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北朝鮮から聞こえる軍靴の音。危機感のない韓国を待ち受ける誤算

先日、安倍総理は訪問先の英国での記者会見で「現状では6ケ国協議は再開できる状態にない」と述べ、挑発行為を繰り返す北朝鮮を厳しく非難しました。メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さんは、中国は6ケ国協議を呼びかけているが、北朝鮮が核開発を止めるとは思っておらず、アメリカと水面下で「戦争後の体制」について協議していると推察。いまだ可能性が捨てきれていない「第2次朝鮮戦争」と、それによって日本や韓国が受ける被害についても言及しています。

第2次朝鮮戦争の準備が始まっている

第2次朝鮮戦争の開始がいよいよ迫っている。米中が戦争後の勢力図を交渉している。戦争遂行と戦後体制を検討する。

0. 現状

北朝鮮は、失敗をしているが弾道ミサイル実験を重ねている。しかし、準備ができている核実験は行わない。中国から核実験を実施するなら石油を止めると宣言されているので、現時点は実験をしないし、できない

北朝鮮は、ピョンヤン市内でのガソリンスタンドすべてを閉鎖して、禁輸に備えた石油の備蓄を行っている。この石油備蓄ができたら核実験を強行することになる。それとASEAN諸国から石油の輸入を画策している。このため、実験ができるまでに1ケ月以上はかかる

北朝鮮の金正恩委員長は絶対に核・ミサイル開発を止めない。権威の象徴になっているので、止めると国内統治ができない。しかし、北朝鮮が核実験をしないと、中国は米国などに対話を呼びかけられるので、中朝には必要なことである。

しかし、北朝鮮は、放棄するはずがない。無意味な6ケ国協議をして、開発時間を稼ぐだけである。そして、これが北朝鮮のベストシナリオでもある。

このため、米国は6ケ国協議の開始として、北朝鮮の核放棄が前提であるとしているし、中国が核実験でも制裁をしなかったら、米朝交渉を開始して、核放棄をしなかったらハルノートを送りつけて戦争に突入する可能性もある。

1ケ月先と予測できる核実験までには、米国も空母3隻を日本海や東シナ海に展開できているはず。空母カールビンソンはそろそろ母港サンディエゴに帰還するはずが、延期して日本海に滞在することになり、横須賀の空母ロナルドレーガンは、現在4月末までに整備ができて、5月中には稼働できる。また、空母ニミッツがハワイにいたが、それも西太平洋に向かっている。ということで、5月中には3隻の空母が揃うことになる。

1. 韓国の危うさ

石油の備蓄はできたが、北朝鮮は戦争が長引くと不利になるので、短期決戦にならざるを得ない。このため、北朝鮮から攻撃を開始する可能性も高い

この攻撃として、ソウルへの攻撃を北朝鮮は行うことになる。核兵器搭載の短距離ミサイルを発射しても、自国の前面展開している軍に大きな被害が出るので、大量の大砲による砲撃を行うことになる。石油の必要がないので効率が高い。しかし、大砲の整備更新をしていないので、稼働率は半分程度である。しかし、その砲撃で、ソウルは大きな打撃を受けることが確実である。

このため、日本政府は韓国に対して邦人退避の方法を交渉しようとしたら拒否されている。ありもしない戦争を誘発するというのが理由である。また、黄大統領代行は長嶺大使と会おうともしない。ということで、日韓関係もおかしい状態である。この韓国の言い分を聞いて、橋下さんも戦争はあり得ないと言っているがそれは甘い。

また、トランプ米大統領も韓国には厳しい。日米間では電話による首脳会談を頻繁に行っているが、米韓間での会談を行っていない。韓国軍は在韓米軍司令官の指揮の下で動くことになるので、必要がないともいえるが、トップ間での会話がないのは非常におかしい。

また、韓国は大統領選挙中であり、5月上旬には体制が変わることになる。最有力とされる文候補が勝つと北朝鮮シンパが政権に着くので、トランプ大統領も、韓国には厳しくなる。韓国にTHAADの費用10億ドルを請求しているし、米韓FTAの見直しも述べている。このトランプ大統領の韓国に厳しい要求は、文候補になったら実行することになる。意図して行っている。トランプ大統領は文候補が勝ったら韓国を見捨てるように感じる。

