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日本人には天国?ロサンゼルスが住むには快適すぎる明快な理由

日本人にとって最も身近でありながら、いざその国に行ってみるとまったくの異国である、アメリカ合衆国。そんなアメリカ独自の文化を面白おかしく紹介する、米国の邦字紙「WEEKLY Biz」CEOでメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の著者である高橋さんは、ロサンゼルスとニューヨークの「お土地柄」の違いを在米邦人ならではの視点で紹介しています。

体重増減で知る、アメリカ西海岸と東海岸の違い

LA出張から戻ると、ほぼ100%、確実にウエイトアップしています。 つまり太って帰ります

この18年間で、毎年必ず4回はLAに行きます。 一回あたり平均9日間。 ということは強引な考え方だと、NYに住みながらそのうち約2年間、西海岸にも住んだことになります(ならねえか)

ホテルもずっと同じなので、勝手にセカンドハウスくらいな感じで、スーツ、革靴、洗面道具からテンピュール枕まで保管してもらい、身一つ、ほとんど手ぶらで大陸を横断して泊まりに行きます。

こんなリラックスできる環境だから、意思の弱い僕がついつい体重オーバーしちゃう、ということもありますが、本当の理由はそれだけじゃありません。

東の人間が、西に行くたび太って帰る理由(その1)

まず、圧倒的に日本食のクオリティーが高くかつ圧倒的に安い

やはりNYより日本に近い分より日本”です。 NYの日本人より、LAの日本人の方が、精神的にも、もちろん物理的にも、ずっと日本に近い。

まず、NYから成田までは飛行機で片道14時間。 LAから成田まで11時間。 この3時間が僕たちからすると、結構でかい。

在住している日本人の数も圧倒的にLAの方が多いです。 推定の数字は出ていますが、実は、実数は誰にもわかりません。

なぜなら、領事館に在留届を提出している正式な数から推定している数字でしかないからです。 留学生はもちろん、駐在員までわざわざ提出しに行かない人は多い。 しなくても特に支障がないからです。 なにより“アンダーグラウンド”、つまり、不法滞在者はできない。 ビザが切れた時点で不法滞在なので、日本の人が想像するよりその数はかなり多いはずです。

そのあてにならない「海外在留邦人数調査統計」だとNYエリアは約9万人、LAエリアは約7万人、とNYエリアの方が多いことになっていますが、これは言ってみれば数字のトリックです。 NYエリアには、お隣ニュージャージーも含み、ニュージャージーはまだ許容範囲ですが、ウエストバージニアからメリーランド、そしてプエルトリコからバージン諸島までが含まれています。 バージン諸島なんて旅行でも行ったことがない。 統計を取る際のルールなのか、実際に住んでいる僕たちからするとただの外国です。

一方ロサンゼルスの方は、アーバイン、ガーデナなどすべて車で行ける範囲内での統計になっています。

そしてなによりLAの人は車が足代わり。 お隣のカウンティーに行くのは日常です。 彼らの感覚ではそう遠くない。

つまり日本食レストランの経営者はドライブが散歩代わりの人たちをターゲットに出来ます。 マーケットが大きい。 マーケットが大きいとそれだけクオリティーの質も上がり価格競争が激しくなります

それに加えて、LAの場合は統計上に出てこない「日系人ジャパニーズ・アメリカンが僕たちのようなジャパニーズ・ジャパニーズより多いくらいにいらっしゃいます。 彼らも日本食がメインの方が当然、多い。

それに加えて、韓国系、中国系もマージしているので、僕たちの肌感覚では「日本人市場がNYとLAでは3倍から4倍違います。 LAの方が3倍以上でかい。

なので、僕たちの業界の「日本語新聞」もLAの方がずっと激戦区です。 日本食レストランの充実度は西海岸の方が圧倒的に高くなるのも当然です。

その証拠に、昔JALの現地スタッフに聞いた話ですが、NY在住日本人と、LA在住日本人の「一時帰国から戻ってきた際のスーツケースの重さ」が圧倒的にLA在住者の方が軽いそうです。

なぜなら、精神的にも物理的にも近いから。 日本製の必要なものがあればまた帰ればいいし、なにより、街には日本食日本製のものがあふれている。 (ダイソーだってあるし)

一方、NYの日本人たちにとっての日本一時帰国は特別感に溢れます。 次、いつ帰れるかわからない(笑)。LAほど日本食、日本製のものが街にあふれているわけではない。 なので、インスタントの日本食品、日本製雑貨で、スーツケースはパンパンです。

