で良かったなって思いました。自分の喜びとかここにあるんだなって再確認させられました。

──十和子についてはどんな印象をお持ちですか?

蒼井優:やっぱりいつまでも共感はできないですね(笑)。これは演じ終わってからの感想なんですけど、女性は誰でも十和子のような嫌な女になる可能性があると思いました(笑)。経験上、十和子のようなことをしたことがあるという人もいると思いますが、そうでなくても女性の嫌なところをかき集めたらああなるのかなって(笑)。共感はしなくても、素質はみんな持っているんじゃないかって思いますね。自分も否定しきれない気がします。日常を見ていても、十和子っぽい女性がけっこう多いと感じます。

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──撮影中、この役に向き合っている間はどんな感覚でしたか?

蒼井優:しんどかったです。全然幸せじゃないですから(笑)。シーンを重ねていっても、誰も本音でしゃべっていなくて、満たされない感じでした。十和子としてはもちろん信じて聞いていますが、撮影が進むごとにどんどん空っぽになっていく感覚でした。

──気分転換もせず、突き進んで言ったんですか?

蒼井優:そうですね。3週間ぐらいで撮ったので、気分転換をする時間がなかったです(笑)。追われるように撮影していました。でも、すごく濃密な時間でした。現場のスタッフさんたちも役者さんも素敵な人たちばかりで、助けられました。話が本当にひどいですし、私が演じた十和子を含めて最低な人たちしかいませんから(笑)。現場では、ラストだけを信じていました。現場ではみんなとそろそろ愛がほしいねって言い合ったりして。愛に飢えながら、ラストに向かっていきました(笑)

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──十和子を愛する陣治は、とことん尽くす男性です。ああいう男性はいかがですか?

蒼井優:ありがたいですけど、申し訳なくなります。十和子と違う意味で、私は拒絶してしまいそう。私は、あそこまで愛される自信が持てないと思います。この人は、私のどこを見てそんなに好きなんだろう?って思います。

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「阿部さんを嫌いになる努力をしていました。この人、ゴミなんだって(笑)」

──陣治を演じている阿部サダヲさんとは初共演でしたが、いかがでしたか?

蒼井優:阿部さんはすごかったです。次元が違いました。軽やかなんです。なんじゃそりゃっていうぐらい。努力や計算を何も見せずに完璧で本当にすごかったです。泣く予定のシーンではないのに、思わず泣きそうになってしまったり、ダイレクトにお芝居が届いてきました。

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──阿部さんは、顔や体の汚れっぷりもすごかったです。

蒼井優:阿部さんご自身は、とても清潔感のある方なんですよね。だから、私がまだ役を掴みきれていないとき、撮影の前半のほうとか、阿部さん陣治を嫌いになる努力をしていました。ずっと心の中で「この人はゴミなんだ」「ゴミなんだ」って言い聞かせて(笑)。そうしないと、笑いかけてしまうほど、かわいらしくて。カメラに写っていないところでの、細かい仕草がすごくかわいいんですよ。そういうところに十和子はイライラするんですけど、私はツボだったんです(笑)

──白石監督の印象も教えてください。

蒼井優:登場人物を愛でてくださっているというか、すごく愛情を持って見てくださっている監督でした。現場でこうやってもらえますか?と、監督が思いついてすぐ動きが追加されるんですけど、完成作を観ると納得。普通に動いていても意味がなかったなと気付かされました。思いついたらやってみようっていうのが白石さんのすごいところだと思います。自分の芝居に関しては、また新しい課題が見つかったなって。客観的に見られないので、自分の課題をいくつも見つけて次は気をつけようって考えました(笑)

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──ラストシーンはとても衝撃的かつ感動的でした。この作品は、蒼井さんの中でどんなふうに存在していますか?

蒼井優:公開を前に、みなさんにどうやって届けようかっていう思いでいっぱいです。まだ自分の手元にある感じですね。公開されてお客さんに届いてから、根を張り出す感じなのかな。今は苗木を持っている状態です(笑)。お客さんが育ててくれると思います。

気づかなかったもの、今気づいていないものは何なんだろうっていうことを、少し考えてもらうきっかけになると思います。お客さんによってラストの受け取り方が違うと思うんですよね。この映画はどこまで話していいのかいつも難しくて困るんですけど(笑)、この映画のラストから半年後とか想像すると、みんなそれぞれ意見が違うので面白いです。

 

取材・文/杉嶋未来
撮影/松浦文生

 

蒼井優(AOI YU)
1985年8月17日、福岡県出身。99年、14歳のときミュージカル「アニー」のオーディションで1万人の中からポリー役に選ばれ舞台デビューした後、岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』(01)のヒロイン役で映画デビュー。翌年10代目三井のリハウスガールに選ばれる。その後『花とアリス』(04)で初主演、李相日監督『フラガール』(06)で日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞と新人俳優賞ほか多数の賞を受賞。近作に『オーバー・フェンス』(16)、『東京喰種トーキョーグール』、『家族はつらいよ2』、TBS系ドラマ「ハロー張りネズミ」(17)など。映画『ミックス。』が公開中、現在放映中のNTVドラマ「先に生まれただけの僕」にも出演。

 

information
映画『彼女がその名を知らない鳥たち』
10月28日(土)より新宿バルト9ほか全国公開
監督:白石和彌
脚本:浅野妙子
出演:蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊ほか
原作: 沼田まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち」(幻冬舎文庫)
(C) 2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
ヘアメイク:草場妙子
スタイリスト:森上摂子(白山事務所) 

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