専属スタイリストのいる芸能人や有名人ではない私たちにとって、毎日の服選びは本当に悩みのタネですよね。もしも、自分にスタイリストのような着こなしのコツが分かれば…なんて思っている女性も多いのではないでしょうか。ならばスタイリストに直接聞いてしまう、という選択肢も。TVやラジオなどでも活躍する現役スタイリストの岡田あすかさんが普段の着こなし方を伝授するメルマガ『スタイリスト岡田あすかの「オトナファッションの着こなしレッスン」』では、毎号そのシーズンにあわせたテーマを取り上げ、そのシーンにふさわしい洋服の選び方をお伝えしています。Q&Aコーナーもあるのでスタイリングに関する悩みもこれで解決しますよ。
今週のオトナ女性
さて、今回は初めての回ということで、まず事前準備の回にしましょう。
まず、みなさんに聞きたいのは『あなたのクローゼットのなかはどうなっていますか?』です。
以前わたしはワードローブ診断というものもさせていただいてました。どういうものかというと、お客様のご自宅にお伺いし、クローゼットを拝見。そして、「まだ使えるもの」「もうサヨナラしたほうがいいもの」を判断。また、ある物での新しい組み合わせ方をお伝えしたり、その後のショッピングに同行する際に買い足すといいものを判断をさせていただいたりする、というような内容です。
たくさんのお客様のクローゼットを拝見していると、だいたい傾向が見えてきます。
- 色物が全くなく、クローゼットのなかがほぼ真っ黒、もしくはグレーや白ばかりの方
- 反対に柄物やカラフルな色のものばかりの方
- アイテムがどれもパーカーやTシャツのようなラフなアイテムばかりの方
- ワンピースばかりの方
- 大量に服があるのに、すべてファストファッションの方
- 10年以上前の使ってない服がクローゼットの奥底に眠ったまま、でも実際に着用しているのは上のほうに畳んである数枚
- ローテーション……という方
などなど……。
身に覚えがある方も多いのではないでしょうか?
まずはクローゼットの整理をして、自分の傾向を把握し、新たなアイテムを足せるスペースを作りましょう。
服はたくさんなくてもいいんです。まずは、“ベーシックアイテム”を一通り揃えましょう。
「ベーシックアイテムって何?」と、お思いの方も多いと思いますが、まず大大大前提として『自分のサイズに合って、自分の体型がキレイに見えるもの』です。
1.白シャツ
白シャツといっても様々ですが、これもデザインによって時代遅れ感がでてしまうので要注意。リクルートスーツの中に着るような、ドレスシャツや、ダーツが深く入って、体のラインがシッカリ出るようなシャツはNGです。
10年以上前のシャツがクローゼットに眠っている方、それらはたぶん上記のような傾向があると思いますので、ぜひ一新しましょう。イメージとしては、生地もツルツルとしたブロード(Yシャツとかに使われるような生地)よりも、少しだけカジュアルになる、オックスフォード(ボタンダウンシャツなどに使われる、すこしカジュアルな雰囲気の生地)くらいが理想です。
シルエットも体にピッタリフィットするのではなく、少し余裕があるくらいのほうがいいですね。
2.デニム
こちらも時代感が出やすいアイテム。今年は様々なシルエットのデニムが出ていますが、まずは自分の足が綺麗に見える1本を見つけましょう。まず、1番ベーシックで着まわしやすいのは、ボーイフレンドデニムの少しスリムなシルエットのものです。
太すぎず、細すぎず、自分の実際の足のシルエットがほどよくカバーできるものが理想です。
3.Tシャツ
Tシャツって意外と難しいですよね。でも、ポイントは生地の柔らかさや、首や袖の開き具合です。
最近はそこまでいかにも『T』型のTシャツって少なく、どのブランドに行っても、少し生地がテロンとした、体のラインが緩くでるような女性らしいTシャツがあるので、1枚持っておくといいですね。
ちなみにこちら、Tシャツとボーイフレンドデニムを使った私のアレンジコーデ。シンプルな「Tシャツ×デニムコーデ」に、フリンジジャケットや、ビーズクラッチ、レオパードパンプスなど、少しキャラ濃いめの小物たちを足してアレンジしてみました。
4.セットアップのジャケットとスカート、そしてパンツ
