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日本は核武装しなくていい。武田教授が根拠とする「3つの条件」

12日に行われた米朝首脳会談でも話し合われ、共同宣言も発表された朝鮮半島の「非核化」。日本は、北朝鮮からの核攻撃という危機的状況から脱したかに思えますが、本当に「核武装」は必要ないのでしょうか? 中部大学教授の武田邦彦先生は自身のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』で、中国の「核の脅威」を前にしても「日本は核武装しなくても大丈夫」との持論を展開。なぜ武田教授はそう断言するのか、その根拠について最新のメルマガ内で詳述しています。

日本が核武装せずとも、諸外国から核攻撃されない方法

今では考えられないことですが、少し前まで「日本の防衛をどうするか?」という議論をしますと、いわゆるリベラル派という人たちから「また軍国主義を復活させるのか!」と怒鳴られました。平和主義の人が「戦闘的、暴力的」なのは昔からで、民主主義で言論の自由があるのに、自分たちが気に入らないことは議論もさせない、今でもあまり変わらず、「議論させない、怒鳴る」ということが多いようです。

さらに「核武装」になると、議論どころか「核」という言葉さえも使えなかったのですが、実は日本がアメリカ軍の傘の下にあるということは国連などでも明白なことで、頭隠して尻隠さずの日本は軽蔑されていました。

その点では最近、憲法改正や北朝鮮のこともあって、日本の自衛や核武装について、このような機会に書くことができるようになったことは、私たちの子供にとってとても良いことだと思っています。

私は「自衛隊は日本国憲法と砂川判決によって認められているので憲法改正はいらない」という考えで、さらに核武装については「中国が核で脅してくるが、核武装しなくても大丈夫」という考えです。いずれも私としては筋が通っているつもりですが、日本ではメジャーな考えではないことも知っています。

今回は自衛隊のことではなく、「日本は核武装しなくても核攻撃されないという状態を国際的に作る方法を提案したいと思っています。一般的な日本人は「中国から核攻撃を受けるのは嫌だけれど、そうかといって日本の核武装も気乗りしない」というのが本当の気持ちと思うからです。

核から日本を守るには…「核攻撃された唯一国として報復の権利を主張する」

日本が核武装せずとも核攻撃を受けなかったり、実質的な核抑止ができるようになるためには、次の3つの条件が必要だと思います。

  1. 第一に国際的に「報復の権利」を声高に主張することです。日本は世界で唯一、核攻撃を受けた国で、30万人ほどの犠牲者を出しています。犠牲者というのは単に命を落としたということだけではなく、強い権利を日本に残してくれたのです。それは「日本だけが次の核を使う権利がある。それは報復の権利だ」というものです。国際法上も「報復は正当」ということで合意されています。つまり、ある国から攻撃された国は、その報復は無条件でできるというものです。
  2. 第二に常に核兵器の廃絶を世界に向かって発言し続けることです。唯一の核被爆国として、核兵器の廃絶を言い続けるのに、世界は違和感を持ちません。その点では日本は人類共通の脅威である核兵器に敢然と反対するポジションを持っているといえます。ところが、日本の国際政策は一貫していません。被爆国日本を強調するときには核廃絶を唱えますが、国連の場などでアメリカに配慮して核廃絶の決議には棄権するか反対しています。でも、これは日本の外交の「馬鹿正直」を続けているものの一つで、もうそろそろ大人の外交に転換するべきと思っています。
  3. 第三にアメリカとの集団的自衛を続けることです。日本国憲法と最高裁判所の判決によると、日本は自衛権を持つので自衛隊は良い、アメリカとの安保条約や集団的自衛は政権が選択することができる、ということになっていますので、アメリカとの同盟関係を続けることができます。アメリカは世界で最強の核兵器を持っていますから、間接的ですが核兵器の抑止力が日本にも有効ということになります。

この3つで日本は核兵器を持たずに核の抑止力を発揮できる」ということになりますが、「こんなうまい話はない。アメリカに核を放棄しろと迫り、『アメリカの核の傘の下に置かせてくれ』というのはあまりに自分勝手だ」という方もいると思います。

でも、著者は違うと思うのです。

アメリカは「正当な理由があって核を持つ権利」を持っているわけではなく、「自国を守るためにやむを得ず保有していて、決して他国を侵略することを意図していない」と言い続けなければなりません。だから、日本とアメリカの同盟は「本来は核のない同盟を結びたいが、アメリカの自衛の方法まで日本が指定することはできない」という理由で、暗黙に核を認めるのです。(メルマガ最新号より一部抜粋)

image by: Foto011 / Shutterstock.com

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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