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利き目と利き手が左右逆な人に告ぐ。ダーツや射撃は利き目に従え

皆さんは、自分の利き目がどちら側かご存知でしょうか?メルマガ『8人ばなし』の著者・山崎勝義さんが簡単な調べ方を紹介。さらに、利き目と利き手が逆という人は15%ほどいて、ダーツや射撃など、ターゲットを狙うスポーツをする際には、利き目に合わせて使う手を決めたほうが成績は上がると教えてくれました。競技に限らず、遊びでやるダーツがうまくならなかったり、夜店の射的でさっぱり景品を取れないという人は、試す価値があるかもしれません。

利き目と利き手のこと

人間の身体には利く側と利かぬ側がある。利き目、利き耳、利き手、利き足などである。そしてこれらはどちらか一方に揃う傾向がある。例えば利き目が右目の人だったら、耳も手も足も右側が支配的になるという訳である。

自分が知っている研究データには目と手に関するものしかないのでそれを紹介すれば、利き目と利き手の同側率は85%であるという。当然このデータを逆に読めば、15%の人が非同側、つまりは左目利きの右手利きか右目利きの左手利きということになる。

ここで簡単な利き目、利き耳の調べ方を紹介する。利き目の場合は、まず顔の正面に両手で小さな覗き穴をつくる。両目を開けてその穴に数メートル先の目標物を入れる。次に片目だけを左、右とつむる。目標物が消えずに穴の中に留まって見える方が利き目となる。

利き耳は簡単だ。隣の部屋を盗み聞きする時に壁に当てる方の耳がそうである。これが不穏当に思えるなら受話器を当てる方の耳と言ってもいいが、これだとその時の手の使用状況にも少なからず依存するであろうから微妙なところがないでもない。

とにかくいい機会なので自分が85%の多数派か15%の少数派なのか確認してもらいたい。本稿はその15%の人へのメッセージである。一応白状しておくと自分は少数派に属する者である。

改めて考えると、同じ支配的と言っても目、耳、手、足は平等ではない。目や耳に対して圧倒的に手足の方が器用なのである。例えば、手や足は右と左で別々の運動や作業ができるが、目や耳はそうはいかない。右目で上を見て左目で下を見るようなことも、右耳でボーカルを聴いて左耳でギターサウンドを聴くようなこともおよそできる芸当ではない。

こういった機能の差はおそらく目や耳が入力装置であるのに対し、手や足が出力装置であるために生じるものであると思われる。さらに言うと、手や足は同時に入力装置でもある。重さや抵抗などを感じてそれをまた出力にフィードバックすることで運動を適切に制御することができるのである。

おそらく利き手利き足と、そうでない方の手足の性能差はもともといくらもなく、最初にどちらを使うかといった順番の違い程度のものなのではないだろうか。考えてみれば、利き手でなければならない作業や運動というのは一本の手しか使わない作業に限られるような気がする。書くという作業が典型である。

逆に何らかの形で両手両足を使う作業は、利き手利き足を選ばない。一番分かり易いのが車やバイクの運転である。左利きだからという理由で左ハンドルでないと困るといった類の話は聞いたことがない。人間の手足はかくも順応性に長けているのである。

一方、入力のみをその機能とする目や耳は融通が利かない。例えば、野球などのスポーツで右利きの選手が左打ちに変えるというのは珍しいことではない。然るに、利き目を右から左へ(勿論その逆も)スイッチすることは不可能と言われている。訓練によりそれに近い状態にはできるらしいが、飽くまでそれが限界である。

こういった利き目利き手の問題を無視できないのがターゲットを狙うタイプのスポーツである。具体例を挙げればアーチェリー、ダーツ、射撃などである。これらの競技に関しては長らく「利き目に合わせるべきだ」という意見と「利き手に合わせるべきだ」という意見に分かれていた。現代のスポーツ科学では選手のパフォーマンスデータから、利き目に合わせて利き手を変えた方が圧倒的に有利であることが分かっている。

15%の少数派の人たちがこれから上記のようなスポーツを始めるのなら器用な手足ではなく不器用な目のことを是非思いやって、最初は使いづらいであろう手や足に頑張ってもらうという道を賢く選択してもらいたいものである。

image by: Akiko Nuru, shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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【著者】 山崎勝義 【月額】 ¥220/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

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