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中国を襲う「一人っ子政策」の深い闇。日本以上に深刻な社会問題に

2015年、ようやく廃止が発表された中国のいわゆる「一人っ子政策」ですが、当然ながら政策実施期間中に誕生した子供たちに兄弟姉妹はなく、親の介護を一人で負担しなければならないという事態となっているそうです。無料メルマガ『上海からお届け! 簡単3分、写真で覚える生活中国語』の日本人著者・ジンダオさんが、そんな中国の現状と、外資が中国で介護ビジネスを展開する際の障壁などについてのレポートを届けてくれました。

親の面倒は誰が見る? 一人っ子政策の深い闇。介護【护理】

自宅の近所で車いすを押しながら散歩などをしている方達を見かけます。見たところご夫婦やご家族の方がお世話をしているようです。

中国でも日本のように介護問題が徐々に表面化してきています。先だって一人っ子政策の規制が廃止された背景の一つとして、迫る今後の高齢化を見越し出産率を増やすことも一因と見ています。

また一人っ子政策の弊害として、二人目を出産することが出来なかった家族で、両親である自分たちより、唯一である一人の子供が不慮の事故などで先に亡くなった。そんな環境に置かれた親が今後の将来(介護など)を悲観して、同じような境遇の人たちが政府を訴えるなどの話もあります

複雑な一人っ子政策の第二子出産条件を紹介兄弟【兄弟】

我が家の近くにも老人ホームなどがあるのですが、パッと見、日本に比べると垢抜けてなく開放的な感じはしていません。

中国にもあるお年寄りの集う場所。老人ホーム【敬老院/养老院】

そんな中国の高齢化社会を一つのビジネスチャンスとして、中国に進出している日系企業も増えてきているようです。

ただ中国進出には障害があるように感じています。それは中国で起業する際に、営業範囲というのが定められていて、介護ビジネスを何処まで行うかによるのですが、医療行為という範囲に及ぶと外資ということもあり営業許可が取りにくく、そのため参入の障害になっているのは明白です。

中国にある日系の医療機関が「クリニック」という表現になっているのも、この辺が影響しているからだと思われます。

そんな外資が参入し難い中国介護ビジネスは今からという感じがしています。その理由として中国人の生活環境、家族に関する考えが影響しているため。

また参入できたとしても、中国の政府側との強いコネクションが無いと、建物を安心して(長期的に)借りられない・建築できない等、日本では起き得ない中国独自の面倒な問題がありますし、また運営管理側に日本人の介護師や管理スタッフが必要だと思いますが、介護の業界の人で中国語が話せる日本人がどの位いるのか? また逆に中国人介護師側に日本語が話せるスタッフがいるのか? 専門知識+外国語というレアな状況が生まれることで、非常に人材が少なくなり人材選びも難しいように感じます。この辺は英語のほうが人材選びがスムーズなように思えます。

中華系のパートナーを選んだとしても同じ部分の問題がありますし、介護は力仕事も多い仕事でしょうから中国人スタッフが、他人の老人に対して何処まで介護の仕事に取り組むのか、日本式サービスを導入しようと考えても、かなり日本との開きがあるように思えます。

ただしこれは日系サイドにも問題が。国外で想定外な事が起きるというリスク管理の意識が低い点が多くあり、国が異なる事での起きるカントリーリスクを、意外と何も考えずにやってくる日系も多いように感じます。

パートナー任せで、知らない内に投資額を吸い上げられ、そのまま撤退。介護する老人の事を考えると、そんなことだけは避けてもらえればと思っています。

今日の振り返り!中国語音声

护理 (hù lǐ) 介護の振り返り音源はココから

养老院 (yǎng lǎo yuàn) 老人ホームの振り返り音源はココから

ジンダオのここだけの話

二十代の頃はそんなに感心が無かった介護。自分が歳を重ねて、両親や廻りの友人の環境が、自然と介護に関係してくる年齢になったからでしょうか、少しずつ目に飛び込んでくるようになってきました。

中国介護は明らかに日本よりもサービスが劣るだろうと、想像はつくのですが、サービス以外の部分が中国では難航しそうです。

ちなみに台湾などは家政婦という名目で、東南アジアから家政婦さんを呼ぶことができるようで、実際年配の方の面倒を見させている家庭もあるようです。

 

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