暦どおりにお休みがある方は、今年のゴールデンウイークは10連休だそうですが、すでにお出かけの予定は決まっていますか?メルマガ『8人ばなし』の著者・山崎勝義さんが提案する旅は、まとまった休みが取れない人も楽しめる小旅行の方法です。それは、行ったことがある場所への「再訪=rivisit」で、脳科学的にも十分に刺激に満ちた旅行となるようです。
revisit体験ということ
観光地の中でも、京都・奈良は別格である。名所・旧跡のうち超有名どころだけを数えてもちょっとしたリストができるほどだ。
という訳で「何処に行こうか」ということが旅の悩みの第1となる。海外旅行並みの大日程ならともかく、国内旅行である。折よくたまたま取れた休みなどを利用しての1泊2日か、せいぜい2泊3日といったところであろう。また、日帰りといった場合も決して少なくはない筈だ。このように時間は限られている。あっちもこっちもという訳にはいかない。
自分の場合、圧倒的に日帰りが多い。というよりほとんどが道すがらといった感じで泊を伴う方が珍しい。そういう訳だから行けてもまあ1か所である。これを欲張って2か所にするとたちまち時間的な圧迫感が増す。仮に、丸1日あるのなら、午前1か所、午後1か所あるいは午後1か所、晩1か所くらいが自分的にはちょうどいいようである。
その、1か所旅行に関しての提案である。それは「revisit(再訪)」式とでも呼ぶべき旅のあり方である。つまり、1度(例えば、修学旅行などで)行ったことがあるところに敢えて行くのである。これが実に楽しいのである。その理由は「時を越えての同定」と「印象の更新」にある。
「時を越えての同定」とは、記憶の風景と眼前の光景との照合行為、言い換えれば、答え合わせである。実際に経験すると分かると思うが、これが結構憶えているものなのである。「あの角を曲がれば、確か…」「あの建物の向こうには、きっと…」「やっぱり!」これが快感なのである。
また「印象の更新」とは「思ってたよりも大きいな」とか「意外に渋いな」といったような感動の焼き直しのことである。この更新があるということは、第一印象においても相当な感動があったに違いなく、それを成長した(年を取った)自分が新たな視点から評価し直しているということである。妙な言い方に聞こえるかもしれないが、初めての感動が2度あったような感じである。
実際、脳科学においても、こういった「同定」や「印象の更新」が行われる際には脳が活性化することが分かっている。人間は、少なくてもその脳は、昔見たものをもう一度認識することが好きなようである。そして同時に、昔見たものに初めてを感じることも好きなのである。
因みに、前者を錯覚的に感じたものが所謂「デジャヴ」である。「前に見た気がする」というあれである。そして、後者を錯覚的に感じたものが「ジャメヴ」である。「初めて見た気がする」というあれである。
このような錯覚が誰にでも普通に起こり得るということは、そういった感覚回路が脳内に既に用意されていることを意味している。もっと言えば、我々の脳はいつでも「同定」と「印象の更新」を待っているのである。
旅の魅力が非日常にあるなら、こうした「revisit」体験によっていつになくテンションが上がることもまたそれに当たるであろう。
だから「前に行ったことがある」から「行かない」と消極的に連想するのではなく、寧ろ「前に行ったことがある」からこそ「また行く」と積極的に考えてはどうだろうか。きっちりスケジュールよりノープランを好む、横着な私からの(ちょっとこじつけ的な)旅の提案である。
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