中国が熱望するバイデン氏が米次期大統領になれば日本はどうなる

shutterstock_469130966
 

米中の覇権争いによる経済制裁合戦は互いに譲歩も見られず、収束の気配はありません。これまで以上の経済弱体化を避けたい中国は、既にトランプ政権以降の米国を見据え、民主党の最有力候補バイデン氏を上手く利用する手筈も整えている様です。国際ジャーナリストの北野幸伯さんは、自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、中国がバイデン氏に浸透工作を働く根拠などについて詳しく解説するとともに、アメリカ、そして日本にとってどちらが大統領となる方が喜ばしいのかについても記しています。

米民主党の最有力大統領候補は親中?

役者が違う。トランプ突然の『ちゃぶ台返し』に顔面蒼白の習近平」で、トランプさんが突然、「中国からの2,000億ドル分の輸入品の関税を10%から25%に引き上げる宣言した」という話をしました。こんなことを書きました。

中国は、アメリカをだまそうとしているに違いません。トランプの任期が終わるまで引き延ばし、次の選挙で、親中のバイデンさんを大統領にするよう工作するでしょう。金にだまされなかったトランプは、習にもだまされなかった(今のところは)のです。
(RPE1992号 2019年5月8日から)

そしたら、読売新聞オンライン 5/8(水)23:42配信に以下のようなトランプさんの言葉が紹介されていました。

トランプ氏は8日朝のツイッターに「中国が貿易協議を撤回し、再交渉しようとしたのは、大統領選の民主党候補との『交渉』で、米国からの搾取を続けられると希望を持ったからだ」と投稿した。

トランプのちゃぶ台返し、本人によると、「中国が貿易協議を撤回し再交渉しようとしたからだと。なぜかというと、時間稼ぎをすれば、民主党候補が大統領になり、交渉を有利につづけ、アメリカを搾取しつづけることができると希望をもったからだと。

なんというか、RPEの見解とトランプさんの見方が完全に一致していて、面白いです。

日本では、「アメリカ共和党は反中アメリカ民主党は親中だ」と思われています。これ、事実ではありません

そもそも、米中関係を劇的に改善させた男ニクソンは共和党。その後、レーガンも、ブッシュパパも、ブッシュ子も親中でした。民主党も、カーター、クリントン、オバマも親中。結局、アメリカはニクソン以降ずっと親中政権がつづいてきた。

しかし、2015年のAIIB事件以降、アメリカは「中国が最大の脅威だ!」と悟った。それで、2015年3月以降のオバマさんは反中になった。トランプさんは、2017年北朝鮮問題で中国の協力を必要としていたので、米中関係は悪くなかった2018年になると、「やはり習近平はウソつきだ!」ということで、米中覇権戦争を開始した。

では、中国が期待する民主党大統領候補とは誰でしょうか?現在、民主党最有力候補は、オバマさん時代副大統領だったジョー・バイデンさんです。親中。最近は、こんなことをいっています。

「中国は競争相手でない」に批判 バイデン氏発言にトランプ氏ら

5/3(金)10:02配信

 

【ワシントン共同】来年の米大統領選に出馬表明した民主党重鎮のバイデン前副大統領が1日、中西部アイオワ州で開いた支持者集会で「中国はわれわれの競争相手ではない」と発言した。これに対し、対中強硬策を掲げるトランプ大統領だけでなく、民主党の他の大統領選立候補者からも批判が集中している。

 

バイデン氏は演説で、副大統領や上院外交委員長として世界の指導者と会ってきた経験を誇示。「中国がわれわれをやっつけるって?いいかげんにしてくれ。彼らは体制内の腐敗にどう対処したらいいのかさえ分かっていないんだ」と述べ、米国と対等に渡り合える国とみなしていないことを強調した。

バイデンさん。本音でいっているとしたら、かなりアメリカの立場がわかっていません

オバマは、親米諸国に「中国主導のAIIBには入るなよ!」と命令していた。ところが、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、イスラエル、オーストラリア、韓国など、親米諸国がことごとくアメリカを無視してAIIB参加を決めた。意味は、「親米諸国は、アメリカではなく中国を選んだ」です(2015年3月時点)。

それに、5Gでも放置しておいたらアメリカは中国に勝てない。だから熱心にたたくのでしょう(もちろん、ファーウェイが情報を盗んでいることもあるでしょうが)。

もしバイデンさんの発言が本音でないとしたら、彼は、「中国ダメ論」を語ることで、中国を守っていることになります。この「中国ダメ論」というのも、中国は意図的に流してくる。だから注意が必要です。

print
いま読まれてます

  • 中国が熱望するバイデン氏が米次期大統領になれば日本はどうなる
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け