そして、文候補も米韓安保体制を破棄すると述べているから、韓国の近未来は動乱になることが確実である。それも北朝鮮が核実験を実施する直前に決まり、その後、日米との交渉をすることになるが、米国は戦争前夜となり韓国を見放すことになる。直前に米軍が韓国から撤退もあり得る。文候補が当選なら、韓国は戦争の当事者であるが、国内は大きな悲劇に見舞われることになる。

このように韓国が戦争直前とは思えない体制になる可能性が高く、戦争はないという意識が強く、危機感もない状態になっている。

文候補が勝てば北朝鮮は韓国を攻撃しないとの期待をしているが、この考え方は甘い。北朝鮮が確実に被害を大きくできるのは、ソウル砲撃だけである。

2. 米中交渉が進んでいる

第2次朝鮮戦争を前に、米中間では戦争後の体制について交渉をしているようである。中国は朝鮮半島は歴史的に中国の一部であると米国に説明している。米国も中国の主張を認めて、その代わり、北朝鮮の核開発を放棄させるために有効な手を打ってくれと要求しているようだ。

このため、中国は北朝鮮に対して、核実験をしたら石油禁輸を実施すると宣言したのであるが、戦争になると大量の難民が中国に押し寄せるし、米国軍が北朝鮮領内に侵攻してくると、中国の安全保障上も問題であり、戦争遂行上でも北朝鮮領内への米軍投入はしないことを確約しろと言っているようだ。

中国は表面的には、6ケ国協議を提案しているが、北朝鮮が核放棄をすると思っていない。このため、戦争開始後すぐに中国軍が北朝鮮に侵攻して金正恩委員長を排除することになる。このことを金正恩委員長にも伝えて、中国への亡命を提案しているようであるが、金委員長は拒否していると平野さんは言う。

どちらにしても、戦争後、米国は朝鮮半島からは撤退になる。そして、中国の指導の下に朝鮮人民共和国ができるのであろう。

習近平とトランプ大統領は、この線で合意しているような気がする。

王外相は、6ケ国協議を提案しているが、それは表面だけで、裏では、自国に有利な戦後体制を米国と交渉するためにニューヨークにいるのである。

3. 日本への影響

米国の研究所は、北朝鮮が核兵器を13~30個保有している可能性があるとの分析し、このうちプルトニウムを原料に製造された核兵器数発が日本を射程に収める中距離弾道ミサイル「ノドン」に搭載できるほど小型化されたとみられる。というが、これは戦争費用分担で、日本に応分の負担を求めるための脅しであろう。

十分な威力を持った爆弾という意味では、プルトニウム原発でないと小型化できないが、前回の核実験では、まだブースト型であり、小型化には限界があるはず。砲身型ウラン原発なら、可能性が高いが威力は小さい。それでも大きな被害が出るので、東京に落ちれば1万人以上の死傷者が出るかもしれないが、プルトニウムではないと思う。

ということで、攻撃が始まれば、車載型ノドンを可能な限り叩くことが必要になるが、米空母の攻撃に期待するしかないのが現状のようである。後は、SM3迎撃ミサイルで撃ち落とすことである。

また、核兵器は数個しかないので多数のミサイルにはサリンやVXなどの化学兵器が搭載されるのであろうとみる。

日本も戦争の影響を受けるし大きな被害が出る可能性も否定できない。このため、外交交渉で解決するのが一番良いが、北朝鮮が核放棄をしないことが明白なので、展望が開けていない。

戦争になるとみて、日本は準備をする必要がある。まず、ソウルにいる邦人退避が必要であり、韓国政府は日本政府とは交渉しないようであるので、在韓米軍の家族退避に合わせて、邦人退避も米国にお願いすることである。

今後、核戦争の準備をする必要もありそうである。国家が核シェルターを主要都市の地下に整備することが求められるようだ。

さあ、どうなりますか?

 

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国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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