事実、日本が大好きなうちの奥さんが、妊娠中、長時間のフライトのため、日本一時帰国を断念せざるを得なかった時、その代わりに6時間のフライトでLAに連れて行け、と言ってきました。 彼女にとってはLAは仮想日本。 日頃住んでいるNYに比べると、やっぱり食も文化も物質もずっと日本なんです。

実は「高級店」はLAよりNYの方が日本食レストランは多いかもしれません。 僕たち庶民が行きつけにするような(言葉は悪いですが)B級ランチがLAに多い

NYにはない、日本のスパゲッティ専門店や、お好み焼き専門店までが存在します。 とにかくB級ランチ好きな僕には天国だったりします。

NYでは日本食は高級料理なので、さらに手が出ない

東の人間が、西に行くたび太って帰る理由(その2)

ご存知の通り、LAは車社会です。 ほんんんんんんんとうに、みなさん車での移動が足代わりです。

というより、LAに限らず全米どこもNY以外そうなのですが、北米第2位の大都市であるLAですら、「歩かない」ので、この国の抱える肥満問題は拍車がかかります

向かいのスーパーに行くのも、車。 数ブロック先のジムに行くのも、車。 だ、そうです。

今回、驚いたのは、日本人のお客さんとモール内のレストランで食事した際、「向かいにコーヒーの美味しいカフェがあるんです」と、食後、レストランを出た後に誘われたのですが、ぼくはてっきり、同じモール内の向かいのカフェなので歩くと思いきや、一度車に乗って、駐車場内を運転し、向かいまで運んでもらいました。

これって、普通のことですか?と聞く僕に、なんのことを聞いているのか、わからない様子でした。

実際、今回も夜、お客さんに食事に連れて行ってもらいましたが、お腹いっぱいに食べた後車で送ってもらい部屋に帰ってそのままベッド、という日が続きました。 ちょっとNYではできない生活スタイルです。 そりゃ太るわ

東の人間が、西に行くたび太って帰る理由(その3)

これを書くと、LA在住の方に怒られるかもしれませんが、やっぱり、時間の流れは西海岸の方がずっとゆるやかな気がします。 体内時計、というか、ものごとはゆっくり進む気がします。

NYほど、時間に追われない。 あくせくしていない。 余裕がある。 時間の感覚は絶対に違う。

まず、車社会のLAは渋滞ありき」でものごとが進みます。 最初の方、約束のアポに15分ほど、遅れてしまい、ドアに入るや否や「遅れて申し訳ございません!」と謝ると、キョトンとした顔をされ、そこからゆっくり壁にかけてある時計を眺められ、「いやぁ、でもたった15分ですから」と言われました。 おおらか!だと感謝しました。 それ以降、LAでのアポは、「3時から3時半の間になります」「2時過ぎに。 半にはなりませんので」というアポイントの取り方をしています。

以前、こんなことがありました。

LAのお客さんと電話中「すいません、2分後に掛け直します!」と言ったときのこと。 その夜、その電話相手のお客さんに、お寿司屋さんに連れて行ってもらったのですが、彼がカウンターの向こうの店長さんに「大将、聞いてよ、今日の昼、この人(僕)と電話でしゃべってたんだけどさ2分後に掛け直します!って言われたの!」、、笑いながら、しゃべってます。 大将も「へー!」って驚いた顔。 なにがおかしくて、なにが「へー!」なのか、もちろん僕にはわかりません。 そのあとも彼は続けます。 「でさ、そのあと、本当に2分後にかかってきたの!」ここで、その客も大将も大爆笑。 2分後に掛け直すと言って、2分後に掛け直すことのどこに爆笑ポイントがあるのか。 さっぱりな顔をしている僕に、寿司を握りながら店長さんは言いました。 「この街に2分なんて(時間の)単位はないんですよ」

こんなおおらかで、ゆったりした時間の中だと、体重の増減にももちろん影響するだろうなぁと思った次第です。

ま、これだけ書いたけど。 結局は、個人によるもので。 LAでも太らない生活を心がけている人は、いや、LAだからこそいっぱいいるわけで。 実際、健康体の人も限りなくいるわけで。

ただ単に、意思の弱い僕のいいわけをツラツラ書き綴ったわけで。

ただひとつ。 もし、これからアメリカで生活しようと思っている人がいるとしたなら。 そして、その人が体重を気にする人ならば

やっぱりNYがいいかもしれません

image by: Shutterstock

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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