栃木県で発生した強盗殺人事件で、16歳の少年らが家に押し入り60代女性が亡くなりました。逮捕された指示役の夫婦も、実は「雇われ指示役」に過ぎず、その上には真の首謀者がいると見られます。海外逃亡した男への逮捕状も出ており、闇バイトの組織的犯罪は深い闇を抱えています。今回、メルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では、ジャーナリストの多田文明さんが、栃木事件の犯罪構造と、法務省が発表した闇バイト調査結果から見えてきた若者を蝕む実態に鋭く切り込みます。
栃木強盗事件・夫婦が「雇われ指示役」と思う理由
16歳の少年らで構成された強盗グループが家に押し入り、60代女性が亡くなりました。なぜこうした闇バイトによる犯罪が起きるのか。募集の傾向はどのように変わっているのか。
また、甚大な金銭的被害を出した旧統一教会の清算手続きも開始されました。被害救済のために、これから清算人や国に求められることなどを弁護士らの見解を踏まえて書きます。
今回の強盗事件も旧統一教会問題も、組織的に構成された者たちが、上位者の指示を忠実に行うことで被害を引き起こしており、その点で共通しています。被害を二度と生み出さないにはどうすべきなのかを考えたいと思います。
栃木での強盗事件では、60代女性が亡くなり、同居する息子さんも襲われて怪我を負い、飼い犬も殺されて、ご遺族の心痛は計り知れないものだと思います。
犯行をみるとこれまでの組織的強盗事件に比べて稚拙な部分も多くあり、警察の素早い捜査もあって、実行役や指示役もすぐに逮捕されました。 夫婦は雇われた指示役だと思われます。その上には、上位者の指示役、首謀者がいると思っています。指示役の上に指示役という、階層を複雑にすることで、首謀者にまでいかない工作が垣間見えます。
雇われ指示役と思う理由の一つは指示役の夫が羽田空港で、海外に逃亡しようとしたところを逮捕されたことです。より上の指示役なら先の先をみて行動し、捕まらないための工作をするものです。 逮捕された少年と指示役夫婦は対面しており、足がすぐにつくことは明らかです。その点を考えれば、少年が逮捕された時点で、真の指示役ならすでに海外に逃げているはずです。逃走のタイミングが遅すぎますので、おそらく指示で動いていると思います。
また警察が一丸になって捜査しているにもかかわらず、妻はホテルに身を隠すという小手先の逃亡劇をしています。これでは捕まるのは当然です。
このように、まったく先の読めない行動が数々みられますので、雇われた指示役との見解を持っています。
そして夫婦の指示役の裏でうごめいた40代男性への逮捕状が出ました。 この事件の主導をしていたと思われますが、すでに海外に逃亡しており、今後の国際連携による 捜査が重要になってきます。
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少年らの思考の甘さも犯罪グループに利用された可能性
最近強盗だけでなく、強盗予備罪での逮捕が続いています。いかに多くの人が闇バイトに応募して、犯罪行為をしようとしているのかがわかります。 犯罪グループはいったん相手を引き入れると、恐怖心で支配します。
旧統一教会の場合は「悪霊」という目に見えない精神的な形で行いますが、犯罪グループは暴力による身体的危険を感じさせる形で恐怖心を煽ります。
実際に少年らは指示役の夫婦から、仕事を断れば「家族を殺す」などと脅されていたとしています。 その他にも、少年らの考えの甘さや道徳規範の欠如などに犯罪グループは付け入っているとみています。
それが最も表れているのが、少年の一人が強盗後、ヒッチハイクをして近くの駅まで送ってもらい、逃走していたことです。
自分たちが強盗殺人という凶行をしながら、ヒッチハイクの形で誰かの善意に便乗しようとする二枚舌な行動をしています。保身のためなら、相手の良心を利用する。ここに、犯罪グループに誘われた一端を見る思いをしています。
詐欺師もそうですが、彼らには相手をだますことによる、良心の呵責はありません。自分の利益のためならば、嘘をつき、平気で相手の善意や優しさに付け込みます。少年の一部には、「反省」や「後悔」をしている人もいるとのことですが、こうした心が染み付いたままでは、今後も同じような犯罪行為を繰り返す懸念を感じています。
法務省が発表した闇バイトの傾向からみえること
法務省矯正局は、令和8年4月、少年院在院者への「闇バイトに関する特別調査結果」の報告書を出しました。
「闇バイトを行ったことがある」と回答した人のなかで「2~5回が168人(38.9%)」と「10回以上が121人(28%)」と何度もしたと答えた人が多くなっています。 二つの理由が考えられます。 一つ目は身分証などを抑えられて脅されて、捕まるまで繰り返し犯罪をさせられたこと。二つ目は、簡単にお金を稼げることから、再犯してしまっている可能性です。
二つ目に関していえば、実行犯は使い捨てとはいえ、相手からの信頼を寄せてもらうために、犯罪グループは「約束通りの報酬を払う」傾向があります。
実際に「過去にSNSやメッセージアプリなどを通じて知らない人に頼まれて仕事をしたことがありますか」の質問について「ある(お金をもらった)」とする人は384人(22.4%)に上っています。甘い汁をいったん吸ってしまうと、そこから抜け出せなくなってしまいます。
注目すべきは、闇バイトに誘われる契機です。 「SNSで見つけた」が121人なのに対して、友人・先輩などから紹介されたのが461人と高い数字になっています。 少年らが友人から誘われやすい状況がわかります。(メルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2026年5月28日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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