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トランプ「習近平皇帝」容認発言で判った欧米の真の敵

以前掲載の「習近平、事実上の「皇帝」に。憲法改正で国家主席の任期撤廃」でもお伝えしたように、憲法を改正し、「終身国家主席」の座をうかがうかのような習近平氏に対し、ジョーク交じりに「素晴らしいと思う」と発言したというトランプ大統領。これを受け、国際関係アナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の中で、「この発言を見るだけで、本当の米中関係がわかる」と意外な見方を示しています。

トランプ、習近平の【終身国家主席】は「すばらしい!」

つい最近、「習近平は憲法を変えて、終身国家主席への道を開く」という話をしました。そして、これを「欧米および国際金融資本」が「危険」と認識すれば、「体制崩壊は速まる」と。しかし、「現状中国は、欧州、アメリカ、国際金融資本と悪くない関係を築いている」とも。

この「終身国家主席についてトランプさんがコメントしました。

習氏の終身体制「素晴らしい」、トランプ米大統領が冗談半分で発言

3/4(日)17:53配信

 

【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は3日、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席が自身の終身体制の道筋をつけつつあることを称賛するような発言をした。

トランプ大統領は「いまや彼(習氏)は終身国家主席だ」「彼はそれを可能にした。素晴らしいと思う」と述べると、支持者の間から笑いが漏れた。さらに同大統領が「われわれもいつか、(終身大統領制を)試してみたらいい」と述べると、より大きな笑いが起こった。

「いまや彼(習氏)は終身国家主席だ」
「彼はそれを可能にした。素晴らしいと思う」

だそうです。この発言、もちろん、トランプさんらしいジョークです。しかし、それにしてもわかることはあります。それは、「トランプさんは習近平が終身国家主席になることを批判していない」ということです。

たとえば、ロシアは憲法で、「同じ人物が大統領になれるのは、連続二期まで」と規定されている。それで、プーチンは2000~08年4年二期大統領をやって一度辞めた。メドベージェフが大統領になり、プーチンは首相をやっていました。

メドは、大統領任期を4年から6年に延ばす憲法改定を行っています。プーチンは、2012年に大統領に返り咲き、6年大統領を務めました。そして、今年3月18日に大統領選挙があり、またプーチン時代が6年続きます。将来どうなるかわかりませんが、プーチンはここまで、一応憲法を尊重してきました(任期は4年から6年に延ばしましたが)。

もし彼が習近平のように憲法を変え、「終身皇帝になったらどうでしょうか? もちろん、欧米からメチャクチャ非難されることでしょう。私は何が言いたいのか? 現状、欧米の敵は、GDP、軍事費世界2位の中国ではなく、プーチン・ロシアであるということです。

アメリカとロシアは、ウクライナ、シリアで対立しています。特にシリアでは、米軍がロシア傭兵部隊を100~200人(一説には600人)を殺害する事件が起きている。

米ロの対決で中国は漁夫の利を得ています

私たち日本人は、「アメリカは、共産党一党独裁国家中国を敵視している」と思いがち。しかし、事実を丹念に追ってみれば、まったく違う絵が見えてきます。キッシンジャーは70年代時点で既に、「米中は事実上の同盟関係である」と断言しました。89年の天安門時代と91年のソ連崩壊で、米中関係は一時悪化した。しかし、94年には、「元の同盟関係に戻った」と、米国防総省顧問のピルズベリーさんが語っています。

私たちは、「良いこと」も「悪いこと」も「あるがまま」にみなければなりません。特に米中ロ関係の動向については、できるだけ詳細に知っておく必要があります。

 

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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