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米中貿易戦争で世界経済危機に。日本国民はどう備えるべきなのか

9月24日、アメリカは対中制裁第3弾を発動しましたが、これにより中国経済への影響はどう拡大するのでしょうか。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、冷凍肉やテレビ部品など「中国製品に対する追加関税はグローバルに市場展開する企業の経営を圧迫する」と指摘し、中国に限らず世界経済が負のスパイラルに陥り始めているので注視すべきと記しています。

世界的経済危機に備えましょう

皆さんご存知だと思いますが、アメリカ対中制裁第3弾が発動されました。

<米国>対中制裁第3弾発動 対象22兆円相当に10%

毎日新聞 9/24(月)14:06配信

 

【ワシントン中井正裕、北京・赤間清広】トランプ米政権は24日午前0時(日本時間同日午後1時)過ぎ、中国による知的財産権侵害などに対する対抗措置として、年間輸入額2,000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に10%の追加関税を課す対中制裁第3弾を発動した。中国政府も即座に600億ドル相当の米国製品に5%か10%の追加関税を課す報復措置に踏み切った。エスカレートする米中の応酬は打開の糸口が見えない泥沼に陥った。

米中貿易戦争、終わらないどころか、ますますエスカレートしています。先日、この件に関して、「貿易戦争=覇権争奪戦」という視点から記事を書きました。

瀕死の中国。米中貿易戦争で「世界の工場」から各国が逃げ出す訳

米中貿易戦争=米中覇権争奪戦 でもある。それでも、日本と世界経済にとっての結果はかわらない。そう、どう考えても、世界経済にはマイナスです。ブルームバーグ9月24日を見てみましょう。

24日の米株式相場は、米中貿易戦争の長期化という現実に直面し下落した。フィッチ・レーティングスは世界見通しに関する最新リポートで、米中は激しさを増す非難の応酬から、世界経済に打撃を与える行動へと移りつつあると指摘。フィッチのチーフエコノミスト、ブライアン・コールトン氏はリポートに「貿易戦争はいまや現実となった」と記した。フィッチは2019年の世界成長見通しを0.1ポイント引き下げ3.1%とし、さらなる下振れリスクがあると警告した。

フィッチは2019年の世界成長見通しを0.1%引き下げたそうです。これは、どう考えても、「小雨」ですね。しかし、「さらなる下振れリスクがあると警告」した。これは、「大雨注意報」です。

対中関税第3弾の対象品目は冷凍肉からテレビ部品に至るまで多岐にわたる。トランプ大統領は中国が報復措置を講じればさらに2670億ドル相当の中国製品への新たな関税を実施すると警告している。この警告が実行に移されれば、昨年の中国からの輸入額の全てが対象となるため、多国籍企業のサプライチェーンを動揺させかねない。
(同上)

トランプさんのこれまでの行動をみていると、「中国からの輸入額の全てが対象となる」可能性は、ますます高まっています。アメリカが、全中国製品に、たとえば25%の関税をかけたとしましょう。今まで、アメリカへの輸出で儲けていた中国企業は、つくっても売れないので、生産を減らすでしょう。そして、会社の利益が減り従業員の所得も減ります。従業員は、同時に消費者ですから、消費が減る。消費が減ると、作っても売れないので生産が減る。生産が減ると、所得が下がり、また消費が減る。こうして、世界経済は、「縮小スパイラル」「不況スパイラル」に突入していく。

世界経済危機は、起こるのでしょうか? 可能性は、日々高まっています。以前も紹介しましたが、ノーベル賞学学者のクルーグマンさんは、いいます。

「トランプ大統領が貿易戦争に向かって行進する中、私は市場の慢心に驚いている」と、クルーグマン教授はツイッターに投稿。「トランプ氏が行くところまで行って、世界経済を壊すのかは分からない。しかし、相当な可能性があるのは確かだ。50%? 30%?」と続けた。
(ブルームバーグ6月20日)

これ、6月の発言です。第3弾発動後、クルーグマンさんは、どんな発言をされるのか注目です。そして、IMFも、

世界経済に「深刻な打撃」=米の対中制裁憂慮─IMF

9/21(金)0:35配信

 

【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)のライス報道官は20日の記者会見で、トランプ米政権が発動を表明した対中制裁関税の第3弾が及ぼす影響について、米中両国にとどまらず世界経済に「非常に大きな打撃をもたらす恐れがある」と強い懸念を表明した。

世界経済に非常に大きな打撃をもたらす恐れがある」そうです。現在の状況を一言でいえば、「大雨注意報が出された」ということでしょう。この時点で、「ホントに降るのですか? 降らないのですか?」と、答えのでない質問をするのは、愚かです。「大雨注意報が出ている。少なくとも傘をもってでかけよう」というのが正しい態度でしょう。

世界的経済危機に備えましょう。どう備えるかは、人それぞれなので、「みんなこれをしましょう」とはいえませんが。たとえば新規の借金は、やめておいたほうがいいかもしれません。大雨のときは、家にいるのが一番ですね。

攻めより守り。意識的に余裕をつくっておきましょう。

image by: shutterstock

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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