MAG2 NEWS MENU

米大統領選を読み解く。トランプとジャンクフードの意外な共通点

アメリカ大統領選挙においてトランプが勝利したことについて、『毎日5分! 経済英語NEWS!』の著者・八木翼さんが分析しています。

いつの間にやらトランプは米経済に好意的に受け止められています。それにしても何故トランプが大統領になれたのか

今日のニュースは思想とは関係ありませんが、アメリカがトランプを受け入れた素地は、思想にあるように思います。

米経済は成長を求める経済です。近年は、オバマケアなどの社会主義思想が米国に蔓延していて、その思想に対する拒絶が今回の選挙結果だと考えていいように思います。市場はトランプを好意的に受け入れ始めています。

これまでの米国は、オバマの下、財政緊縮を行ってきました。財政緊縮はダイエットに似ています。オバマやヒラリーがサラダなら、トランプはハンバーガーでしょう。財政緊縮をしてきた米国が、耐え切れなくなり、トランプというジャンクフードに手を出したと言えます。リバウンドみたいなものです。

ニュースを見てみましょう。

ニュース本文と和訳

【Investors, economists brace for new dangerous game: parsing Trump’s words】
投資家、エコノミスト、新たな危険なゲームに備える。

(1)
Move over, Janet Yellen. The Federal Reserve chief has a challenger for the title of speaker most scrutinized by Wall Street, and it’s Donald Trump.

FRB議長は、ウォールストリートで最も洗練された演説者のチャレンジャーを迎え撃つ。それはドナルドトランプだ。

(2)
All new U.S. President-elects are closely monitored by the financial community for clues about what their policies mean for markets.

すべての新しい米国の大統領は、市場にとって、彼らの政策が何を意味するのかの糸口を、注意深く監視される。

(3)
He has pledged dramatic tax cuts, infrastructure spending and economic deregulation, and wants to repeal Obamacare.

彼は、劇的な減税と、インフラ投資、経済の規制緩和を約束し、オバマケアの拒絶を要望した。

(4)
These measures he says will turbo-charge growth and help boost the wages of those who have lost out in a globalized world where “middle-class” jobs have been squeezed.

これら政策は、彼が述べるには、成長を急加速させ、グローバリゼーションの世界に後れを取り、中間層の仕事が搾取されてきた世界の人々の賃金を引き上げる。

(5)
With the U.S. budget deficit at just 3.2 percent of gross domestic product, compared with 9.8 percent in 2009, and near record low interest rates, Trump has room to undertake a large-scale fiscal boost, at least in the short term.

米国のGDPに対する赤字予算は、2009年の9.8%と比較して、わずか3.2%であり、少なくとも短期的には、トランプは、大規模な財政政策を実施する余地を持っている。

(一部引用 REUTERS:Thu Nov 10, 2016 | 1:39pm EST)

経済コラム

僕は最近深く考えるのですが、何故事前調査であれほどヒラリーが調査会社の統計では優勢だったのに、結局トランプが大統領になりました。

英国のEU離脱についても、事前の調査会社の予測では、「離脱なんてしないよ。冷静に考えればわかるだろ?」という考えが優勢で、離脱しないとの結論に至っていました。

僕はこの一連の流れを見ていて、何かに似ているなーと思っていたんですが、最近気づきました。

ダイエット」です。

元日本マクドナルドCEOの原田さんはこんなことを言っていました。「アンケートをとると必ずヘルシーなラップサンドやサラダがほしいと要望があって商品化したけども売れたためしがない。ヘルシーなサラダでなくメガマックが売れる。お客は言うこととやることが違うからお客の話を聞いてはだめ。」

じゃあ、ヘルシーなサラダってなんなのかというと、男女平等とか賃金格差をなくすとか、そういう理想論のことです。現代人はダイエットを強く意識していますので、体外的に、「何が欲しい?」と聞かれれば、「オシャレでヘルシーなサラダ」と答えるわけです。しかし、実際の行動を見てみると、みんなビックマックを食べているのです。

今回の世論調査だって同じです。調査がどのように行われているか知りませんが、例えば街角でアンケートをされたとしたら、「私利私欲にまみれて、女性に差別的な発言をしているトランプにを支持しているなんていうのは、恥ずかしいし。」と思ってヒラリー支持と答えるのです。

有能ぶって。

けど、実際は、家でポテトチップスなんかを食べながらふと考えていると、裕福層の人たちは、「結局、おれたちなんだよね、社会保障受給者たちを喰わせているのは。トランプは現在の最高税率39.6%を、33%に下げると言っている。相続税も全廃だ。ところがヒラリーだと最高税率が43.6%に引上げられるだけでなく相続税65%って、これ一体、何のつもり?国は、そこまで裕福層から奪う権利を持っているの?」って、考え直して、トランプに投票しているわけです。

僕だって、日本にトランプがいたら、たぶんトランプに入れますね。
ヒラリー支持と言いつつ(笑)

毎日5分! 経済英語NEWS!』より一部抜粋

著者/八木翼
TOEIC235点だった私が900点を超えるまでの勉強の過程で感じた、「英語のニュースを解説してくれる教材があったらいいのに」という思いを形にしました。全ての英文に和訳、文法解析がついています。
<<無料サンプルはこちら>>

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け