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中国潰しに世界を巻き込むトランプ砲、遂に合わせた本丸への照準

米中貿易交渉大詰めの5月10日、トランプ大統領が中国への追加関税引き上げを実施した事は予想通りでしたが、その直後といえるタイミングでさらなる追加関税を示唆し世界が驚いています。これを受け国際ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、米の再追加関税実行の可能性は高いとした上で、日本及び各国が今後とるべき対策について記しています。

トランプ砲は終わらない

前号「中国が熱望するバイデン氏が米次期大統領になれば日本はどうなる」と前々号「役者が違う。トランプ突然の『ちゃぶ台返し』に顔面蒼白の習近平」で、トランプのちゃぶ台返し」について触れました。

世界の二大経済大国である米中間の貿易交渉の最終ラウンドを目前に、トランプは「中国との貿易交渉は続いているが、中国側が再交渉を試みていて進展が遅すぎる。駄目だ!」とツイート。その上で、中国からの2,000億ドル分の輸入品に対する関税を10日に10%から25%に引き上げると表明。
(ニューズウィーク 日本版 5月7日)

で、実際10日に関税を引き上げてしまいました(トランプにいわせると、「ちゃぶ台返し」をしたのは、習近平の方)。

世界は、大きな衝撃を受けていますが、「トランプ砲は終わりません。トランプは、「さらなる関税引き上げを指示しました。

トランプ氏、さらなる対中関税引き上げ命じる 原則的に中国からの全輸入品が対象

5/11(土)8:28配信

 

【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は10日、中国からの輸入品2000億ドル(約22兆円)相当に対する追加関税を引き上げてから24時間もたたないうちに、残るほぼすべての中国からの輸入品に対する追加関税の引き上げを命じた。ロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer)米通商代表部(USTR)代表は声明で、「大統領は、原則的に残りのすべての中国からの輸入品3000億ドル(約33兆円)相当に対する追加関税の引き上げ手続きに着手するようにとも命じた」と述べた。

残りのすべての中国からの輸入品3,000億ドル相当に対する追加関税の引き上げ手続きに着手するようにとも命じた

そうです。トランプさんの際立った特徴は、「有言実行」。「いい悪い」はともかく、

など「言ったこと」を実際に「やって」きました。というわけで、次の「関税引き上げも実際に行われる可能性が高いです。

驚く世界、驚かない私たち

この件で、世界は大騒ぎになっています。トランプさんの行動が「意外だ」というのです。

しかし、RPEの読者さんで、トランプの行動に驚いた人はいなかったことでしょう。というのは、今回のトランプの行動はただの貿易戦争ではない」ことを、私たちは知っていた。

RPEでは、「2015年3月の『AIIB事件』でアメリカは、中国打倒を決意した」と書いていました。しかし、2017年、トランプは北朝鮮核問題で中国の協力を得たくて、米中関係は改善された。ところが、2018年に、米中貿易戦争が勃発した。

RPEでは、「米中戦争はただの貿易戦争ではなく、【覇権争奪戦】だ」と書きつづけてきました。だから、トランプの動きも、「やっぱりきたか」なのです。

そして、その副作用で、「世界的危機」が起こってくることも「想定内」です。『現代君主論~経済覇権編』をゲットされた方は、私が「米中覇権戦争がはじまりました。その結果、世界的危機が近づいています」と話しているのをごらんになったでしょう。「経済覇権編」の撮影は、2月20日だったのです。

トランプは、「覇権をかけて」中国に戦いを挑んでいます。これは、「アメリカが覇権を維持するか中国に覇権をうばわれるかの戦いです。だから、真剣で切実なのです。

そして、副作用がでてきます。中国からの輸入品2,000億ドル分の関税を10%から25%に引き上げた。次に、残り3,000億ドル分の関税を引き上げる。

まず大打撃をうけるのは、中国経済。しかし、世界経済はつながっている。中国の危機が日本や世界に波及していくことでしょう。

「冬来るだ、ジョン・スノウ…」

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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