こちらも1セットもっていると、すごく便利。すべて単品で着まわすこともできます。色はそうですね、まず黒は1セット。あとは明るい色、オフホワイトや、ピンクベージュのような色も1セットあると便利です。デザインですが、ジャケットは体のラインが綺麗にでて、着丈は腰よりすこし下くらいがいいですね。
スカートはタイトで、しかも膝が隠れるくらいがベストです。で、気をつけてほしいのが、タイトのライン感。結構みなさんタイトスカートに抵抗がある方が多いのですが、スカートはヒップから股、膝下にまでかけて綺麗に添うものにしましょう。ヒップと脚のラインが出て不安、とおっしゃる方も多いのですが、この方がスッキリみえます。
また、ラインがでても、着丈が少し長めなので、上品に見えますよ。そしてパンツ。こちらもストレートよりは、少し裾にかけて細くなっているテーパードで、足首が見えるくらいの丈のほうがスッキリと女性らしさがでます。
5.シンプルなパンプス
シンプルなパンプス、といっても、ただのシンプルではありません。“女性らしい”シンプルなパンプスです。
普通のパンプスとなにが違うかというと、まず、先がポインテッドトゥ(すこし尖った感じ)、そして甲が浅め(足の指の股が見えるか見えないかくらいの深さがベストです)、そしてヒールも華奢なもの。ただ、外反母趾であったり、ヒールが苦手な方もいらっしゃると思います。
無理に履くのではなく、ヒールもそんなに高くなくていいので、3~5cmでもいいです。とにかく華奢に見えて、飾りのないシンプルなパンプスが理想です。
黒も1つは必ずほしいですが、次の1色はグレーやピンクベージュなどがあると、合わせやすいです。
こちらも「黒セットアップ×パンプス」を使った私のアレンジコーディネート。ちなみにこの挿しているスカーフはピンクとグリーンの2枚のスカーフをつなげてみました。
こんな感じ。
さて、ここで皆様はきっと「で、それはどこのブランドー!?」「どこに売っているのー!?」って思ってますよね。そうなんです、そこが問題。
でもこれはぜひ、ひたすらたくさんいろんなブランドを見て、着て、履いて欲しい! 3万円するものから、3千円のものまで、ありとあらゆるブランドがありますが、高ければいいわけでもなく、安くても自分に合っていればいいんです。
先ほどの写真の黒のセットアップも、実はH&Mで上下で1万くらい……。(スカーフはロエベです)
同じようなデザインでも、素材、色、質、などなどやっぱりすべてどこか違うのです。そしてどこかが少し違うだけで、似合ったり、似合わなかったりします。
ひとの体型も一緒で、たとえば脚のシルエットも、太ももが張っているひともいれば、ふくらはぎが張っている人もいます。腰回りも横が張っている人もいれば、ウエスト回りが気になる方もいる。いろんな要素がみんなそれぞれ違う割合でミックスされいています。
今は「あなたは〇〇タイプ」など、カテゴライズする診断方法などもありますが、もちろんそれはそれでいいと思います。また、試着面倒くさいから服はネットで買っちゃう、という方もいますが、これももちろんそれはそれでもいいと思います。
ですが『せっかくだからいろんな洋服に実際に袖(脚)を通して欲しい!』と私は思っています。
着るだけで自分の体型の気になるところ、魅力的なところ、そして服の素材の良し悪し、自分に合うシルエットがどうかがすこしずつ分かってきます。
もともとアパレルメーカーにいて、平日は店舗管理や企画会議、週末は店頭で販売応援、という毎日を送っていたので、服を売る側からしてもやはり試着して、知ってもらえることが一番うれしいです。
このメルマガを読んでもらうことで、少しずつお洋服に対するアレルギー「ファッションはオシャレさんだけがするもの……」とか、「もういい歳だし、そんな服にこだわらなくても……」とか、「私はこういう服しか似合わない!」というようなハードルや拒否反応、固定観念がなくなっていっていただけたら、すごくうれしいです。
洋服はただ自分の気持ちを豊かにする一つの方法に過ぎません。なので気負わず、楽しく、このメルマガを読んでいただけたら嬉しいです。
次回からはシンプルアイテムからステップアップして、買い足しアイテムなどをご紹介したいと思います。
※メルマガ『スタイリスト岡田あすかの「オトナファッションの着こなしレッスン」』より一部抜粋